第四十九話 シンプルイズザベスト
にんじん。
しりとりで言って負けたことがあります。
「ワキヲ。恵方はどっちだ?」
エホウに攻撃を入れながら聞く。
やっぱり、ややこしくない?
「向こうでござる。―――ッ!」
ワキヲは顎でエホウの攻撃を刀で受け止めながら答える。
美少女の絵柄とミスマッチなシリアスさだ。
「どうかしたでござるか?」
「なんでもない…………」
こんなことを考えられるぐらい余裕が出来たと考えておこう。
どんなときもポジティブさは大事だと思うから。
「ちょこまかちょこまかと!」
エホウはバックステップをして横薙ぎに巻き寿司を振るう。
寿司が伸びる。
「邪魔だ!」
俺とワキヲ、あと数名が避ける。
「「ぐはぁ!」」
避け損ねた者たちが吹き飛ぶ。
宿の店主はやられたようだ。
「どうやって倒す?」
「この者はシンプルな能力故、弱点という弱点がないでござる」
「ハァァ!」
エホウは俺たちが話す間にも隙の無い攻撃で蹴散らしていく。
陽キャグループが全滅したようだ。
だから!、とワキヲは続ける。
「拙者が隙を作るから合わせるでござる」
「応!」
ワキヲは言うや否や、俺よりも速いスピードで攻撃を重ねていく。
縦横無尽に刀を走らせていく。
「何ッ!」
何度も重ねた末にエホウの巻き寿司が少し浮く。
「【火遁 爆裂火之術】!」
俺の【炒】レベル以上の爆炎を生み出しエホウの動きを制限する。
「リク殿!今でござる!」
俺はどこまでも深く集中していた。
世界が遅緩していく。
そして俺は駆け出した。
「はーー…………」
息が白くなる。
そして俺は冷気を纏わせた白く美しい剣を大きく弧を描くように振るう。
「な!?この技は…………」
ワキヲが何かを言ったが知ったことじゃない。
こいつはここで殺す。
俺は加速した意識の中、周りの空気が凍っていくのを感じる。
「【白椿】」
白い氷の華が開いた。
エホウは何も反応できない。
凍り付き、事切れたのだろう。
これは本来そういう技だ。
集中力と魔力が底を尽き、薄れゆく意識の中で俺は笑った。
タカナシ「今日は水曜日で仕事があるけど、ベットから出なければ行かなくていいのでは?」
バン!
クラウン「グッドモーニング!タカナシ!ウェイクアップする時間だよ!」(クネクネ)
タカナシ「し、心臓止まるかと思った…………」
クラウン「は?朝ごはんは君の仕事だろう?ずっと作ってたんだからYA/SU/MA/SE/RO★」(ニッコリ)
タカナシ「ひいぃ!い、今行きます!」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字等あれば報告ください。
『いいな』があると嬉しくなります。