第六十話 丁寧な口調の毒舌は結構クる
シリアスに書いているつもりなんです!
なのに友達に見せてもどこがシリアスなの?って言われました。
悲しいです……………。
気付けば、拙者の目的はもう、組織のためではなくなっていたでござる。
サツキ様のためなら死をも厭わない。
緑髪の少年と赤髪の少女との戦闘中、そんなことを思っていると自然と力が湧いてくるでござる。
「あんたぁ、こぉんなにボロボロなのによくやるわぇ?」
一度もニヤニヤを崩さない少女は感心したように目を大きくする。
「まったくだよ。早く死ねばいいのに…………」
緑髪の少年は肩をすくめて同意する。
「当たり前でござる。サツキ様の命がかかっているでござるから!」
痺れる身体にむちを打って斬撃を加える。
左手の感覚はもう無い。
耳も度重なる爆音であまり聞こえない。
「ハハハハハ!サツキ様~だってさ!今頃、教祖様が人質にしてるんじゃない?」
馬鹿にするような口調で煽る緑の少年。
………赤髪の少女よりもこの少年の方が性格悪いでござる。
「そんな訳がないでござる!拙者はリク殿を……………」
拙者は言葉を紡ごうとしたでござる。
ドクン。
世界に衝撃が走る。
周囲が澄んだ蒼い水のように光り出す。
「あらぁ?教祖様が覚醒しちゃったぁ?迎えに行ってあげないと…………」
「……………覚醒!?」
『覚醒』。其れは拙者がリク殿に伝えようとした言葉。
奴は二つの人格を持ち、普段とは違う性格の時に恐ろしくなるでござる。
サツキ様が危ない。
赤髪の少女の声は聞こえなくなる。
拙者の心の臓の鼓動が速くなる。
それだけがこの先の拙者を突き動かしたでござる。
「おい、待てよ!」
二人を置いて走り出す。
拙者の心が沸騰する。
「サツキ様……………!」
貴女のことは拙者の命に代えてお守りいたします。
今まで出たことのない素早さで走り、火の上がる街をゆく。
身体が熱くなっていく。
風を切る。
音が遅れてやって来るの感じるでござる。
街中に海のような光景が広がり、蒼い魚が泳ぐ。
遠くにサツキ様が腰の抜けた状態で座り込み、リク殿が地面に這いつくばり手を伸ばしていたのが見えたでござる。
『はははっ!これでジ・エンドだね★』
初めて見たときは違う気配を纏った教祖がサツキ様に手をかざす。
間に合え!
サツキ様をお守りできるのならこの命捨てても構わなぬでござる。
「まだでござる!」
教祖の前に躍り出す。
拙者はサツキ様を背にして両腕を広げた。
眼前に光が広がる。
「後は頼んだでござるよ」
此れは命令でも懇願でもない、ただの祈りでござる。
貴女のことは命に代えてもお守り致すと心に決めているでござる。
拙者は光に包まれる。
「「ワキヲ!」」
最期、背後でサツキ様が拙者に手を伸ばしたのを感じたでござる。
尊いでござる。
命に代えても……………いや……………
……………命を変えてもお守り致します!
【おめでとうございます!ユニークスキルの条件を満たしました。勝手に自動発動させていただきますね!】
ここで拙者の意識は途絶えた。
最期まで想っていたのはサツキ様のことだけだった。
俺の目に映るのは落ちながら回転する寿司。
地面に落ちるとボトッと鈍い音が鳴った。
『あれれ?なんか邪魔が入ったけど少年にはダメージ入ってるし、これはこれで正解なのかなぁ?』
教祖は落ちた寿司を踏み抜く。
寿司は崩れ、バラバラになる。
「あ、ぁぁ……………」
サツキから声にもならない、空虚な声が漏れる。
魂が抜けたかのように、伸ばした手を下せないでいる。
「お゛え゛」
俺も胃液が逆流する感覚が起き、口を塞ぐ。
二度と寿司なんか食えねぇよ。
『ねぇねぇ、少年?絶望したぁ?』
教祖の目にあるのは純粋な疑問。
愉悦でも義憤でもなく後悔もなくただ純粋に疑問。
その事実が俺を堕としていく。
視界が黒く染まっていく。
『リク君、必要なら僕の力を貸そうか?』
誰かが言った気がした。
「なんでもいいから……………俺に、あいつを倒す力を………!」
俺は俺が俺で無くなるような気がした。
俺の心の中が黒く流転していく。
リル「しりとりゲームしましょう!」
マオちゃん「分かったのじゃ」
リラ「いいよー」
リル「じゃあ、始めは、しりとり、です!」
マオちゃん「り…………離郷背井(生まれ育った故郷を捨て、別の場所で暮らすこと)じゃ!」
リラ「い、い、いか!」
リル「か……………うーん……………あっ、壊変定数!」
マオちゃん「………雲泥万里(雲泥の差と同じような意味)とかかの?」
リラ「り?うーん、リボン結び」
リル「び、び……………ビッククランチ!」
リラ「なんだかウチが馬鹿みたいになる……………」
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