第五十二話 寿司の裏側
この話からシリアスにしてみせます!
出来たら!
豪勢な寿司の絵画が置かれた部屋の中、黒い修道服に琥珀の首飾りをした男がいた。
赤い椅子に座って考え込む様はさながら政治に悩む王の様だ。
彼はエホウの戦闘がどうなっているのか、気配を探っていた。
突如、目を大きく見開いたと思うと口を開いた。
「な!?エホウが寿司にされただと!?」
「エホウ様がですか!?」
先の戦いで重傷を負い、休んでいたブルーフィン(マグロ怪人)が聞き返す。
「エホウは精神的問題を覗けば最高幹部五指に入る実力者のはず…………」
ブルーフィンは知っている。
実はエホウめっちゃ強いってことを。
「この街の連中があの少年の味方をしたようだ。忌々しいマフィアの残党と共にな」
怒気を孕んだ声で静かに言う。
その声音にブルーフィンの背筋に悪寒が走る。
「マフィアと言えば後継者は捕まったんですか?人質にすれば…………」
「見つけていればやっている!」
椅子がミシリと音を立てる。
近くにあった水槽の魚が騒がしく泳ぎ出した。
「す、すまないな。気が動転していたようだ」
「い、いえ!大丈夫です、教祖様!」
教祖と呼ばれた男は立ち上がった。
「この街にいるシースー教徒総員に告ぐ!」
教祖は声を上げた。
「この町、マリトッツォは即刻寿司にする!戦う準備をしておけ!決行は明日だ!寿司による救済を行うのだ!寿司と共にあらんことを!」
「「「「「「「「寿司と共にあらんことを!!」」」」」」」」」
この街に寿司による力による蹂躙が迫っていた。
黒い修道服が風になびく。
月明りで琥珀色の首飾りが優しく輝いた。
「この世界は崩壊を始めている。私が何をするまでもなく滅びるだろう」
五十年ほど前、そのことに気付いた。
私はそのとき、見たのだ。
この世界の外側のものに。
「私は間違っている。それは分かってるんだ」
私は白く丸い月を薄目に見る。
『それ』に打ち勝つ方法が分からない。
『それ』はこの世界の理を超える存在だ。
「『彼ら』は我々人類に興味はない。ある特定の個人にのみ力を貸す」
私は月に手を伸ばす。
すると蒼い海月が空に現れ妖しく光った。
「誰か、私を止めてくれ。これ以上、誰も失いたくない……………やはり私は……………」
蒼き海月は更に増える。
『それはさせないよ?こんな事されたのに?いいの?』
私の思考はエホウが寿司にされたことでいっぱいになる。
いつもこうだ。
何か大事なことを決断しようとすると『それ』によって思考がおかしくなっていく。
「誰か……………」
黒い空は深い海のように蒼く霞んだ。
修道服の男の目は月明りで軽く光った。
ガンツ(この調子だと定時に帰れるの)
タカナシ「今日、一緒に飲みに行きません?」(まだ返さないぞという牽制)
ガンツ「すまんな。今日は妻の記念日なんじゃ」(嘘ではないカウンター)
タカナシ「あっ、すいません」(それを言われると引き下がるしかない)
ガンツ「いいんじゃよ」
ガンツ(毎日記念日として何か送るしの)
ここまで読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字等あれば報告ください。
評価やブックマークを付けていただけると嬉しくなります。