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皇宮の花嵐  作者: 透明
153/205

皇位継承編 自己満だけどね

 


 会場内にて、一つの扉が開くと泉凪と心大が戻って来た。


 泉凪も無事、心大を迎えに行く事が出来、会場へと戻ってくる事が出来たのだ。




 そんな泉凪たちを見て泉は「おい、凪! 泉凪様一番だぞ!」と隣に座る凪に、嬉しそうに言うと、近くにいた一人の官人がボソッと「そりゃ、一番近くの者を迎えに行けば、一番にもなる」と隣にいる官人に呟く。


 その言葉が聞こえていた泉は「はぁ? おじさんなんか文句あるわけ?」と睨みつけるも、凪に「やめろ、泉。泉凪様に泥を塗るつもりか。それに、あんな奴相手にする価値もない」と止められる。



 凪に止められた泉は、不服そうに黙る。



 すると、近くにいた皇帝の従者である仁柊が口を開く。




 「そう怒ることない。あの御三方の中で、一番冷静な判断をされているのは月花様だけだ」




 仁柊の言葉に、泉と凪は「え?」と不思議そうな表情を浮かべる。


 そんな中、仁柊は話を続ける。




 「確かに、試験と言う意味ではより離れたものを迎えに行き、神守石を貰える方がいい。だが、これが試験ではなかったら、どれだけの数のどれだけの強さを持つ魔物が潜んでいるか分からない状況で、遠くの者の元へと行くのは危険行為。まずは、近くの者を迎えに行くのが最善だからな」




 そう言う仁柊の話を聞き、仁柊の隣で座る皇帝も「冷静な判断力は時に、命を左右するからな。遠くの者を迎えに行っても、近くの者を迎えに行っても何も間違いではない」と言う。




 皇帝と仁柊の話を聞き、官人は罰が悪そうにする。


 皇帝は隣に座る泉と凪に「無事に戻って来れてよかったな」と笑いかける。




 そんな皇帝に、泉と凪は「はい」と嬉しそうに頷く。







 それから一時間が経った時、悠美、涼雅と文月、雪乃の二組はほぼ同時に、会場へと戻って来た。




 「……迎えがなかった千季さんって、どうなっちゃうんでしょうか?」




 心大は心配そうな表情を浮かべ、他の神力者に問いかける。


 迎えに行く者の人数は三名で、迎えを待つ者の人数は四名。


 と言うことは、一人だけ、迎えが来ないことになり、今回、千季の元には迎えがなかった。



 心大の言葉に、雪乃は「迎えがなかった者は、一人で会場へと戻って来なければならない。ただ、迎えがない分、神守石も多く貰えるが、同様に身につけた鈴当たれば失格となる」と説明する。


 雪乃の言葉を聞き、心大は「一人で……神守石を多くもらえるのは良いですが、千季さん一人となると大変では」と不安そうに言う。



 そんな心大に涼雅は「大丈夫だって〜、千季は強いし余裕だろ」と言う。




 その側で、神力者たちのやり取りを聞いていた、千季の従者の時。




 (千季様なら、お強いしお一人でも帰って来られる。けど、千季様はああ見えて寂しがり屋なお方だ。誰も迎えに来ないとなれば、いくら試験とは言え、悲しまれていないか心配だ)




 時はそう千季の心配をする。


 その時だった。




 「空澄。確か、何人迎えに行こうが良かったよね?」




 泉凪が、そばに居る空澄にそう問いかけたのだ。


 突然のことに、驚く他の神力者に時たち。



 泉凪は「わかった」と言うと、扉に向かい歩き出す。




 「今から迎えに行くのかい? 泉凪」




 文月にそう問いかけられ、泉凪は振り返る。




 「もし、時間内に戻って来られなければ、お前も失格になる。わかっているのか?」


 「あぁ、わかっているよ」




 雪乃の言葉に、泉凪は頷くと「けれど、この試験に合格するより、失格になる可能性があっても、千季のことを迎えに行く事が大事だと思うんだ」と笑う。




 「ただの自己満だけどね」




 泉凪はそう言うと、扉を開き中へと入って行く。


 そんな泉凪を真っ直ぐ見つめる悠美。




 「やはり、美月様に似ておられますね。泉凪様は」




 そう言う仁柊の言葉に、皇帝は「……あぁ。眩しいな」と昔を思い出し呟く。

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