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散らかっているけれど、ゴミ屋敷と呼ばれるようなひどい状態ではなく、汚い部屋という表現で落ち着くレベルだ。
「さて、ミオとラズはまずはこれじゃ」
ルン盤を手渡された。
「はい、じゃあ、ラズから先にどうぞ」
と、ラズの頭の上に乗せる。ホルン爺さんが血の付いた手で撫でたせいで汚れてしまった頭がすぐにきれいになった。
「じゃあ、次はミオな」
ラズが私の頭の上にルン盤を乗せた。
ちょっとくすぐったいけれど、
「え?」
ルン盤をどかせば、汚れた髪が綺麗になる。自分では見えないけれど、ハーグさんが驚いて私の頭の匂いを嗅いだので……って、どうして嗅ぐの?
「綺麗になってる。血の匂いもしない。どういうことだ?それ、何だ?」
「アーチファートって言うんだ」
ラズが胸を張った。
「ラズ、アーティファクトだよ」
「そうそう、アーチファクト」
ハーグさんが首をかしげながら、ルン盤を手に取った。
「アーチファクト……?この金属の円盤が?どうしてこれで汚れが落ちたんだ?」
ああ。ハーグさん、アーチファクトじゃなくて、アーティファクトです。もう一度訂正した方がいいのか、話をつづけた方がいいのか分からず口をつぐむ。
「ったく、ミオ以外の口はポンコツじゃのぉ。アーティファクトじゃ。古代の魔法道具。今は失われた技術によって作られている道具じゃ」
そういいながら、ホルン爺さんは大きなポットを持ってきた。
4人分のお茶を入れるには大きすぎる、子供用の丸太の椅子くらいありそうなポットだ。金属製で、注ぎ口は短くてごついごつい形をしている。
「ホルン爺さん、手伝いますっ!」
ホルン爺さんが笑った。
「まぁ、まずは見ておれ」
ポットの蓋を開けると、中身は空だ。
水瓶から4人分の水をホルン爺さんは入れた。
「水?ポットを火にかけるのか?……いや、俺が沸かせばいいのか。これくらいの水を沸騰させるにはどれくらいの火魔法にすれば……」
ホルン爺さんがハーグを制する。
「お前さんは火属性魔法が使えるのか。じゃったらこの『火ファール』もありがたみは感じぬかもしれんが」
ホルン爺さんの言葉に、ラズが首を傾げた。
「火ハール?」
「火ファールじゃ。ワシが見つけたアーティファクトのうちの一つ」
「アーチファクトの一つのティハール……?」
ラズ君、悪化してます。
「蓋をして、暫く待つ。その間にコップを準備……おっと、暫く使ってなかったから汚れておるな。客がこの屋敷に来るなんて初めてのことじゃからの……」
食器棚に置かれたカップを手に、ホルン爺さんが眉を下げた。
「はいっ!私が洗います!洗い物得意なんです!やらせてください。あ、ついでに全部汚れてるの洗っていいですか?」
洗い場には使ったままになっている食器も積まれていた。
「いや、今は客人なんじゃ、気を遣わんでええ」
「でも……」
何もせずにお茶をごちそうになるなんて初めての体験で落ち着かない。




