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運び屋

作者: 献残屋藤吉郎

〇ハードボイルド詳説「運び屋(殺しのシリーズ)」


始末やシリーズ、、、殺しの後の後始末




(1)殺しの後の始末屋「運び屋」




網走虎次郎はトラック野郎と言われて15年になる。関東筑波山の麓にトラック拠点を置いて、北海道から九州薩摩まで走りまくっている。


トラック運転仲間では知らぬものがいない、、、義理堅くて、思いやりにある人情豊かな男であった。


約束したことは必ず守り、荷物を荷主に送り届けるいいとこであった。荒くれ雲助ではあるが、信頼されていた。


トラック野郎の面倒見は良く、、、誰からも慕われていた。


北海道釧路港でのことだった。トラック野郎の荷札三郎が、、、


「虎さん、頼みがあるんだよ、、、荷物がだぶちゃって、困ってんだけど、、、手伝ってもらえないかな」


「頼まれてもいいよ、、、丁度、福岡までの荷物で、荷台がサブちゃんの荷物ぐらいなら乗るよ。。。」と虎さんは気軽に引き受けた。


その晩、虎次郎は釧路を出発した。


北海道釧路から、福岡箱崎港までの旅となった。釧路から東京芝浦、そして、釧路までフェリーを利用した。


暫く船旅となり、虎次郎は太平洋を眺めてゆっくりした。


フェリーを利用するトラックは多く、今は陸上だけを走ることはなかった。


虎次郎が船室で休んでいたら、、、、


仲間の運転手が、「虎さん、、、誰かが虎さんの車を、なんかしているよ、、」と夜中に起こされた。


虎次郎は運搬する荷物を悪戯されたり困るので、起きて、デッキに見に行った。


確かに、虎次郎のトラックの荷台に乗って、何かを探していた。


「こらーーー、何してんだよ、俺のトラックに。。」


声をかけられて、荷台に乗っていた。


怒鳴られた人間たちはびっくりしてか、、、振り向いた。


しかし、どこうともしなかった。


なんか言ってたが、言葉が分からなかった。


一人が日本語を話していたので、理解できた。


ロシア人だった。。。。自分たちの荷物がなくなったので探していたようだった。


日本語の分かる人間と話し合い、その場は収まった、


虎次郎も納得して部屋に戻った。


後でわかった事だったが、東京芝浦桟橋で乗船したのだが、自分たちの荷物が行方不明になり、困っていたのであった。


公安を読んで調べてもらった。


そして、どえらい事件が持ち上がった。






(2)覚せい剤が積み込まれていた。


虎次郎のトラックに荷台荒しが見つかったので、公安が一応、虎次郎の荷物を改めた。


公安もロシア人の窃盗ぐるみなので疑って、虎次郎の荷物を念入りに調べた。


その結果、後から積み込んだ荷物の中に「覚せい剤」が積み込まれていた。大変であった。


虎次郎は身に覚えのないことであったが、覚せい剤であるので、疑われ、取り調べを受けた。


最終的には無罪放免であったが、荷物は没収であった。


勿論、ロシア人たちは逮捕された。知らぬ間に「覚せい剤」が積み込まれての事件であった。


虎次郎はトラック野郎をしていて、初めて恐ろしさを感じた。自分が注意していても、気が付いたら犯罪に巻き込まれて、犯罪者にされていた、、と言う怖さ。


公安及び警察の取り調べがかさなり、目的地への到着が遅れたが、、、その責任は取ってくれない。警察とはふざけたところだ。。。。しかし、仕方がないことなのか。


いつもの得意先に荷物を届けて、遅れたことを詫びた。


「すいません、、、事件に巻き込まれて遅れてしまい、申し訳ありませんでした。」


虎次郎たちの仕事は時間を守り、安全に無事届ける正確さが大事であった。


虎次郎に取っては災難であり、不可抗力な点もあった。


しかし、ミスには違いない、、、管理不行き届きだった。言い訳は聞かなかった。


この事件が大きく報道されてしまい、虎次郎の運び屋の仕事も少し減った。


荷物を下ろした、福岡箱崎港で仕事が一段落して、いつもの食堂で昼飯を食べていた。


虎次郎は今回はついていなかったと思った。


そんな虎次郎のところへ近寄ってきた男がいた。


「虎次郎さん、、、今回は飛んだ災難だったね、、」と新聞でも見たのか声をかけてきた。


「ついていなかったな、、、、俺の荷物の管理も悪かったから、、仕方がによ」と、、、運の悪いことを嘆いた。


近づいてきた男が、、、「安全で、効率のいい仕事があるんだけどな。。」


と、、話を持ち掛けてきた。


虎次郎もちょっぴりしけていたので、その話に乗ったのであった。






(3)冷凍肉10箱の輸送


網走虎次郎は今度は騙されまいと、冷凍の荷物を確認した。


牛肉の冷凍箱詰めだった。福岡の箱崎にある牛肉卸商社からの依頼だった。


箱崎から東京築地までの運搬だった。


検疫も通り、虎次郎は安心して箱崎を出発した。


途中大阪へ寄り、同じ会社の冷凍箱詰めを乗せた。今回の運賃は割増もあって儲けも良かった。


途中彦根のドライブインで昼食をとっていたら、仲間のトラック野郎とであった。


久しぶりの再会であった、北海度出身の運転手で「北海の熊さん」こと、新井熊次郎だった。


古い付き合いで、飲み友達でもあった。


「そういえば、、、やられたな。。。きおつけろよ」


と、、、覚せい剤の事を知っていた。


昔、熊さんも引っかかったことがあり、大量だったので逮捕されたことがあった。


ロシアマフィアには気を付けないとな。。。。。


お互いに励まし合いながら別れた。


虎次郎もいろいろあったが目的地の築地に無事荷物を運んだ。今回は何事も無く済んだようだった。


前科があるということ、疑われるようにできていた。築地に着くと待っていたように、警視庁麻薬課捜査員が飛んできた。


「なんか用事かな。。。何もしてないよ。。」


と、虎次郎が言うなり、トラックの荷台を調べ始めた。


虎次郎も頭にきて、逆らったが遅かった。


調べていた荷物から、なんか変な塊が出てきた。


それが覚せい剤だった、、、


虎次郎は思った、悔しがった。


「やられた、、、、今回は大丈夫だと思ってたのに。。。


くそーー」


大量の覚せい剤だったので、虎次郎も逮捕された。


しかし、事情が分かり、不起訴になった。


虎次郎は思った、、、「ちくしょう、、、この礼はするぞ、、必ずな」と、、、


虎次郎は不起訴になってから、福岡箱崎に戻った。


虎次郎を騙した奴を探した。必ず、見つけてやるからな、、


虎次郎は仕事を休んで、虎次郎に運びを頼んだ奴を探しあてた。




(4)覚せい剤運び屋の仲介屋


虎次郎もトラック野郎には違いないが、誇りを持って運び屋をやっていた。雲助には雲助の仁義があり、騙しは許せなかった。


虎次郎に荷物を紹介した奴を訪ねた、、、しかし、そこには虎次郎に荷物を紹介した、反ぐれの小田正一の死骸があっただけだった。虎次郎は不味い事件に巻き込まれたと思いながら、その元を探し当てた。


九州連合と言うやくざ組織だった。


そんなことでひるんではいられなかった、虎次郎はトラック野郎ではなかった。


無鉄砲な虎次郎は「九州連合」の事務所に乗り込んでいった。対応に出たのが、九州連合の副参謀の有馬一山であった。話はわかったので、騙した方が悪かったと言って、、、


虎次郎の損害を見てくれた。


虎次郎はその有馬一山とはその後、懇意になった。


有馬一山もロシアマフィアのやり口があくどいの、嫌っていた。


しかし、組織の仕事なのでやらずにはできなかったのであった。


虎次郎はトラック野郎のたまり場に戻って、今後、密輸関係の事が起きたら、自分に話してくれと告げた。


絶対に密輸は嫌いであり、覚せい剤は許せなかったのである。






(5)虎次郎大いに怒る


暫くは密輸問題も、覚せい剤の話も出なくなった。


虎次郎もトラック野郎に専念していた、、、虎次郎の弟分で追分の達治と言うトラック野郎がいた。気のいい、キップの良い男だった。


そのとこが虎次郎のところへやってきた。


「ご無沙汰してます、、、虎兄い、、、相談があってきました、、、いいかな」


と言いながら虎次郎の溜まり場と言うか、食事処にやった来た。


「どうした、、、たつ、、、話してみなよ、、、金ならないからな、、、あはは、、、」


「実は虎兄い、、、俺の妹の事なんだけどといって、、」


相談してきたことが、覚せい剤に絡んだ話だった。


妹の亭主がロシアマフィアの覚せい剤の密輸に巻き込まれてしまい、、、困っていたのであった。


「馬鹿野郎、、、なんで早く相談してこなかったんだ、、、」と言うことになり、話を聞いた。


「兎に角、今、すぐに俺のところへ来い、、逃げて来いよ」


身柄を確保してから、話に乗るから。。。


と言うことで、妹たちを秋田から呼び寄せた。


虎次郎は仲介人に会うことした。仕事を辞めさせて、、、


仲介人に会う前に「九州連合」の有馬一山に連絡を取り、今回のロシアマフィアの話を聞きだした。


かなり、やばい連中だった。


九州連合の有馬一山も情報は流すけど、気を付けるようにと忠告してきた。殺しも平気でやる連中らしい。


虎次郎は覚悟を決めた。


トラック野郎の仲間のためならば命を賭けても惜しくないと思っていたので、、、


虎次郎は九州連合の有馬一山の助けを借りて、今回のロシアマフィアの秋田事務所に乗り込んだ。


一か八かの覚悟であった。


乗り込んだ秋田事務所の責任者が日本人だった。


乗り込んだ虎次郎とは最初は喧嘩になった。しかし、その虎次郎の度胸の良さに、話は収まった。


そして、今回の事は運賃の問題だけに話が付き、今後一切、弟分の追分の辰の妹たちにはお構いなしとなった。


ロシアマフィアの秋田事務所の立花信二とはなんとなく付き合い事になった。


覚せい剤密輸とは別にと言うことで、、、




(6)虎次郎軍団


虎次郎軍団の名前はやくざ仲間にもとどろいた。そして、虎次郎軍団には密輸関係の仕事は回らくなった。


しかし、やくざ関係のやばい仕事はなくなったが、、、企業間の汚職関係や贈収賄事件に巻き込まれていった。


大企業間の頭脳プレーである、、、今回も大企業の建設会社である、大日本土木株式会社の荷物の運搬に関わる仕事での資材の横流しがあり、その手伝いをしてしまったのであった。


運搬上は分からない仕組みになっており、運搬先に分けて,巧みな罠が仕掛けてあった。


全て、本社と出先工事現場との伝票のからくりであった。


そんな高尚なカラクリなど、運転手風情には分かるはずがなく、、、公正委員会の調査がはいった。


当然、運搬するトラック野郎にも調査がはいった。


訳が分からないままに、、、運搬管理の問題が指摘されて、罰を受けることになった。


トラック野郎にはたまらない、、、罰金は取られる、、、行政処分は受けるで。。。


そんなことがあると、、、虎次郎の所に相談が回ってくるのであった。


虎次郎だって、法律的な細かいことはとんと分からない。


虎次郎が懇意にしている弁護士のところへ相談にいくのであった。


結果的にはトラック野郎が悪いことになってしまう。。。初めから騙しが入っていたので、、、依頼した企業側には責任はないと、、、


早い話が騙されたのでった。


法律的には負けである、、、、


後は騙したことに対しての責任問題が残った。


虎次郎は企業側に損害賠償を求めたのであった。


今までの虎次郎だったら、乗り込んで、文句を言って、脅して慰謝料をせしめたいた。


しかし、少し利口になり、弁護士を力を借りて、法的立証をして、損害賠償に訴えたのであった。」








(6)無残虎次郎


虎次郎もロシアマフィアに逆らいすぎたような。。。


相手は国際密輸団であり、やくざ組織でもあった。虎次郎が一匹オオカミで逆らうには組織が大きすぎた。


ある日、、九州連合の有馬一山から連絡がり、、、


「虎さん、、情報が入ったので連絡しておくよ。。。ロシアマフィアがあんたを狙っているとのことだから、、、、気を付けたな、、」


「連中は本当にやるからな、、、、気を付けるように」


そんな連絡が虎次郎にあった。


のんきなトラック野郎の虎次郎はあまり、気にしないでいた。


しかし、狙われた。。。何度か思い当たることがあった。


気を付けるといっても、気を付けようがなかった。


そして、トラック運転中に狙われた。


本当に狙撃されたのであった。


その狙撃があってから、、、虎次郎は頭にきて、ロシアマフィアの博多事務所に乗り込んだ。


虎次郎もたラック野郎だった。。。猟銃片手に事務所に暴れ込み、乱射した、、、何人かは狙撃したはずだった。。。


そのあと虎次郎の姿は見なくなった。博多の箱崎港から消えた。

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