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聖⚙の生産  作者: A's
1/5

1プレイ目

【ログイン歴・ゲーム内時間2日目】

 [基底界・ワンダーの町]


 周囲には数多の幻代人(プレイヤー)と、そこそこの基底人(NPC)


 プレイヤー達の多くは自分とは異なる様々な多様な装備を。しかしどこか()()()で見応えのない装備を着けている。


 自分と同じ初心者装備を着けているプレイヤー達は、辺りをキョロキョロ眺めたり、或いは会話しながら散策している。


 その中で、明らかに豪華さの違う装備を身に付けた高身長アバターの麗人がこちらに歩いてくる。


「やぁ、せー。こちらでも可愛いな君は」


 ついでに話し掛けてきた。待ち合わせ相手なのだから当然だけれども。


「しかしゲーム内時間とはいえ丸1日の遅刻とは如何なものかな? 事情は聞いているけども。マイペースな君らしいね」


 話しながら、べったりとくっついてくるのを躱しつつベンチから立ち上がる。


「遅れたのは悪い。けど可愛いは止めてくれ。現実もこのアバターも男なんだ……これでもな」


 立ち上がってもなお、そこまで変わらない視界。


「ならなんでそんな可愛くて小さいアバターなんて構築したんだい? 私は好きだから一向に構わんがね。むしろそれがいい」


「面倒だからランダムで作った。特に違和感も無いっての凄いよな、このゲーム」


 普通の没入型ゲームでは、設定の身長にリアルとの差があると、その分()()が大きくなるらしい。

 しかしこの通称<すこしふしぎわーるど>では、リアルと大きく異なる体型でも普通に動くことが出来るのだ。これはゲームの売りの1つらしい。一部のプレイヤーには残念なことに、性別までは変更出来ないそうだが。


「ランダムの割りに随分とまた、良い感じの男の娘になったものだね。リアルと身長含めてそんなに変わらないけど」


「それを言うなし」


 成長期が過ぎかけてるのに、伸びない身長のことを持ち出すのは戦争だぞこいつ。自分はにょきにょき伸びよってからに。


「それで? せー。君のネームは何て読むんだい? それとも記号は読まないタイプ?」


「これか? これは、〈せいさん〉って読むんだよ一応。生産するプレイヤーが欲しいって言ってたしな」


「確かに言ったけどさ……。それでネームにまで入れるかね。課金アイテムでリネームは可能だけどさ。第一なんでそれでさんって読むのさ。せいは分かるけど」


 おっと、申し遅れたな。

 ぼくのプレイヤーネームは〈聖⚙〉。

<すこしふしぎわーるど>リリース第四陣の新規プレイヤーである。


「太陽のマークだから、さん、で良いんだよ。同一ネーム不可みたいだったし、記号つければネーム通るかなって」


 生産キャラでせいさん。

 ネタネームだけどそこそこ気に入っている。


「それ、太陽っていうか、歯車じゃない?」


「……あれ?」


 気に入って……いるのだ。

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