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第六十三話 反撃の一撃

なんか凄く長くなりました。

嬉しいです。

マリトッツォとは少し離れた町の中、明らかに怪しい恰好(かっこう)の少年がマリトッツォの方を大きな時計台から見ていた。


「見てみろ、ミリアナ!なんか、凄いことになってるぞ!」


黒髪に赤のメッシュの入った少年が時計台の頂上から見下ろして言う。

右手に赤い包帯を巻き、目は金と黒のオッドアイズだ。

現代に居れば確実に写真を撮られるだろう。


「流石です!いきなり『俺を呼ぶ声が聴こえる!』って言って、私との花見の約束を直前でをすっぽかしただけはありますね!」


ピンクの髪の少女が皮肉たっぷりに笑顔で叫ぶ。

更にわざわざ時計台の頂上に登り、避雷針(ひらいしん)の上に立っている少年とは距離があるので結構大きな声で話さなければなかった。

毎回毎回少年はこんなことをしてくるので、慣れてはいるとはいえ、いちいちめんどくさい。


「だろう?俺は凄いからな!当たり前だ!……………よっと!」


この少年は馬鹿なので皮肉には全く気付いていない。


少年は時計台から飛び降り、ミリアナの隣に着地する。

砂埃一つ落ちず、音も鳴らなかった。


「それで、何かいい物でも見つかりました?」


ミリアナは一応人間なのでそんなに遠くのことは分からない。


一応、聞いておく。

この少年は時々恐ろしく勘が鋭いときがあるからだ。


「この俺がつまらないものを見つけると思うのか?冗談きついぜ!」


赤い包帯を巻いた右手を顔に当て自信満々に言い放つ少年。


「そうですね……………」


白い目でそれを見つめるミリアナ。


実際、何回か木刀や変な龍のペンダントやキーホルダーとかでこんな感じになるから何とも言えない。


「マリトッツォ全体が火の手が上がって、崩壊してたぜ!」


「な!?早く言ってくださいよ!」


「フッ、言っただろう。凄いことになってるとな!」


胸を張る少年。

子どもにしか見えない。


「このおバカ!救いに行きますよ!」


「了解した…………俺は俺の天命(てんめい)に従う」


少年はそう言うと身を低く(かが)める。

空気が少しずつ歪んでいく。


「はぁ……………ヒガン君はそれで行くんですか?」


「ああ!その方がかっこいいだろう!」


ヒガン君と呼ばれた少年が消滅する。


本当は目視出来ない猛スピードで飛び上がっただけなのだが衝撃波も起きず、音も鳴らなかったため消滅したように見えただけだ。


「普通に移動すればいいのに……………一緒に行きたかったのに…………」


ミリアナはため息を()くとマリトッツォの方向に向かって移動を始めた。


ヒガン、この中二病患者の塊の少年がこれからの戦いのキーとなることを今は誰も知らない。




「【白椿〖(きわみ)】!」


視界が、時間感覚が、世界が、引き延ばされる。


師匠に免許皆伝の課題として出された技。

【白椿〖(きわみ)〗】。

奥義と比べればまだ難易度はましだが、それでも簡単に使えるか、と言われると否だ。


普段なら絶対に使わない自身がある。

でも、今なら何でもできる気がするんだ。


黒く染まってしまった剣を横薙ぎに振るう。

白と黒、混沌とした色の大輪の華を咲かせる。


『あたしが捻り潰してあげるぅぅ!』


教祖は叫ぶと黄色い剣『ガリブレード』の持つ手に力を込める。


『【神閃なる一撃フレッシュ・シュラッシュ】ぅ!』


蒼いオーロラのような神秘的で幻想的な斬撃が空を舞う。

オーロラに触れる物はすべて斬り裂かれる。


混沌の華と神聖なる光が激突した。


「負けられない!俺は必ずお前を倒す!」


こいつ、やっぱり強い!

押し負けそうなんだけど……………。


『あんたはここであたしに負けるのぉぉ!』


更に力と魔力?を込める教祖。

蒼いオーロラが濃くなっていく。


バリバリ!


「―――ッ!」


俺の【白椿〖(きわみ)〗】が押され、(ひび)が入る。


教祖が強すぎない?

俺の限界火力なんだけど?


「【ブレイク・スルー】♪!」


サツキ!

なんかスーパーヤクザソードを持ってるけど助けに来てくれたのか!?


今までとは違う大きな力に背中を押されて俺は何かのフレームが壊れたような気がした。


「うおおお!」


フレームが壊れ、何かがカッチリと嵌っていく感覚に支配される。

クロキさんが昔言っていた『ゾーン』というやつだろう。

人間は常にストッパーを掛けている。

だが、『ゾーン』に入ることでそのストッパーを一時的に外すことが出来るのだ。


『そういうの要らないって言ってるのにぃ!死ね!死ね!死ねぇぇ!』


「俺は限界を超える!」


俺の思いが、サツキの思いが―――あとなんかワキヲの思いもある気がする――重なった一撃は蒼き斬撃を切り裂き、壊し、教祖に届く。


「はぁぁぁ!」


俺の斬撃は教祖の身体をボロボロにしながら吹き飛ばす。

硬っ!

いや、魔力と神威を(まと)っているのか?


『きゃあぁぁぁ!』


それでも致命傷にはなっているのだろうか?

街の建物の壁に蜘蛛(くも)の巣状の(ひび)を入れる。


『がばっ!がはっ!……………はぁはぁ!』


教祖はよろよろと立ち上がると血を吐く。

戦いは確実に終焉に近づいていた。

クラウン「今日はキャットな日だね」

リル「にゃん…………」(ぼそり)

リラ「たしかに今日は二が沢山あるね!」

マオちゃん「リル殿、何か言ったかの?」

リル「にゃんでもないです」


ここまで読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字等あれば報告ください。

「面白いなぁ!」「草!」と思った方は高評価、ブックマークの方、よろしくお願いします!

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