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僕の生まれた世界
僕は一人きりで生まれた。
ここには誰もいなかった。
お父さんもお母さんもいない。
僕は一体誰なの?
というか何なの?
僕は自分が何者かも分からない状態でここにいる。
僕は産まれてすぐに言葉を理解していた。だからこうして回想できている。どうしてだろうか? 僕の周りには誰もいない。言葉を話す声は聞こてこなかった。
つまりはその時点ですでに僕には言葉の概念があったっていうことだ。考える力がある。思考を表現する術を得ていたんだ。
それってつまりはこういうことだ。
僕は大天才。もしくはこれは誰かの想像でしかない。その誰かは僕かも知れない。つまりは人生なんてそんなものだ。僕達は、常に誰かの想像に依存している。
僕はしばらく暗闇の中にいた。
そこでなにをしていたのかなんて意味がない。だってそれは母親の胎内で過ごす時間を意味している。僕はただ、意味もなくその先の世界に憧れていただけだったのだから、