第三十九話 闇社会と繋がる店
居酒屋に行ったら蝶々のタトゥーの入った人を見つけました。
とても綺麗な模様でした。
『マフィアもニッコリ、品質保証!』
俺が案内されたのはそんな物騒な看板が掲げられた喫茶店だった。
なんか大丈夫か不安になってきたぞ。
「この店は拙者の推しがいらっしゃる店なのですぞ!」
推し?
リンネのこともあって、嫌な予感するんだけど。
「彼女は拙者の生きる希望なのですぞ!」
「そ、そうなんだ」
熱量が凄い。
「行くですぞ!」
俺はオタッキーな男性に掴まれて店に入っていった。
「いらっしゃいませ。ご主人様♡」
店に入ると可愛らしい猫耳にぱっちりとした目のメイドがお出迎えしてくれた。
獣人族か。
ちょっと珍しいな。
「ワキヲ様、そちらの方は?」
「せ、拙者の友人でござるよ」
俺はお前の友達になった覚えはない。
「お友達ですか?首を傾げていらっしゃいますが?」
この際、はっきりと言ってやろう。
「俺はリク。こいつは友達じゃない。いい店を教えてくれるって連れてこられたんだけど、ここは食事ができるのか?」
「もちろんでございます♥当店ではこのようなメニューになっております♡」
俺はピンク色でデコレーションされた、実に読みづらいメニューを見る。
「なになに…………」
みぃ~とソース、あらびぁ~た、クマたんばーぐ、動物たんパフェ、夢見るにゃんこちゃんパフェ(バニラ)eto.………
「なんだよこれ!ここは本当に喫茶なのか!?」
俺はオタッキーな男性に叫ぶ。
「何を言う!ここは神以て喫茶ですぞ!」
「難しい言葉使っても信用ならないだろ!」
神以てという言葉の意味はたしか神に誓って、または本当に、みたいな意味だった気がする。
「あ、あの~。ここはメイド喫茶なので一応喫茶で合ってますよ」
メイド喫茶ってなんだ?
メイドと喫茶って混ぜていいものなのか?
「ほら、そうでござろう!」
ドヤ顔をしてくるオタッキーな男。
全力で殴りたい。
店が壊れそうだけど………。
まぁ、死なないだろ。
「はぁ…………もう別のとこ行っていいですか?」
「え?」
猫耳メイドの女の子は大きく目を見開いてこっちを見た。
「こ、困ります!ご主人様!最近人が来なくなってて大変なんです!」
知らんがな。
でも、ほんとに人がいないな。
この昼間に俺たちだけって。
「分かりましたよ。この一回だけですよ?」
「ふっ、勝ったな!この可愛さにひれ伏すがいいぞ!」
オタッキー君を無視して俺は奥のテーブルに座りに行った。
俺が座るとメイドさんが前に出て言った。
「改めて自己紹介させていただきます、ご主人様♥私は猫耳キャウーンアイドル、サツキといいます♡」
「猫耳キャウーンアイドル?」
あんた、メイドじゃねぇのかよ!
俺は頭を抱えたくなった。
リンネ「どこに行くのかしら?」
クロキ「ふむ、候補としてはノアのいる隣国、闇カジノ、東之国、あと『キモキモアイランド』だな」
リンネ「『キモキモアイランド』だけはやめて頂戴…………」
クロキ「では、東之国に行くか」
リンネ「一番マシね。私、カジノ弱いのよ」
クロキ「カジノの必勝法は未来を操作することだ」
リンネ「それが出来たら苦労しないわよ!」
クロキ「ふっ、たしかに私にも出来んな」
リンネ(どこに笑う要素があるのかしら?)
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