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シックスpieceチーズ  作者: ウィザード・T
第七章 ある結末の後に

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(ヅケース視点)冒険者め!

「オカマゴ村の連中が、閃光の英傑のメンバーを処刑……!?」

「間違いございません」

「妻を呼んで来い!」



 …何と言う事だ。

 せっかく、目をかけようとしていた所に。

(閃光の英傑はこれで実質二人、いや最近増えたとかで三人……)

 一人が勇者を自称する腕利きの剣士、一人は装甲の厚い重戦士、最近加わった一人はその二人の補助役。はっきり言って、アンバランスだ。

 最近は好調とか聞くが、それでもあの魔導士が死んでしまったのはあまりにも痛手だ。


 閃光の英傑からしても、我々からしても……。



「あなた様」

「クロミールか……」

「何事です、そんなに青い顔をして」

 クロミールはいつもながら優しい。そして早い。

「わしが目をかけて取り込もうとしていた閃光の英傑メンバーが、オカマゴ村の連中により処刑された」

「いつそんな命令を下したのです!」

「出しとらん!」

「ああ失礼しました、申し訳ございません……!」


 だが同時に、激しい。

 必要とあらば高く激しい声を上げ、こちらに思いを伝えようとしてくる。そしてしまったと思えばすぐに過ちを認める。そういう所もまた良い。


「それでなぜそんな事に…」

「どうやらオカマゴ村に火をかけて焦土と化そうとしたとある。その所業に怒り狂った村人により捕縛されめった打ちにされたこの世を去ったと」

「…………そんな!」

「ああ、その通りだ。わしがリンモウ村がどうなっているのか調べている間にこんな状況になっていたなど」

「リンモウ村と申しますと、リンモウ村はもう完全に解放されてしまったようだと」

「そうなのだ……」


 そして閃光の英傑と同じく問題なのはリンモウ村の情勢だ。

 あの数年間の冬に包まれたはずのリンモウ村が、ほぼ一瞬にして普通の村に戻ってしまった。

 これがキミハラの功績でなければ誰の手柄だ。


「これで村人はますますキミハラに懐く。村人たちはキミハラを後継者に据えねば最悪そっぽを向きかねん」

「そのような弱腰!」

「わかっておる。あれを後継者にしたら貴族が貴族でなくなる。まったく、どうしてああもうキミカッタと」

「キミカッタのように勇猛であれば良いのに……そのくせ決して腕で劣っている訳でないのが何とも悩ましい所です」


 キミハラはとにかく甘い。

 その甘さを領国全土に広げ、村人たちになめられる事をよしとしている。そしてその甘さこそが自分たちの生きる道だと信じており、わしらが引き締めれば引き締めるだけ平気で私財を削って施そうとする。それこそ三食すらまともにやらない使用人以下の待遇に落としてもまったく泣き言の一つも言わず、キミカッタにいくら叩かせても平気で立ち上がって来る。


「何とかならないのですか」

「一応情報は掴んだ。キミハラが雇い入れていたのが、あの王女様が率いていたノージとか言う冒険者の小僧だった」 

「そうでしたか」

「キミハラは間違いなく、その小僧の力で雪の女王を鎮めた。我が娘に対しての大罪人を用いてな。だがそれでは決定打にはならんかった」

 ただ、それだとやや甘かった。ノージがそんな事をしていたとは知らなかったと言ってとぼける事は十分可能であり、最悪キミハラがツヌークを立場を読まず見捨てる可能性もある。

「だがオカマゴ村の話は大きい。閃光の英傑は我々が目をかけようとするだけでなく既にかなりの地位を誇っていた冒険者グループだ。その一員を殺したとなれば相当な理由が必要になる。……だろう?」


 そんなわしらの次の一手に必要なそれを妻が持って来てくれた、そう感じたわしがゆっくりと言葉を紡ぐと、クロミールは深くうなずいた。


「実は閃光の英傑のメンバーであるギビキの処刑を主導したのはあのノージ、そしてハラセキです」

「ハラセキ?そんな力が」

「ええ、あのメイドは言葉巧みに王女様をそそのかし、身のほど知らずにも自分を虐げた我が家への復讐を企んでいるのです。なぜかわかりませんが急に美貌を得た物ですから調子に乗り、何でもできると勘違いしているのでしょう。キミハラの甘さを勘違いしていたとしても驚きませんし」


 そうか、ハラセキか。

 なぜあんなメイド一人にこだわるのかと思ったが、その美貌を当てにしていたのか。

 まったく、油断も隙もない!


「手配書を出しましょう」

「そうだな。どうも決定打が足りないと思っていたがこれで完成だ。早速今日中に手配書を作りトウミヤ市のギルドに送らせよう」


 罪名はヅケース家の長女ツヌークを辱めた事、閃光の英傑の一員であるギビキを殺させた事。

 賞金はとりあえず金貨二百枚。

 あとついでに、王女様を惑わしている罪も追加しておくか。


「それであなた、閃光の英傑の残るメンバーを」

「できれば招きたい。ギビキを失ってしまった戦力を補うぐらいの事はする」

「その点は私にお任せください」


 クロミールは頼もしそうに胸を叩く。

 まったく、わしは本当に幸せ者だ。




 こんな素晴らしい妻がいて、勇猛な息子がいて。


 そしてここに、もう一人……いや、もう……わからん。まあ気にしないでおこう。

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