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皇宮の花嵐  作者: 透明
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当主継承編 座学ー2ー

 師範に当てられた文月は「ボクは呪いだと考えます」と答える。




 「それは何故?」


 「神が初めに呪いとし、人に授けたのであればそれはもう呪い以外の何ものでもないと言う、特に意味はない答えです。」




 そんな文月の返答に千季は「相変わらず、文月はぶれないなぁ」と笑う。




 「では最後に、月花様。意見をお聞かせ頂けますか?」




 最後に当てられたのは、泉凪で、皆の視線が泉凪に向く。


 ちょうどその時、様子を見に来た皇帝が入り口の所で、皆にバレぬよう仁柊と立ち止まり話に耳を傾ける。




 当てられた泉凪は「……正直、私はどうでも良いのですが」と言い、文月は扇子を口元に持って行き笑う。


 その隣で、千季は苦笑を浮かべ、心大はあわあわとし、悠美と雪乃はただ黙り泉凪を見ている。



 そして、こっそりと座学を見に来た皇帝が大笑いし、仁柊に怒られたのは言うまでもない。



 泉凪は「強いて言うのなら」と話を続ける。




 「呪い、それが私の意見です」




 泉凪の意見を聞き、師範は興味深そうに「というのは?」と聞き返す。




 「まず、祝福と素直に喜べるほど世間知らずではありません。」




 〝世間知らず〟という言葉に、祝福という意見を述べた晃は、少しイラついている。




 「もちろん、その意見を否定するわけではありません。ですが、実際、長寿なことで多くの人を見送る事になるでしょう。それはとても悲しく孤独な事です。自身がそのように感じなくとも、他の神力者はそう感じるかもしれない。それを知っていながら呪いだとは思えなくとも、祝福だとは到底思えませんから」




 泉凪の意見を聞き、千季は「ほぉ…」と意味ありげな表情を浮かべ、心大はニコニコと笑みを浮かべている。


 こっそりと座学を見に来た皇帝は「ははっ……」と笑ったかと思えば、どこか懐かしそうに「親子揃って全く同じ意見を述べるのだな」と呟く。




 「陛下?」


 「何でもない。戻るぞ」




 そう歩いて行く皇帝を不思議に思いながらも、仁柊は返事をし皇帝の後を追う。




 「月花様はお優しいのですね」




 師範の言葉に泉凪は「いえ……思った事を述べたまでです」と返す。


 その時、何やら視線を感じると思い、そちらに目を向けてみると、泉凪の右斜め前に座る千季が泉凪のことをじっと見ていた。



 泉凪と視線が合った千季はニコッと笑みを浮かべる。


 そんな千季に泉凪は戸惑う。



 それから座学は終わり、別室で同じく座学を行っている従者たちを待っている間、泉凪と心大はいつものように二人、和やかに話をしていた時だった。




 「やぁ、月花の姫君」


 「あ、あぁ……水園の若君か」




 何故か突如、千季が話しかけてきたのだ。


 千季と泉凪は年齢で言ったら同い年だが、泉凪の皇宮入りが遅かったため、少ししか話をしたことがない。



 そんな相手が突然、話しかけてき、泉凪は戸惑いながら返事をする。




 「水園の若君が私に何か用かな?」


 「そうだね。ものすごく大事な用だよ」


 「ものすごく大事な用?」




 ものすごく大事な用と聞き、泉凪は真剣に千季の話に耳を傾ける。


 だが、千季が発した事は予想外の言葉だった。




 「月花の姫君とお喋りするという大事な用さ」




 そう片目を閉じる千季に戸惑いを隠せない泉凪と、そのやり取りを隣で見、不思議そうにしている心大。




 「冗談?」


 「まさか! 本当にお喋りしたくて来たんだよ」




 それでも尚、疑いの目を向けてくる泉凪に千季は「さっきの座学での姫君の意見を聞いて、話してみたくなったんだ」と説明する。




 「さっきの……あぁ。」


 「呪いだと言う理由を聞いて、どんな人なのか気になったんだ。だから僕と友達にならないかい?」


 「……は?」




 唐突な言葉に泉凪は思い切り顔を顰める。


 それも無理もない。


 先から彼が話す事は突拍子もない事ばかりだからだ。


 

 だが千季は「友達になるから泉凪って呼んでも良い? 僕のことは千季でいいよ。あ、地星の若君のことも心大と呼んでも良いかな?」と更に話を続ける。


 そんな千季の圧に負け、泉凪と心大は返事をし、晴れて三人は友となったのだった。

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