第六十一話 覚醒する者たち
フッ、蒼いな………
ってこの前ラインで友達に送りつけました。
反応が面白かったです。
俺は這いつくばったまま白い剣を強く握った。
胸の奥が黒く渦の巻く感覚に支配される。
「俺は……………!」
教祖は俺の瞳の奥を覗くとニヤリと笑った。
『お預けは良くないよねぇ?』
教祖は空を黄色い剣で斬った。
剣の軌道を辿って蒼い鯨が現れ、少し泳いだかと思うと高速で接近する。
当たれば即死レベルのエネルギーを感じる。
『あははは!あたしは更にあんたを直接殺さないの!どう?絶望するでしょ?』
動け。
こんなところで死ねない。
歯を食いしばって、血が滲むほど剣を握る。
『遅くなってごめんね、リク。準備できたよ』
すぐ近くに蒼い球体が迫る。
もう無理だ。
俺は何も成せない。
何者にもなれなかった愚か者だ。
クロキさん、俺は結局………。
俺の目から涙が溢れる。
『諦めていいのかい?君は、君は!……………本当はどうしたいんだい?』
「――ッ!」
俺は……………!
目を大きく開く。
剣を強く握ると黒く染まった。
「【微塵切り】!」
黒い斬撃が舞う。
鯨が消滅するかのように細かく切り刻まれる。
『そうだよ、リク!さぁ、これからも僕をワクワクさせてくれよ?』
俺はこんなところで死ねない!
俺はクロキさんに認めてもらえるまでは絶対に!
『……………そういうの要らないんだけどぉ?』
それを見て教祖は笑みを消す。
俺は剣を地面に突き立てて立ち上がる。
少しずつ身体が動かせるようになっていく。
「俺は諦めない!お前をここで!」
胸に渦巻くこの感情はなんだ?
『すぐに殺してあげるからねえ!』
俺は黒く染まった剣を前に構える。
「倒す!」
神経が研ぎ澄まされていく。
視界も明瞭に広がる。
教祖が空を泳いで迫る。
蒼い魚と共に泳ぐ教祖の姿はまるで海の支配者のようだ。
『【神閃なる一撃】!」
「【白椿〖極〗】!」
黄色い斬撃と白黒の斬撃が交錯する。
いつの間にか身体に痛みは感じなくなっていた。
私は靴の後の付いた寿司を拾い集めるました。
「ワキ、ヲ……………」
私をかばってこんなことに……………。
ワキヲは私の生まれた時からそばに居てくれました。
ワキヲはどう思っているか知りませんが私にとって大切な人です。
視界が霞んでしっかりと見えなくなっていきます。
すべて私のせいです。
この街を取り戻すためにリクさんをシースー教にけしかけ、この街全域が火の手が上がりました。
私がシースー教の教祖に見つからなければここまでひどくなることもなかったはずです。
すべて私のせいで……………。
ワキヲは私のために何でもしてくれました。
私はまだ、ワキヲに何も返せていません。
私の目から雫が滴り、寿司となってしまったワキヲに落ちました。
「駄目……………」
涙を拭い、寿司をポケットに入れます。
『【神鮮なる一撃】!』
「【白椿〖極〗】!」
前を見ると倒れていたはずのリクさんとあの教祖が戦っていました。
リクさんは今ここで変わろうと、強くなろうとしているように感じます。
「それに比べて私は……………」
いつも誰かにやってもらえるから、自分がやっても意味がないと思っているから何もしなかった。
私はそばに落ちていた『スーパーヤクザソード』に手を伸ばしました。
戦い方ならワキヲに教わりました。
私は知っています。
『猫耳キャウーンアイドル』の真の力を。
私は立ち上がりました。
「ふーーー」
ゆっくりと息を吐きます。
『スーパーヤクザソード』を横に構え、姿勢を低くしました。
目を閉じて心を落ち着かせます。
私は『猫耳キャウーンアイドルのサツキ』として笑顔を作ろうとしますが上手くいきません。
だって、内側ではそんな気持ちじゃない。
でも、今は我慢しなくちゃ……………これ以上、誰も失いたくないから。
私は目を開きました。
「ワキヲ、私頑張るから見ていてね」
私の目からは涙はもう出ていませんでした。
タカナシ「ガンツに石を料理して見ろって啖呵を切られて乗っちゃった……………」
アイリーン「フッ、馬鹿ね」
タカナシ「生意気なこと言ったらクロキに言いつけるぞ」
アイリーン「お願い!これ以上罪状を増やさないで!」
タカナシ「というか何でここに居るの?サボり?」
アイリーン(サァーー)
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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