第五十話 マフィアなのにヤクザ?
マリオネット回転!
暗く黒い闇の中、俺は漂っていた。
「ここはどこだ?」
俺は戦闘を終わらせたはずだ。
「――――ッ!」
ヤバいのが来る。
そう俺の感覚が告げる。
ブォンと音が鳴った。
『はははは!さすがだねぇ!リク!』
胸騒ぎのする声が聞こえる。
それから沢山の白い手が現れ拍手し始めた。
肘から先が見えず、不気味だ。
「誰だ!?俺はどこにいる?」
周りを見渡しても誰もいない。
というかキモい白い手しかない。
俺なんで『キモキモアイランド』みたいに理解不能なところいるの?
超展開過ぎて意味わからん。
誰か説明プリーズ!
『僕は言ってもまだ聞こえないと思うなぁ…………………まぁいいや!僕の名前は■■■■■だよ!』
『それ』は楽しそうに告げる。
全然聞き取れないんだが――――
「うっ!」
突然脳裏に激痛が走る。
心臓が激しく鼓動する。
声を聞くだけで感じていた嫌悪感が加速する。
こんな奴、初めて会ったぞ。
これは生物なのか?
『はは!言ったでしょ?君はまだ僕の本質を掴むことさえできていないんだからさ』
白い手が消え、闇だけが残る。
「それで…………何の用なんだ?」
頭がまだガンガンする。
『用なんて特に無いけど?………あ!そうだ!一つだけ聞きたいんだ!』
嬉々として『それ』は続ける。
『君はさ。僕が何をするでもなく、壊れてるよね?』
「壊れてる?」
俺は常識人の自覚があるぞ。
転生推し活の乙女のリンネさんとかシースー教とかに比べて分別があると思いたい。
『君、人殺すのこれが初めてだよね?何で平気なの?』
不思議そうに『それ』は言う。
「そんなの生死を掛けた戦いで躊躇しちゃダメだろ」
何を当たり前のことを言ってるんだ?
常識だろ?
『ははっ!常識ねぇ!僕の見込んだ通りだよ!ぞくぞくするね!』
視界が揺れる。
闇が祓われだした。
世界が明るくなっていく。
『えー。時間切れかぁ…………もう少し話したかったなぁ』
「待て!俺が壊れてるってどういう…………」
目を開くと広い天井が見える。
あそこから運んでくれたのだろう。
感謝しかない。
「リクさん!大丈夫ですか!」
サツキが俺を揺らす。
「ああ、今起きたよ」
頭痛い。
技に集中力を使いすぎたからだろう。
てかエホウ強すぎだろ。
条件があるとはいえ威力がおかしい。
恵方巻もめちゃくちゃ硬かったし。
「リク殿、起きたでござるか?」
ワキヲが美少女のシャツを揺らして続ける。
こいつのアイデンティティはそれなのか?
まさか美少女のシャツに関するユニークスキルに目覚めているのか?
「拙者が遅れたが故にここまでボロボロにしてしまったでござる」
「いいよ。増援なかったらヤバかったし」
ワキヲいなかったら死んでた。
見た目によらず有能すぎる。
「何を隠そう、フェリスファミリアに伝わる名刀、『スーパーヤクザソード』のおかげでござるよ」
刀を抜くワキヲ。
白い輝く刀身には『スーパーヤクザソード』と銘打ってあった。
しんど………。
「もう嫌だって!」
俺の叫び声は木霊した。
???「オレ様のこと、もう少し早く登場させてくれるって言ってたのに!」
作者「どうやらワキヲに役を喰われてますね。ご愁傷様ですね」
???「次登場できなかったらワキヲの『スーパーヤクザソード』で斬るよ!」
作者「まったく威厳ないですね?」
???「言わないでよ!知ってるよ!」
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