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皇宮の花嵐  作者: 透明
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皇位継承編 第二試験

 


 「──それでは、第二試験の内容について、私、空澄が説明させていただきたいと思います」




 二回目の試験の日。


 泉凪たち当主らは、またしても競技場へと集められており、神官・空澄の説明に耳を傾けている。




 「第二試験は、二人一組、もしくは三人一組で行って頂きます。まず、一人が扉の先にある洞窟に入って頂き、お題に沿った答えの扉へと入って頂きます。そのお題は、いくつか答えて頂き、最終的に辿り着いた場所へと待ってて頂きます」


 「そして、もう一人の方が、先に入られた方が待っている場所を推測し、待っている方の場所まで行って頂きます。無事に会えれば先に入られた方に二つ、後から入られた方に三つ、神守石をお渡しいたします」


 「尚、一組二回、先発後発を入れ替え試験を行なって頂きます。三名いる組には、計、三回行って頂きます」




 空澄の説明を聞き、涼雅は「待ってる場所当てるとか、なんかガキの遊びみたいだな」と頭の後ろで手を組み言う。


 そんな涼雅に千季は「人の思考回路を読み取る力や、観察眼が試される試験みたいだね」と言う。




 「えー、そうなの?」


 「多分ね。」




 千季に続け、悠美は「相手が何を選ぶかをよく考えて行動しなければならないからな。その選び方もそれぞれだしな。仮に一か二かと選ぶとすれば、一が好きだからとか、一の方がいいと思ったからと感覚で選ぶ者もいれば、一番になりたければ一を選ばなければと感情で選ぶ者もいる。相手がどのように物事を決定しているか、普段から人のことを観察していれば大体わかって来る」と言う。




 「つまり、この試験はより親しい相手と組めれば吉というわけか」




 顎に手を当てそう言う文月に、悠美は頷く。


 そんな当主たちに、空澄は「それでは、組み合わせを発表させて頂きたいと思います」と言い、皆、空澄の言葉に耳を傾ける。




 (一番、この中で考えが分かるとなれば、心大かな……一番一緒にいた時間が長いし。さて、どうなるかな?)




 泉凪がそう考える隣で、悠美は泉凪のことをチラリと見ると(泉凪と組めますように!)と心の中で祈る。




 (泉凪の事を何百年も見て来たんだ。絶対に泉凪となら一番を取れる……!)




 そう考える悠美は、趣旨が若干ズレているが、余程、泉凪と組みたい様子。




 (……人の考えを読み取るのは、昔から得意だから、誰と組んでも割と当てられると思うけど……文月と、かな。やりやすさで言えば。)




 千季がそう、心の中で呟いた時、空澄が「一組目は、火翠家当主・悠美様、氷彩家当主・雪乃様です」と言う。


 空澄の発表を聞き「え……?」と声が重なる悠美と雪乃。



  

 互いに全くの予想外の人物だったらしく、とてつもなく驚いた表情を浮かべている。




 「まさか、悠美と雪乃くんが一緒とは。予想外の組み合わせだね」


 「思考回路が読み取りにくい二人だね」




 そう言う千季と文月の隣で、悠美と雪乃は顔を見合わせると「……よろしく頼むよ、雪乃」と悠美はニコッと笑みを浮かべる。


 そんな悠美に応えるように、雪乃も「……あぁ。」と頷く。



 

 「それでは、二組目を発表させて頂きたいと思います。二組目は月花家当主・泉凪様、風音家当主・文月様のお二方です」




 空澄の発表を聞き、何故か泉凪と文月以外の者が驚くも、泉凪と文月は平然とした様子だ。


 


 「泉凪と文月とは……これまた、予想外の組み合わせだね」




 千季の言葉に泉凪は「そうだね」と頷き、文月も頷く。


 

 泉凪と文月はそれなりに話をするが、二人きりで話をしたりする事は滅多になく、大体、千季や心大がいる時に一緒に話をしたりしていた。



 だが、泉凪も文月も仲が悪いわけではないので、互いに何とかなるだろうと思う。




 「そして、最後の組は水園家当主・千季様、地星家当主・心大様、雷林家当主・涼雅様のお三方です」




 空澄に名前を呼ばれ、千季は「よろしくね、心大、涼雅」と二人に挨拶する。




 「よ、よろしくお願いします!」


 「千季と心大とかー。当てれるかなー」




 そう言う二人を見て、千季はふっと笑みを浮かべる。


 そして、全組みを発表し終え、先発に行く者を発表する。




 「先発は、氷彩様、風音様、地星様の三名です。地星様の場所を当てていただくのは、水園様となります」


 「後発の方たちも一緒に行って頂くので、もし、早く戻って来られた組の方は、他の組の方が戻って来るまでお待ちください」


 「それでは、先発の方は準備の方、お願いいたします」




 空澄の言葉に、先発の者たちは扉の前に立ち、大巫女の百合が祈りの言葉を捧げると、それを合図に先発の者たちは扉の中へと入って行く。


 

 こうして、二回目となる試験が始まった。

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