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皇宮の花嵐  作者: 透明
101/206

皇位継承編 私の従者だよ

 


 宮女たちが、頬を染めざわざわとしている。


 その視線の先には、悠美と悠美の後を続く心温がおり、宮女たちの熱い視線を独占していた。




 そんな悠美を見た千季たちは「数百年経っても、人々を狂わせてしまうほどの美しい見た目は健在だね」「流石だね」と口々に言う。


 千季たちの言葉が聞こえていたのか、悠美は「聞こえているぞ。何だその言葉は」と引いたような表情を浮かべている。




 「あ、僕が言っているんじゃないからね。官人や国民らが君を称賛するために広まった言葉だからね。」




 咄嗟にそう弁明する千季。


 そんな千季に悠美は「それくらい分かっている」と言い返す。




 「にしても、悠美も大人になったね。少し雰囲気が変わったんじゃないかい?」




 悠美を見てそう言う文月に続け、心大が「僕も思っていました!」と頷く。



 文月たちの言う通り、悠美は大人っぽくなっただけではなく、何処か落ち着きがあり、前よりも更に色気が出てきたようだ。




 「何だか、千季さんと似た雰囲気を感じます!」




 心大の言葉に千季は「え〜、真似しないでよ悠美」と言い、悠美は「してない」と返す。




 「待ってくださ〜い! 涼雅様ぁぁ……!」




 突如、そのような声がしたかと思えば、涼雅が会場内にやって来ており、後ろにいる男性に「うるさい! 早くしろ!」と何処かイラついたように返す。


 すると、悠美たちに気づいた涼雅は「お、皆んなもういんじゃん!」と近づいて来る。




 「久しぶりだね、涼雅。」


 「相変わらず君は、騒がしいね」




 千季と文月がそう声をかけると、涼雅は「文月ちゃん達も相変わらずだね〜!」と笑みを浮かべる。


 そんな涼雅と少し遅れをとってから、先程、涼雅を追って走って来ていた男性が、悠美達の元にやってき「涼雅様! どうして置いていくんですかぁ〜!」と泣き顔を浮かべる。


 そんな彼に涼雅は「うるさい! お前が遅いのが悪い!」と言うと「そんなぁ……!」と更に泣き顔を浮かべる。




 「……もしかして、彼は涼雅の新しい従者か?」




 雪乃の言葉に、涼雅は「従者じゃない」と答える。




 「いつも側で使えている、ただの人間だ」


 「それを従者って言うんじゃ……」




 千季はそう苦笑いを浮かべるも、涼雅は頑なに「従者じゃない!」と言う。


 すると、泣き顔を浮かべていた彼は「酷いですよ! 私はれっきとした涼雅様の従者の白夜びゃくやです!」と皆んなに自己紹介する。



 彼は、涼雅の従者の白夜で、前任の従者が亡くなり、新しく涼雅の従者になったのだ。


 だが、涼雅はそれを認めたくない様子。



 そんな涼雅を見て、心大は(涼雅さん。前の従者をとても大切にしていたから、まだ受け入れられないのかな……)と心配する。




 「……そんな事より、泉凪はまだ来ないな」




 悠美にそんな事と言われ「そんな事!?」とショックを受ける白夜。


 そんな悠美の言葉を聞き、涼雅は「泉凪まだ来てないの?」と尋ねる。



 涼雅の言葉に千季は頷くと「少し遅れているのかな?」と言う。




 その時、悠美の時と同様に、辺りが騒がしくなる。


 何事かと見てみると、宴会場の入り口には綺麗に伸びた桔梗色の髪を、靡かせながらやって来る泉凪の姿があった。



 そんな泉凪を見て、皆は固まる。



 何故なら、数百年前もとても美しい見た目をしていたが、更に美しさに拍車がかかり、素敵な大人の女性へと成長していたからだ。


 悠美たちに気づいた泉凪は「皆んな、久しいね」と声をかける。



 だが、あまりの美しさに皆、言葉を返す事を忘れ、黙って泉凪を見ている。


 そんな悠美たちに泉凪は不思議そうに「どうしたの? ぼーっとして」と言う。



 その言葉に悠美たちはハッとし「……驚いたよ。何処ぞの綺麗な女性かと思ったよ」「本当にますます美しさに磨きがかかったね」と千季と文月は言い、他の者も頷く。


 すると、千季は悠美に「ね? 悠美もそう思うでしょ?」と話を振る。




 「あぁ。相変わらず、綺麗だな。泉凪」




 そう言って、愛おしそうに微笑む悠美。


 そんな悠美を見て千季と心温は驚く。



 久しぶりに泉凪に会い、緊張と照れで上手く話せなくなるのではと思っていた心温。



 千季も同じ事を思っており(褒めるのに手慣れている……? 数百年の間に色々あったんだね、悠美。少しがっかりだよ)と白い目でみる。


 そんな千季を見た心温は(ハッ……! 水園様が勘違いをしている気がする!! 悠美の体裁の為にも後で弁明しなければ……!)と思う。




 泉凪は「ありがとう」と笑みを浮かべる。


 そんな泉凪を見て悠美は、何処か違和感を覚える。




 (……何だか、様子が違うような……)




 悠美がそう考えていると、心大が「そう言えば、花都さんは?」と聞いた時、何処からか「泉凪様!!」と呼ぶ声が聞こえてき、悠美たちはそちらを見る。


 そこには、二人のまだ若く見える少年が、泉凪目掛け走ってきていた。



 そんな二人を見た泉凪は「せんなぎ」と名前を呼ぶ。




 「泉凪、あの二人は?」




 心大は不思議そうにそう問いかけると、泉凪は「あぁ……」と言うと、心大たちの方を向きなおす。




 「私の従者だよ」


 「え……」




 そう言った泉凪の言葉に、悠美たちは驚いた表情を浮かべる。

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