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シックスpieceチーズ  作者: ウィザード・T
第五章 俺の最強の切り札!?
27/89

多くのオークの死因

キミハラ「ウククククク……wwwwwww」

「北側はかなり視界が開けているな」

「南側とは全然違います」


 オカマゴ村への街道は、北側が雪が消えて雪山向けの木もなく茶色い字面がむき出しなのに対し南側は普通に俺の数倍ある樹木が立っている。

 その街道を行く俺達は、言うまでもなく南側を警戒する事となる。


「魔物とかいるのかなって」

「でも南側には西にご当主様の邸宅がございます。そんな場所に魔物を残しておくなど」

「だがあのキミカッタとか言う男だろう。それこそ訓練相手とか言って適度に生かしているかもしれない。まあ狩り尽くしているかもしれんがな」

 確かに冒険者稼業に魔物は必須だ。とは言えそれを、家のすぐそばにわざわざ生かしておくなど正直わからない。お貴族様の道楽とか言っても、限度ってもんがあるだろう。


「で、どんな魔物がいるんです」

「この辺りに多いのはオークだな。豚の顔をした魔物で力自慢だ。ただ我こそはとなりがちで団結力は弱い。しかし逆に言えば、弱った所を突く力は優れている。そして同士討ちなどはしない」

 我こそはと手柄を立てようとして失敗するけど相手に傷を負わせ、結果的に幸運な一匹が手柄を立てると言う訳か。コボルトに似てるけど同じかそれ以上に厄介みたいだ。


 —————とか思っていると、足音がした。


「来たか」


 すかさず俺とミナレさんは得物を抜き、ハラセキも腰に手をやる。

「ナイフの扱いは慣れているのか」

「一応包丁の扱いはできますが」


 今度の報酬としてもらった品物の一つであるナイフ。

 俺の使ってる剣よりもむしろきれいに輝くそれで肉を切り、皿に盛り付けたいってハラセキは言ってた。でもしょせんは刃物だ、肉が切れるなら命だって奪える。


 これから始まる刃傷沙汰。果たしてどれだけの敵が来るのか、じっと耳を澄ませる。




 ——————————だが、おかしい。


 足音そのものは確認できるが、明らかに数が少ない。いや数が少ないのはいいとしても、足音が弱い。


「隙をうかがっているのでしょうか」

「こっちに気付いているにしてもどこか弱々しい。隙をうかがっていると言うよりどうにかして体を引きずっている感じだ。間違いなく方向はこっち向きなのだが」

 引きずっている?それってまさしく重傷者の動きじゃないか。オークが戦いもしないのにいきなり重傷を負うだなんて。

 実際、これまで幾度かオークと戦った事はあるけどミナレさんの言う通り決して同士討ちなんかする魔物じゃない。相手を見極めたうえで一騎討ちにこだわり、必死にこだわる魔物だった。そのせいでオーク討伐の際に目を付けられて逃げ回り、ギビキに助けてもらうまでかけっこをする羽目になった事もある。


「あ、来た……」


 そんなオークを迎えた俺の口から、またまた間抜けな声が飛び出す。


 でもそうなるだろう。


 だって、森から出て来たオークは……




「死に、かけ……?」


 左右に傾きながら、武器と思しき剣を地面に突き立てている。と言うか、完全に杖代わりにしている。

「ウ、ア、アア……」


 そしてそのまま前のめりに倒れ込み、二度と呼吸をしなくなった。


 口から血が流れ出て草を濡らす。目は濁り、大口を開けたその姿は本当に苦しそうだった。


「何があっ…」

「ア、アア」

 オークの死体に近づこうとした俺に向かってまたうめき声が飛んでくる。

 足を止めて身構えるが、すぐさま倒れ込む音がする。連続して、聞こえる。


 いかにも力尽きて倒れた様な音だ。それがこうして連続するなんて当たり前だがただ事じゃない。

「先客がいるかもしれんな」

「先客って、俺達は安全にオカマゴ村に行ければそれでいいんですけど」

「その通りだがそれでも無視はできん」


 ゆっくりと林の中に入り込んで行く。また時々うめき声がするが、それに続いて倒れる音がする。

 いったい何があったのか。視界の良くない林の中で木々がこすれる音さえも邪魔くさいぐらいの気持ちでいると、まだ元気なオークの個体がいた。



「ウアアアア……!」



 喉の奥から絞り出すような声と共に突進して来たオークに対し、ミナレさんは冷静に武器を構える。腐った葉っぱが積もった字面であまり足場は良くないが、それでも俺はじっと踏み込みながら敵を待ち受けた。


「ウ、アア…!」


 だが、オークは走りながら倒れ込み、武器を地面に突き刺したまま寝転んだ。元から転びかけの態勢で走っていたとしてもあまりにもあっけない有様であり、俺が一歩近寄った所でわずかに右手の指が動いたのが最後だった。

「どうしてこんな事に」

「調べてみよう」

 とりあえず俺達はオークの死体を見聞した。

「外傷はないか」

「ないですね」

 傷らしき箇所はない。死体をひっくり返しても横にしてもまったくの無傷であり、どうやって死んだのかわからない。

「毒、でしょうか」


 毒。確かにそれがもっとも理屈に合った話だ。



 だが

「他のオークの死体も調べてみたが、全て外傷はない。顔が紫色になっている事からしても毒だろう」

 仮に毒だと言うのならばこれはどういう事なのだろう。

「毒ってのは口から入れるもんだがな……」

「口を開いたがその様子もない。あるのは手形、いや小さな指紋のような物だけだ」

「指紋……?」


 正直訳が分からん。


 オークたちを倒したのは、触れるだけで毒を入れられるような奴だって言うのか……?

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