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皇宮の花嵐  作者: 透明
10/202

当主継承編 神力者集結

「おぉ! いるいる! これほどの神力者がいればやり甲斐があるな!」




 襟足が長い青朽葉あおくちばのような色をした、他のものと一際雰囲気が違う男性は、拝謁室にいる神力者たちを見ては目を輝かせながら周りに響くくらいの声量を放つ。



 その声を聞き、彼の存在に気付いたものたちは「あれが雷林らいりん家の雷獣……」とヒソヒソと話し出す。




 彼──雷林涼雅らいりんりょうがは、七つの家の一つ、雷神から力を授けられし家、雷林家の唯一の次期当主候補。


 なので、雷林家の当主は彼で決まりだと言われているのだが、理由はそれだけではない。




 〝雷獣〟と言ったあだ名がつくだけあり、喧嘩っ早く、一度キレると手がつけられなくなり、一度目の皇宮入りの時、彼に喧嘩を吹きかけた者を全員、返り討ちにしたと言う逸話も持っているほど。


 喧嘩っ早いが、その強さは神力者たちの中で上位に入るほどだ。



 そんな彼は、雪乃と違った意味で皆から怖がられているが、本人にその自覚は全くないらしい。




 「あ、あそこ見て……! 火翠ひすいの若様よ!」




 先程まで、涼雅に集まっていた視線が、一人の登場により一気にそちらへと向けられる。



 近くにいる宮女たちは、火翠の若様と呼ばれる者をみては、頬を赤らめまるで、意中の相手が目の前に現れたような反応を見せる。




 その反応も無理もない。


 何せ、すらりと伸びた手足、かき上げられた艶があり、さらりとした綺麗な蘇芳すおう色の髪がよく似合う、誰がみても整った顔立ちをしている上、それらを全て引き立てる何とも知的で落ち着いた声音を持ち得ているのだから。




 この世の女性の理想を全て詰め込んだような人物。


 そんな彼を見たものは皆、口々に「この世の生き物全てを狂わせるほどの美貌の持ち主」と称賛するほど。



 彼──火翠悠美ひすいゆうびは、七つの家の一つ、火神かじんから力を授けられし家、火翠の次期当主候補。


 それから現、皇帝陛下の唯一の息子で、最も次の皇帝になる確率が高いとされている人物だ。




 それに、彼が人々から慕われる理由は他にもある。




 「おはよう。今日も朝早くからご苦労様」




 優しく穏やかな笑顔を浮かべ、落ち着いた口調で近くにいる宮人らに自身から挨拶をする。


 彼に挨拶をされたものは、男も女も関係なく、今にも溶けてしまいそうな表情を浮かべる。




 彼が人々から慕われいる理由、それは神力を持つ上、皇帝の唯一の子息でありながら、自身より身分が低いものに対しても平等に接する所。



 上に立つ者は多かれ少なかれ傲慢になる。

 

 元来、人間とはそう言う生き物だ。



 悲しい事だが、神に選ばれた者たちも同じ事で、神力者の中にも傲慢な者はいる。


 そんな中、見た目は美しく、常にニコニコと笑みを浮かべ、相手が誰であろうが穏やかに接する者がいれば、その者の印象は天に登ると言うものだ。




 「火翠!! やっと来たな! 勝負、勝負!!」




 突如、何処からともなく勝負を挑む声が聞こえてきた。


 その声はとても大きくあたり一面に響き渡る。




 勝負を挑まれた悠美は声のする方に視線を向けると「また雷林か」とほんの一瞬だが、呆れた表情を浮かべた。

 

 かと思えば、すぐに先程までと同様の笑みを浮かべる。


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