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シックスpieceチーズ  作者: ウィザード・T
第七章 ある結末の後に

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43/89

罪人としての死

公開処刑シーンあり、注意。

 数日滞在したオカマゴ村を後にする事になった日。

 結局新たなるチーズを見つけられないまま、ギビキとの戦いで終わってしまった村。




 未だに、あの笑い声は消えない。





「アハ、アハ、アハハハハハ……ヒャハハハハハ……ノージィ……今すぐあたちにぃ、しもべにしてくだひゃいっておねぎゃいしてー……」




 文字通り、はりつけにされたギビキ。


 きれいなローブは破かれ、下着で肝心な所だけを隠しているだけ。

 それ以上に顔も言葉もまともじゃなくなっていた。


「可哀想と言う言葉は間違っているでしょうか」


 それでも最後の最後まで笑い、俺の上に立とうとしていた。

 あるいは死刑って判決自体私刑かもしれねえけど、これを生かしておくのは本人のためでさえなさそうなことぐらいは火を見るよりも明らかだった。

 磔にされたギビキには次々と槍が突き刺され、次々に地面が赤く染まった。その際にも「痛い」の一言さえ言わず、笑ったり上から目線でお願いしたりするばかりだった。いくらハラセキのおかげで物質的被害がゼロに抑えられた所で、心理的被害については文字通りのけた違いだったから村人たちは当然ながら怨嗟骨髄だし、容赦のない処刑が行われたのは当然だろう。

 俺でさえもああそうなるよなとか全く人ごとその物の感想しか出て来なかった。


「死体は?」

「当然の如く焼かれます」

「首をさらすことができないのを悔しがっていたがな、それについては致し方あるまい。相手は一応権力者だからな」


 Aランクパーティの「閃光の英傑」の一人であるギビキは、表向きにはかなりの有力者だ。それを何らかの理由で殺したとなれば、それこそギルド全体から睨まれる事になる。かと言って誰かに引き渡してやろうにも、握りつぶされる可能性がなくはない。

 何せ、証拠がないからだ。


「いざとなれば私の名前を使うぐらいの事はするが」

「ありがとうございます…………」

「言葉を濁す意味は重々分かる。あれから数日、本当に大変だったからな、悪い意味ではないが……」




 そして、ここ数日主役になっていたのは言うまでもなくハラセキだった。




「伝説の聖女様の再来とか、私はただ……!」

「あの働きを見せられると私でもそれぐらい言わざるを得なくなるぞ」


 聖女・エゼトーナ様にも負けず劣らずの奇跡。



 まさに聖女様の生まれ変わり。



 そんな風に言われ、オカマゴ村の人たちに取り囲まれていた。


 いや俺はエゼトーナ様の事をよく知らないけど、村人のもてはやしようは半端ではなかった。我も我もとお酒やらお肉やらを食べさせようとし、頭を下げるどころか五体投地して拝む村人もいた。


「っつーかミナレさんもミナレさんですよ!」

「フフフ…」


 それでハラセキもハラセキで


「私はその時の事をよく覚えていません、懸命に歌っただけです。ノージ様の事を思って」

 なんて抜かしてくれたもんだから、俺もまた「聖女様の思い人」扱いされて大変だった。

「一日の三分の二以上働かされ、睡眠以外安息なしだったからな。そこに現れたノージはまさに救世主だっただろう」


 その上にミナレさんまでハラセキに対するヅケース様たちの扱いをしゃべってくれたもんだから、もう大騒ぎだ。

 聖女様の生まれ変わりがいたのになぜ気付かないんだバカとか言うのはまだ可愛いもんで、それこそ租税を治めるのをやめてやるとか言い出す人間まで出た。

 

 で、村人たちの話によるとやっぱりキミハラ様は人気で、キミカッタ様とツヌーク様は不人気だった。ヅケース様がその不人気なキミカッタ様を次期当主に据える気だと聞かされてため息を吐く姿と来たら、正直申し訳なくなるぐらいだ。


「リンモウ村を襲っていた、いや襲わされていた雪の女王も解放された。しかもキミハラ殿とかなり親密になりそうだ。それでこの村の住民がキミハラ殿に味方するとなると…」

「とんでもなくややこしい事になるのでしょうか」

「ああ。あの調子だと戦争が始まるかもしれねえ。あの奥方様って人は、ほぼ間違いなくハラセキを憎んでやがる。俺が奥方様の娘であるツヌーク様をどうこうした事はたぶん二の次だ」


 —————根拠はないが、なんとなく確信していた。

 なんとなくだが、あの人はハラセキを責めている時の方がツヌーク様を褒める時より生き生きしていた。それこそが本領発揮っつー感じですげえ楽しそうでもあり、どこか魔物を斬るアックーにも似ていた。


「それでだ、その通りになったとしてそなたはどうする気だ」

「わかりません。一応冒険者を数年やって来ましたけど、ここまでの争いに関わった事がなくて」

「よろしい。そうやって素直に不得手な事は不得手と言えるのは一種の才覚だ。

 だが残念ながらもう戻れない所まで来ている」

「それって…」

「見よ」




 俺の視界に入って来た、一人の男性。


 イケメンぶりを振りまきながら向かってくる男性。


 会いたくもあり、会いたくもない男の人だった。

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