第12話 幼馴染が新技を編み出しました その2
2日目にして新技を編み出してしまった遥。編み出したと言うよりは意図せず使えるようになったと言った方が正しいか。手だけじゃなく口からも火を出してしまうとは…。ただちょっと勢いがありすぎる…。
「これは…さすがに学校で披露したら火事になりそうだな…」
「そだね…。はぁぁ…、なんかめんどくさい体になってきたー…」
遥は落胆してしまう。手から出すやつと違って、今回のは若干コントロールできてない感じだった。だから遥としても呑気に自慢してる場合じゃないんだろう。
「なんか前兆とかあった?」
「うーん…、急に体が熱くなったからそれが前兆と言えば前兆だけど…、だいぶ急だしなー…」
「何が原因なんだろうな」
体が熱くなると火を吐きたくなるのはわかったが、体がなんで熱くなるのかがわからん。授業中とかに急に熱くなったら大変だ。
…考えていても答えが出てこない。まぁとりあえず……帰るか。
「再発しないうちに帰ろう」
「そだね」
―――結局、その後は何事もなく、家の近くまで帰ることができた。
「公園寄っていい?」
遥が急にそんなことを言って来た。
「え?なんで?」
「ちょっと実験」
何の実験…?公園で…?もうわからんからついて行くしかない。…ということで、家の近くにある公園にやって来た。
見事に誰もおらずシーンとしている。
「よし、誰もいないね」
遥は辺りを見回して誰もいないのを確認すると―――また俺の手を掴んできた。
「また手繋いでいい?」
「もう繋いでんじゃん…」
なんだろう…。俺の方こそ体が熱くなってきた。俺も火吐けるのかな?いや、吐ける気がしない。
遥を見るとまた顔が赤くなっていた。顔が赤いイコール体が熱くなっている…?
「よし…」
遥は何か意気込んでいる。え…?まだ何か…?
―――次の瞬間、遥の体が俺に密着した。顔が……めっちゃ近い!!それに…や、柔らかい…。
「は、遥…!近いって…!」
「じ、実験だから!」
遥は真っ赤な顔で目を瞑りながらそう言うと、今度はバッと俺から離れ、次の瞬間―――
ゴオオォォォ!!
遥は口から炎を吐いた。またもやすごい勢いである。めちゃくちゃ熱い…!炎は衰えることなく猛進していき―――正面の木に直撃した。
「あ……」
遥は冷や汗を垂らして呆然としている。俺も目を向けると、木が燃えていた。…おぉ、めっちゃ燃えてますな。……じゃなくて。
「やばいやばい!!消防車消防車!!」
俺と遥が慌てふためいていると―――
バシャアアア!!
どこからともなく水が燃えている木に勢いよく噴射され、瞬く間に火は消えてしまった。
目を向けると、ホースを持った男の人が1人立っていた。
「ふぅ…。危ない危ない…。ダメだよこんなところで超能力使っちゃ」
男の人は俺達にそう言ってきたのだった。