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シックスpieceチーズ  作者: ウィザード・T
第四章 雪の女王

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(間章)ノージ、ノージ、ノージ!(アックー視点)

「ああもう!!」


 飲まなきゃやってられねえってのはこの事だ!


 どう考えても、おかしいじゃねえか!


「ちょっとアックー、いくらなんでも」

「グガー」

「うるせえ!とっとと持って来い!」


 安酒をあおるだけあおり、ションベンを便所に流し込んでもちっとも酔えない。

 ルワーダもルワーダで飲まずにオロオロするばかりだし、ギビキに至っては一杯で気持ちよくいびきかいてるし!っつーかいびきの汚ねえ女だ!







 ——————————なんで、この閃光の英傑が三連敗もするんだよ!







 まずドラゴン討伐だけど、これまでと同じペースで進んだだけなのに二日で全員疲労困憊に陥り派手に寝過ごし、そしていざドラゴンと対峙したら灼熱のブレスにより派手に焼かれて撤退と言うか退却。


「十年、いや百年早いわ!」


 そうドラゴンに笑われた時にははらわたが煮えくり返る思いだった。

 おかしい。あのドラゴンはこれまで俺がやって来た魔物と同格だったはずなのに。


 そんで次の地下20階のダンジョン制覇だけど、7階の段階で体が重くなって動けなくなり、さらに変な霧を吸い込んだのかやたら眠くなり、ギビキが必死に魔法を使って逃げるしかなくなった。

 っつーかギビキもここ最近えらく不振なのかそれで魔力が切れちまったっつーし!

 それで調べてみたら、以前やっつけた魔導士の使ったそれと同じだった。ふざけんなよ、どうしてこうなる!


 まあそういう訳で名誉挽回とばかりに山の魔人に挑もうとしたが、やっぱりこれまでと同じようなペースで動いたのにすぐばててしまい、そしてドラゴン討伐の時と同じように寝過ごした結果今度は別のパーティに討伐されてしまった。








「こんなにも連続で失敗するなど、残念ながら処置を下さねばならない」


 っつー訳で閃光の英傑はめでたくBランクパーティに降格だよ……!


 チクショウ、いったいどうしてだ!?どうしてこんなにも失敗するんだ!?


「だから言ったのだ、ノージなしではその程度、いやさらに落ちて行くと」

「おっさんは黙ってろ!」

「黙らん。常日頃から君たちの彼への扱いには辟易していたのだ。私が引き抜こうかと思ったが君たちがきっちりとお金は渡していたから見過ごしていたのだが、今思うと強引にでも引き抜くべきだった。まあ私自身ずっとソロでやって来たからそれはそれで合わないかもしれなかったがな」


 で、コトシっておっさんもこんな風にベラベラと舌を回すし、その上に文字通りのべた褒め。

 なんなんだよ、こんなに嫌味ったらしいおっさんだったなんて初めて知ったぜ。







 そんな訳でヤケ酒をあおったのにちっとも酔えない。ルワーダはギビキの介抱とか言って逃げちまうし、この不満をどこにぶつけりゃいいんだよ!


「えらく荒れているようですね」

「何だよ!」


 そんな訳で一人っきりで一杯銅貨二枚の安酒をあおっていると、黒いマントを羽織った男がいきなり俺の前の席に座った。


「デーキと申します」

「俺が閃光の英傑のアックーだよ。で、何の用だ」

「私、一応回復魔法も使えます」


 やけに輝く金髪を撫でながら、少しいけ好かない笑顔をする。まあ最近つとにおどおどして来たルワーダや小悪魔なギビキとはまた違った顔で、正直嫌いではあるが大嫌いじゃない。


「まさか新メンバーかよ」

「そうなります。ああ報酬は一割で結構です。荷物持ちと回復魔法、あと給仕役しかできないので」

 ずいぶんと謙虚だ。まあ使えなきゃ一発で切り捨ててもいいしな。

「で、なんでまた」

「単純な話です。お金です」

「金かよ。まあいいよ、じゃあ今度から頼むぞ」


 俺はこのデーキって奴をメンバーに入れる事にした。

 少なくとも俺には従順そうだし、深々と頭を下げる姿勢からしても大それたことは起こさねえだろう。


「それと…………」


 と一瞬思った俺に、デーキとやらは一枚の紙を突き付けて来た。

 そこに記された文字は何とも綺麗に輝き、俺の酔いを醒まし希望を与える。


 こいつとなら、行ける気がする。



「じゃああと二人いるから紹介しに行くぞ」

「ありがとうございます」


 俺の後ろを丁重に付いてくる辺り、本当に分ってのをよくわきまえてる。

 これで我先にと行こうもんならちょいと背中でも蹴り飛ばしてやってたな、ノージの野郎のように。

 ってノージなんかどうでもいいんだよ。こんな奴が加わったんだから。










「あなたは…」

「ルワーダ、挨拶しろ。こいつが閃光の英傑の新メンバーのデーキだ」


 ルワーダはここ最近自信喪失したのか妙に縮こまり、口数も減っている。っつーか俺もだがこいつも最近動きが悪い。


「ああよろしくお願いします」

「よろしくで十分ですよ」

 おおえらいえらい、本当こういうのってありがたいよな。あのノージって野郎はタメ口を常にきいてたから本当にうざ……ってああもう!

「ギビキ!」

 だってのにギビキの奴はみっともなく肩や足を出しながら寝てるし!

「ああ、眠…」

「失礼します」


 そんなギビキの頭の方にデーキは手をやり、回復の魔法を投げかけた。


「ああ気持ちよく目が覚めたー」

「これは顔見世と言う物です、どうかこのデーキをよろしく」

 なるほど、さっそく回復魔法のお披露目って訳か。

「な?使えそうだろ?」

「ああよろしくー」

 ギビキはゆっくりと体を起こしながらデーキの差し出した手を握る。ったく意外とちゃっかりしてやがんな。まあ気分がいいから許してやるけど。


「さてではさっそくクエストに参りましょうか」

「ああそうだな。連続の失敗で閃光の英傑の名前が傷ついてる。ここらで一発何とかしとかないと」

「共に頑張りましょう」


 こいつと一緒にやってやろうじゃねえか。

 閃光の英傑の、真の栄光を。




 俺とデーキは、二人を部屋に残して仕事を探しに行く。ギルドマスターやおっさんはため息を吐いてたけど、吐きたきゃ勝手にやってろ。


「で、だ。さっき見せたのは」

「ああ、私の伝手ですよ」

 そんなうっさいおっさんたちの目からちょっと離れたギルドの隅っこで、俺はデーキに向かって少しかがんだ。


 あんな所とつながるような伝手があるだなんて、人は見かけに因らないもんだ。


 こいつは相当な掘り出し物かもしれねえぞ。


「それで……」

「あいつをって訳か」

「ええ」


 そしてその掘り出し物で、俺たちはさらに成功できる礎を築けるわけだ。


 本当に、その日が待ち遠しくて仕方がねえぜ。




 待ってろノージ、お前の最期はもうすぐだ!

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