第13話 特訓することになりました その1
遥の新技が凄すぎて危うく火事になりかけたが、突然現れた男の人のファインプレーでなんとか事なきを得た。それだけなら感謝しかないのだが、どうやら超能力のことを知ってる様子。
「あの…、助かりました。ありがとうございます。あの……、超能力を知ってるんですか?」
俺はまずお礼を言い、その後恐る恐る超能力について尋ねてみると、男の人は何を言ってるんだこいつ的な目を向けてきた。
「知ってるって言うか…、どう見たって超能力でしょ。普通口から火なんか吐けないし」
常識だろそれくらい…と暗に言われたようで、なんか恥かいちゃったんすけど。え…?超能力って実はメジャーなの?
「他にも超能力使ってる人見たことあるんですか?」
今度は遥が質問してみる。これであるって答えられたらそれはそれでびっくりするな…。俺の今までの常識が覆されかねない…。
しかし、男の人は腕時計を見て慌てだした。
「おっと…!もうこんな時間か!じゃあ、気を付けるんだよ!」
そう告げて、風が過ぎ去るようにいなくなってしまった。…慌ただしいな。見た感じ30代前半くらいに見えたけど、普段何してる人なんだろ…。…ま、何事も無かったし、いいか。
「気を付けるんだぞ」
俺も念を押して遥に注意。すると、2回も注意された遥が不服そうな顔を浮かべる。
「わかってますー。同じこと2回も言われなくてもわかってますー」
「にしても、すごい威力だったな。バトルできんじゃん」
「勝ったらお小遣いとかくれるかな?」
「そんな世の中甘くないです」
「がっくし」
バトルに勝ってお金が増えるならだれも苦労しないのであって…。なんて夢の無い話はともかく、威勢のいい火炎放射をコントロールできる日はくるのだろうか…。
遥もなんとかコントロールしたいと思ってるはずだ。だから実験と称して俺に抱き着いて来たり………思い出したらなんだか体が熱くなってきたぞ…?
「今度の土曜…」
ガックシうな垂れていた遥が顔を上げて呟く。土曜…?
「特訓しよ特訓」
「えー…」
俺は即座に嫌そうな顔を前面に出した。特訓だなんて暑苦しい言葉は嫌いなのだ。出鼻をくじかれた遥はまたもや不服な表情を浮かべる。
…そして、彼女は何と交換条件を突き付けたのだった。
「参加賞はお弁当」
「参加します」
即決だった。またあのおいしいお弁当にありつけるのならと、俺の脳ミソが脊髄反射のごとく即座に判断を下した。脊髄反射って脳ミソを経由しない反応のことだけどね。