第四十八話 ユニークスキル【恵方】
この前、欠伸をしていた友達をくすぐると切れられました。
被害が尋常じゃない。
今ので何人死んだ?
受け流しなんかせず受け止めていれば何人助かった?
そんな皮算用をするも、意味がないことは分かっている。
今は倒すことだけを考えておこう。
エホウは俺を見て、目を細める。
「これで生きているとは…………」
そう言うと再びエホウは寿司を構える。
「だが、ここで終わりだ。まず寿司になれ!その後消す!」
だから寿司挟むの何なん?
ツッコミする元気すらないんだけど?
「寿司になれ!」
振り下ろそうとエホウがしたが、背後に迫る者があった。
縁の太い黒眼鏡に美少女の絵が描かれたシャツを着ている。
そして手には美しい刀身の刀を持っていた。
「そんなの拙者が許さないでござる!」
「なんだと!」
ワキヲはエホウの左腕を切り裂く。
「リク殿!この者の能力はある一方向への威力爆増でござる!」
ワキヲは片腕となったエホウと斬り合いをしながら声を張り上げる。
「その方向とは『恵方』!ちょうどリク殿は今、この者から見て恵方にいるでござる!」
そうか!
奴のアイデンティティは『恵方巻きへの信仰』!
キーは『恵方巻き』だ!
「拙者らで足止めするでござる!今は治療に専念するでござるよ!」
エホウは攻撃の腕を止める。
「それがなんだ?私はお前ごとき、ユニークスキルなしで十分!」
ワキヲはニヤリと笑う。
「拙者一人ならでござるよ。拙者らと言ったでござろう?」
「俺たちの街になんてことしてくれんだ!オラぁ!」
「宿、壊れたじゃねぇか!」
周りから色々な人が現れる。
この街に来て初めて話しかけた陽キャたち。
泊ってた宿の店主。
サツキに似た猫耳の少女など沢山の人々がエホウを囲む。
「大丈夫ですか!?リクさん!」
サツキが駆け寄る。
「骨をやったと思う」
マジで痛い。動けない。
ひびじゃなくて折れてるわ、これ。
「分かりました!【元気になぁれ♥】!」
ハートが飛び出すと俺にブチ当たる。
身体の芯からハートマークが溢れ出した。
原理は分からないが傷が少しずつ治っているみたいだ。
ずっと思ってたけどスキルの名前もう少しどうにかならないの?
「【ラブコール】!」
ワキヲたちにバフも掛ける。
「サツキ様のバフが掛かった拙者らに敵はない!行くでござるよ!」
「「「「応!」」」」
バフというより士気がめっちゃ上がった。
しかし戦況は恵方に向かないように立ち回っていても互角、ややエホウの優勢だった。
ややこし。
しばらくして動けるほどになると、俺は言った。
「教祖が来る前に倒す」
そこから、俺たちのvs.エホウの第二ラウンドが始まった。
リル「今度はおにぎりが食べたくってきました
リラ「さっき寿司を食べたところじゃない?」
リル「なんとなくです。他意はありません」
リラ「食べてばっかだと太るよ」
リル「私たちいくら食べても太りませんよ?」
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