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皇宮の花嵐  作者: 透明
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皇位継承編 二回目の視察



「それでは、二回目の視察先をお伝えしたいと思います」




 二回目の視察を行うため、神力者たちは、正門の前に集まり、神官・空澄の声に耳を傾けていた。


 


 「──それでは、最後、神守の町へと視察を行っていただくのは、月花様、雷林様の両名です」




 視察先と、一緒に行く相手が発表され、泉凪は涼雅と、神守の町へと視察を行うことになったのだ。


 

 神守の町。


 それは神守の国の中心部、いわゆる城下町。



 町は発展し、沢山の人や店で賑わっている。


 そして、神守の国を支えている者達、いわゆる上流階級の者達が住んでいるのだ。




 泉凪は、視察先を聞いて(神守の町か……)と、どこか浮かない表情を浮かべている。


 そんな泉凪に涼雅は近づくと「泉凪! 一緒の視察先だな!!」と笑顔で言う。



 泉凪は、ハッとした表情を浮かべると、涼雅を見て「そうだね」と返す。




 「俺、神守の町に行くのなんか超久しぶりだよ」


 「私も……久しぶりかな」




 泉凪はそう言うと(切り替えなきゃ。)と、雑念をとるかのように、頭を振る。



 そんな泉凪の近くにいた悠美は、泉凪に声をかけようとするも、それを止める。



 泉凪は、そんな悠美に気がつくと「悠美、おはよう」と笑みを浮かべる。


 気づいてくれた泉凪に嬉しくなり、悠美は泉凪の元に行こうとするも、この間、千季から聞いたことを思い出し、躊躇する。



 どこか様子がおかしい悠美に気ずき「どうしたの?」と問いかけようとした時「悠美」と言う声が聞こえてくる。



 悠美を呼んだのは、今回、悠美と共に視察へと向かう雪乃だった。


 雪乃は泉凪と悠美を見て「すまない、取り込み中だったか」と言う。



 そん雪乃に、悠美は「いや、大丈夫だ」と返す。


 雪乃は「そうか」と言うと「牛車の用意ができたそうだ」と言う。




 「分かった」




 悠美はそう言うと、泉凪を見て「行って来るよ」と言う。


 泉凪は頷くと「行ってらっしゃい」と言う。



 そんな泉凪を見て、何か言いたげな表情を浮かべるも、笑みを浮かべると、悠美は歩いて行く。


 その後ろ姿を、泉凪は見つめていると「泉凪、俺たちも用意できたって」と涼雅が言い、泉凪は「分かった」と言い、歩いて行く。







 「今回は、神守の町へと向かわせたのですか?」




 どこかの部屋の中、蝋燭の火だけで照らされる部屋の中は薄暗く、そこには雑面を顔につけた二人の者がいた。



 一人の黒色の着物を着ている雑面の者の言葉に、白い着物の雑面の者が「ええ。」と頷く。




 「すでに手は打っていますので、今回は何もしなくても構いませんよ」




 そう言う白い着物の象面の者の言葉を聞き、黒い着物の者は「どうしてそこまで、月花様に執着をしているのですか?」と尋ねる。


 すると、白い着物のものは「執着しているのは私ではありませんよ」と言う。


 その言葉を聞いた黒い着物のものは「私ではないって、一体誰が……」と言うと、白い着物のものは「陛下と悠美様ですよ」と言う。




 「え……?」


 「まあ、陛下は月花様ではないですが。厄介ですよね、死人というものは。その者にとって大切であればあるほどね」




 そう言う白い着物の者を、黒い着物の者は不思議そうに見る。




 こうして、不穏な動きが見られることも知らず、泉凪と涼雅を乗せた牛車は、神守の町へと向かうのだった。

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