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聖⚙の生産  作者: A's
3/5

3プレイ目

【ログイン歴・ゲーム内2日目】

 [基底界・ワンダー~トゥーラ間の街道・ボスエリア]


「〈戦光への祈り〉」


 アヤメが何らかのスキルを発動させた直後、ぼくのアバターは上空を舞っていた。

 何のことはない、アヤメに投げられただけである。


「〈剣士の心得〉、〈魔剣士の心得〉、〈連撃の心得〉、〈閃光纏い〉。こんなものかな」


 放物線を描いて飛んでいく身体を制御し、地表側を視界に収める。

 アヤメは幾つかのバフを掛けながら、抜剣し構えていた。あとなんかやたら(ピカ)ってる。


「BuOOOO!!!」


 システムメッセージから、あのイノシシはおそらくストレイトボアという名称か。

 トラックのような大きな体躯に、大きな牙。されがピカピカしているアヤメに向かって突撃し始めた。


「さぁご覧あれ! 君は私の引き立て役さ!

 〈突光剣山・極一〉!」


 対するアヤメもまた、イノシシに向かって突撃。

 手に装備した剣の発光が強まり、激突の瞬間更なる光を放つ!


「Buaa──」


 迷いなくイノシシの眉間に突き立てられた剣。強力な発光がイノシシを貫通したと思ったら、身体がポリゴンとなって消えていく。


 〔エリアボス・ストレイトボアを討伐しました〕


 それを見届けていると、落下方向への移動が始まり地表がぐんぐん近付いていく。


「はいキャッチ。どうだった、せー。私の一撃」


「お見事なもんじゃないか? 流石トップ層のスキルって感じだ。一撃ではなさそうだけど」


 そしてまたお姫様抱っこに帰還。着地自体は出来ただろうけど、この方が早いしな。ただ撫でくり回すな。


「せーの目は()()でも高性能だね。極一を連撃と初見で気付くなんて」


「何発とかはさっぱりだけどなー。あとバフスキルに、連撃とか言ってたし」


 しっかし流石はトップ層、瞬殺とは恐れ入るね。

 ただあんなにバフ必要だったのかと思わなくもない。まだまだこのゲームのダメージとかがどうなっているかも知らないのだが。

 なにせアヤメという女はカッコつけなのだ、カッコつけの為だけに派手派手なスキルを使った可能性もある。

 実際にカッコいいのがアレなのだがね。


「耳聡いね、せーは。

 さて、トゥーラも近いし飛ばしていくよ!」


「はいはいよろしく」


 だから揉むのを止めろと言うに。



 ──────────



「よし、ついたよせー。ここが当座の目的地、()()()()だよ」


 ストレイトボアのエリアを抜けた後、トゥーラの街を登録。見回る時間もなしで、即出発。

 トゥーラ~ミスリー間の森を抜け、エリアボスの狼達を〈突光剣山・扇貫〉という先程のスキルのレパートリーっぽい派手派手技で瞬殺。


 ゲーム内時間の半日足らずで、第3の街まで到着である。なんか称号も幾つか生えてたし。


「それじゃ、ギルドへ向かうよ。そこで手続きしたら、せーの自由にして良いからね」


 アヤメに連れられミスリーの街へ。門番に、こんな低レベルで!? 的なイベントをこなしつつ、やたらとでっかい施設に向かう。


「ようこそ、プレイヤー〈アヤメ〉様、〈聖⚙〉様。当幻代人(プレイヤー)ギルド、ミスリー支部へ」


 中に入ると、これぞ異世界もののギルドって感じの光景が広がる。

 総合受付、取引所、クエスト掲示板、メンバー募集等々。

 ゲーム内にも関わらず、やや汚れた感が有るのは人によっては加点ポイントだろう。綺麗すぎても違和感が生じる。


「ご用件は何でしょうか?」


 UIも起動し、選択肢が表示される。なお選択肢をウィンドウから選んでも良いし、口頭で答えても良い。無口プレイも捗るね!


「私のクラン〈姫貴邂会〉に、この聖⚙を加入させる」


「クランへの加入ですね。聖⚙様のご意志も同じでしょうか?」


「ええ、大丈夫です。ただアヤメと少し話すことが出来たので少し待ってもらっても良いですか?」


「分かりました。お話が終わりましたら、またお声かけください」


 元々の予定を果たす、だがその前に。


「どうしたんだい、せー」


「おいこらなんだあのクラン名。バリバリ女性オンリーのネーミングじゃねぇか」


 姫が付いてるんだぞ姫が。


「そうだねぇ。確かにうちのクランに男性は居ないけれど」


「ぼくは良いのかよ。他のメンバーは納得してるんだよな?」


「可愛いから大丈夫だよ。あとせーの加入に反対する娘はうちに相応しくないし」


「随分横暴だなクランマスター」


「フッ、私が正義さ」


 なおアヤメは現実でもやたらとカリスマが有るため、慕われているのだ。

 アヤメに色々言われたら、泣く子も居るだろうに。


「つか誰がこんなクラン名考えたんだよ、ネットリテラシーも無いようなもんじゃねーか」


「私の妹」


「なら仕方ないな。良い名前ではあるしな、男が入るにはアレなだけで」


「なぁ、せー? 前々からそうだが君はあの娘に甘すぎやしないか? 私と扱いが違いすぎないか?」


「あっ、加入申請お願いします」


「承りました。少々お待ちくださいませ」


 なぁ、せー。せーってば。と身体をガクガクさせてくるアヤメを無視しつつ、登録を進めていく。

 クラン申請が出来るのが、ミスリー以降という制限が有るからこそ、キャリーの必要が有ったのだ。

 ギルドそのものはワンダー、トゥーラにもあるのだが、機能が制限されている。ここまでがチュートリアルのようなものだ。全部吹っ飛ばしてきたが。


「それでは聖⚙様のクラン〈姫貴邂会〉への加入登録と、当ギルドへの登録も完了しました。


 ギルド間移動等の機能も開放されます。ご説明はお聞きになりますか?」


 また所謂ファストトラベル機能もここから開放される。有償ではあるが、これでワンダーからきちんと攻略できるな。


「よし登録は済んだな、ではクランスペースへと移動しよう。他のメンバーも何人か居るから挨拶だな」


 説明を聞いていると、またアヤメに持ち上げられた。ぬいぐるみのように持たれているため、これまた周りの視線を集めている。気にしない精神だ。


 周りからの視線を見なかったことにしつつ、ギルドの1区画から、UIでクランスペースへと移動する。


 移動したそこには、


 そこそこの大きさの家と、そこそこのスペースの有る庭。


 そして、


「わたくしは、貴方の加入なんて認めませんわ!」


 と宣う金髪ドリルお嬢様アバター。


「────」


 そして一緒に移動してきたアヤメのキレる気配があった。ちょっ、ダメージ発生してないけどキツい! 抱き締める腕の力を抜け!



 あと殺気を出すなぁ!


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