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『リヴァイス 103 舞い戻る召喚者と復活した雌伏活動』の続きで、
召喚者ウェイトのお話しです。
お楽しみいただければ幸いです。
こんにちは、ウェイトです。
異世界リヴァイスでの冒険者暮らし、
何だか最近、妙に波瀾万丈。
激高難度ダンジョン"コレイカ"攻略中に、
精霊の素敵なお姉さんからお願いごとされた俺たちは、
依頼達成のためニルシェ王都へと向かう旅の途中。
ふたり旅の相方は、わんこ系獣人乙女リルシェさん、
こと、乙女騎士ノルシェさん。
目的地のニルシェ王都まで、あと数日の予定。
今回の旅は、王都のお偉いさんに重要案件を伝えるための謁見、が主任務。
……めっちゃ気が重いです。
自他共に認める人見知り野郎が、何故こんなことに……
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「お疲れですか、ウェイトさん」
「まだ日は高いですが早めに野営の準備をして、しっかりと休息するべきでしょう」
「疲れを残したままでは、明日の鍛錬に差し支えますよ」
リルシェさん。
「はい、何でしょう」
いつまでも俺の疲れが取れないままなのは、
日々の激しい鍛錬が原因だとは思いませんか。
「いいえ、全く」
「ウェイトさんは、やれば出来る子です」
「この程度の鍛錬で疲れるようなことが無くなるその日まで、一心不乱に頑張れる子だと信じておりますよ」
えーと、その件について、少々お話ししたいことが。
「はい、何でしょうか」
以前、大勢の暴漢に取り囲まれてピンチになったこと、覚えてます?
あの時ピンチを救ったのは、俺の固有スキル『道連れ』でしたよね。
「その通りです」
「ウェイトさんと私の見事な連携で不埒な悪党どもに大勝利しましたね」
俺の『道連れ』の"全能力の均質化"は滅多に役立つことが無いのですが、
あのような非常事態の際の逆転手段として、実に有効だったとは思いませんか。
「非常に使い所の難しいスキルですが、いざという時の隠し球的切り札として大変に有効だったと思いますよ」
そう、まさに隠し球ですよね。
ただ、その効果を活かせる状況は限られているのもまた事実。
ですが、そもそもアレって、
あの頃の俺がハンパ無いヨワヨワ野郎だったことが、
『道連れ』での"能力均質化"による悪漢一味総弱体化を招いて、
見事な逆転劇となったのはご存知の通り。
「なるほど、何をおっしゃりたいのか分かってきました」
ご理解が早くて助かります。
俺の『道連れ』は、ヨワヨワへぼちん野郎が使ってこその切り札なのです。
もし日々の鍛錬で俺が強くなっちゃったら、
その分『道連れ』のデバフ効果も薄れて、奇襲の意味を成さなくなるのでは。
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これこそが俺なりに考え抜いた一世一代の説得、
ってか、おねだり。
リルシェさんが俺の『道連れ』に価値を認めてくれるのかが勝負の分かれ目。
だって、もし俺がひとり旅出来るほど強くなったら『道連れ』の意味ないし。
いや、このふたり旅を続ける意味も……