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シックスpieceチーズ  作者: ウィザード・T
第九章 究極の配合

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「ファントム」

「bfmmkhdン、ウえくあ、h;、えfs。あ、んtkbylwq~!」



 剣を持ちながら唸り、兜を左右に動かす鎧の魔物。



「いったい何て言う魔物なんです」

「ファントムだ」

「ファントム…」

「生前よほどの怨恨を背負った魂、もちろん戦を生業とする者の魂が魔物になってしまった存在だ」


 戦いに戦いを重ね、手段のはずの戦いが目的になっちまった魔物って事か。


「弱点は」

「ハラセキ殿…」

「わかりました!」


 ハラセキが暴れ回るファントムに向け祈りをささげる。


「ノージはとりあえずタフネスチーズを村人たちに配ってくれ、私とコトシ殿でどうにかする!キミハラ様は村人たちを頼みます!」

「了解です!」

「gylwqlんくえw:。えgyぃづえ、;いえ;。う~!!」


 確かに戦いに憑りつかれた亡霊の魂を鎮めるのは聖女様の役目か。ならば俺は支援するしかない。


「戦に囚われし魂よ、安寧を求めあるべき場所へと還れ……」


 聖女様の祈り。もしこんな状況じゃなきゃ俺の気持ちも落ち着いて来そうなほどの声。



 ガキーン!


 そんな所に無断侵入する金属音。


 耳に入り込んで体をすくませる音。

 まったく、作ったチーズがこぼれ落ちそうになる。

 前ではなく手元を見て、じっとチーズを作る。そして、村人さんたちに手渡す。

「聖女様にも!」

「とりあえず皆さんです!」

 オカマゴ村の皆さんも、リンモウ村の皆さんも、聖女様のために魔物に立ち向かおうとしている。この人たちのためにも、俺は俺にできる事をする。


「fkmwきぇぃ888おえふぃじょw~!」


 ファントムは意味の分からない言葉を叫びながら剣を振り回す。かなり素早く、それでいて重い。

「ファントムは生前の強さに左右される魔物だと言うが、こりゃ生前も相当強いな」

 キミハラ様は冷静に物を言ってるけど、正直簡単に勝てる相手ではない。確かに元々強いのはわかるが、それでも今の今までどうして出くわさなかったのか。

(このファントムはいったいどこから来た?)

 ファントムって魔物が戦いに支配されてるって言うんなら、それこそ戦場がなければいけないじゃないか。この辺りで戦場が、いつどこにあったって言うのか。

 方角からすると南、つまりヅケース家のお屋敷の方角だが、まさかそこに隠れていたとでも言うのかよ。


「ぎゃぇw、l;う、h;じ;ちあいr~!」

「ぐぅ…!」

 唸り声と、根を詰めて受け止めるようなミナレさんの声。

「ミナレさん!」

「大丈夫だ、しかしそれにしても強い!そして、刃が鈍らぬ!」

「鈍らない?」

「ああ、ハラセキ殿ほどの聖女の祈りならばファントムは戦いを忘れ刃を鈍らせるはずだ!それがちっとも軽くならん!」


 聖女様の祈りが届けば鎮まるはずの魂が、まったく弱らない?


「そんな、聖女様が!」

「コトシさん!」

「dkんdl、kfl、;twkんqtむkqy~!」

 村人さんたちの悲痛な叫びにも知った事かと言わんばかりに、ファントムは暴れ回る。コトシさんに向かって叫びながら剣を振り、剣を叩き落とそうとしている。

「速い、速すぎる!」

「控えてはいられないか!」

 キミハラ様も突っ込むが、三対一になってなおファントムの戦いぶりは衰えない。三人の腕達者を相手に次々と武器を弾き返し、こっちの攻撃をまるで受け付けない。


「どうなってるんだ……」

「聖女様の祈りすら通じねえとは、これじゃもう…!」

「gyぃうぇ7ふ@じおj@0r9あ~!」

 村人さんたちの不安を煽るように吠えるファントム。その刃は一向に衰える気配がない。


 でも、どうにもしっくり来ない。



「どうもおかしい」

「何がだ!」

「こっちを殺す気がないのかもしれない」



 さっきから、どうにも本人ではなく剣ばかり狙っているように見えて来る。



「ファントムが武器ばかり狙う事はあるんですか?」

「勝つためにはやるかもしれない!ファントムはあくまでも生前の習性に忠実だから!」

「でもこのファントムは戦いの勝利を求めていても相手を殺す事は求めてないように見えます!」

「何…!」


 確かに武器を落とさせれば戦いには有利だ。でもそれだけでは勝つ事はできても命は奪えない。

 ファントムが戦いを好む魔物だとしても、戦いに勝つだけで勝ってそれっきりだなんてそれじゃ魔物って言うよりただの愉快犯じゃないか。


「んーjd-st、rwうr。@あr・sじいjp~!」

「確かにおかしい。だがだとしても現状これを止めない訳には行かない!このままでは村人たちの心が持たんぞ!」

 でも実際、こんなに叫ばれながら人殺しの道具を振り回されていると怖い。

 こんなのが続いたら心が持たなくなってもおかしくはない。


 だからと言って正直チーズ以上の手も……




「おい、なんだか寒くないか」

「いや俺達は平気だぞ、ノージさんのチーズのおかげでなー」




 俺のチーズのおかげで、寒くない?




 はて、もう雪もないのに……



 

「よう、チーッズ!」

「えっ?」




 陽気な声と共に起きた、小さな吹雪。




 そこからギャグと共にまっすぐに飛んで来たのは、真っ白なドレスのお姫様!

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