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皇宮の花嵐  作者: 透明
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皇位継承編 選択

 


 それぞれ、迷路へと入って行った泉凪達は、渡された地図が載った巻物を使い、自身の場所と、先に迷路へと待っていた神力者の位置を確認する。




 「私の一番近くにいる者は雪乃か」




 悠美は、手元に広げた地図をてそう呟く。


 悠美がいる位置から、一番近くにいる迎えを待つ神力者は雪乃ので、その次に、千季が近くにいる。




 「雪乃からは、私が一番近い位置にいるし、泉凪や文月からも離れているから、雪乃のもとに行くのが妥当だが……」




 悠美は、そう考えながらあることを思い出す。


 それは、周囲の者達が自身に向けて来る目だった。



 ここ数百年間、皇帝の座についている火翠家の、それも現皇帝陛下の唯一の息子ともあり、周囲の期待は高い。


 


 (より、自身がいる位置から遠く離れた場所にいる、神力者の元へと行けば、多くの神守石がもらえるが、その道中で遭遇した魔物に、鈴を当てられてしまえば、そこで失格となる)


 (普通に考えれば、例え、神守石を多くもらえなくても、安全である近くの神力者の元へと向かうべきだが……)




 悠美はそう考えると、足を進め始める。


 そして、雪乃が待つ方向とは反対側の道を選んだのだ。




 (私は皇帝の息子だ。より、難しい方を選ばなくてどうする)




 悠美は、一番近くにいる雪乃の元へ行くことをやめ、悠美がいる位置から一番遠くにいる涼雅の元へと足を進めるのだった。







 「さて、どうしたものかな」




 同時刻、文月も手元に地図を広げ、自身の位置、先に迷路で待つ神力者の位置、迎えに行く神力者の位置を確認していた。




 (ボクから一番近いのは心大だけれど、泉凪からも近いのか)




 文月から一番近い、迷路で待つ神力者は心大なのだが、その近くに泉凪もいる事が分かる。


 迎えに行く神力者が被ってしまえば、その時点で失格となってしまうため、文月は慎重に考える。




 (心大は、泉凪が迎えに来る可能性があるから無しだ。次に近い人といえば、涼雅だが……)




 文月はそう考えると、腰に差してある刀に触れる。


 そして、何かを考えたような表情を浮かべ(らしくないのはわかっているけど、挑戦してみたくなるね)と呟く。




 文月は、一番近くにいる心大の元ではなく、一番離れた場所にいる雪乃の元へと向かう事にしたのだ。


 いつも、冷静な文月が、リスクが少ない近くの神力者の元へと行くよりも、リスクがある遠くの神力者の元へと向かったのは、らしくはないが、文月は躊躇する事なく、足を進める。







 手に持つ地図を広げ、泉凪は頭を悩ませる。




 (私から一番近い、先に待つ神力者は心大か。けれど、文月と心大も近い。逆に私から一番離れているのは雪乃だ。その近くには悠美がいる)


 (一番離れた神力者を迎えに行けば、神守石を多くもらえるんだったよね。けれど、その分道中で魔物に遭遇する確率も高くなり、失格になる可能性も高くなる)




 泉凪は最善はどれなのか、頭で考える。




 (恐らく、悠美は一番近くの雪乃ではなく、離れた涼雅か千季の元へ向かうはず。一番近くの神力者の元に行けば、とやかく言うものが大勢いるからね)


 (文月は普段から冷静で、無茶をする性格ではないから、一番近くの心大の元へと行くはずだが……恐らく、文月は遠く離れた雪乃か千季の元へと向かったはず)


 (文月は剣が得意で、腕に自信があるから、あえて遠くを選ぶはず)




 そう泉凪は、悠美や文月の行動を読む。


 そして、泉凪は(どれくらいの強さの魔物がいるか分からないから、最善の道は……)と考えると、自身の位置から一番近くにいる心大の元へと足を進める。




 「……やはり、中々の強さの魔物が潜んでいたか」




 心大の元へと向かう最中、早速魔物に遭遇した泉凪。


 予想通り、中々の強さを持ち、泉凪の倍はある体長を持つ魔物が、泉凪の道を阻む。




 「このくらいの強さの相手を、しなければならないとすれば、やはり一番近くの心大の元へと向かって正解だったね」




 泉凪はそう呟くと、鞘から刀を取り出すと、魔物に向かい走って行く。


 泉凪の倍の大きさにも関わらず、泉凪は全く臆する事なく、魔物に刀を振う。




 魔物も泉凪に攻撃をしようとするも、泉凪はそれを華麗に避け、刀を振り下ろす。




 「……何とか、一匹倒せたけど、心大の元へとつくまでに後、どれくらいの魔物が出て来るのやら」




 泉凪は一つため息をつくと、心大の元へと急ぐのだった。

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