第三話 やる気スイッチ
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クロキさんに十の試練を告げられて、二年が経ち、俺はすでに十の試練の内、五つをクリアした。
順調だとは思う。
それでもやはり、クロキさんの言う通りめちゃくちゃ心折れまくった。
そして今はクロキさんの出した八つ目の試練へ向かう準備中だ。
ちなみに俺がクリアしたのは二つ目から六つ目まで。
七つ目はマナーに関することで、一朝一夕で出来るものではないので後回しにした。
一つ目は言うまでもないが今の俺では無理そうだからやってない。
「準備はできたわね?」
「はい、リンネさん」
リンネさんから呼ばれる。
「昔みたいに、『リン姉さん』ってよんでくれていいのよ」
「恥ずかしいので嫌です」
「しょぼぼん」
きっぱりと言うと、口をすぼめて小さくなるリンネさん。
でも、俺は知っているぞ。
たしか、リンネさんの年齢、百二――
「貴様ら、何をやっている?私を待たせるな」
「も、もう行きます!」
クロキさん、なんだか八つ目の試練の内容を言ってから機嫌が悪い気がする。
「ねぇ、リク。さっき何を考えていたか教えてほしいのだけれども」
リンネさん少し不安そうな、それでいて疑うような表情で言う。
ヤバい。女性に対して年齢を考えるのはタブーだってクラウンに教えてもらっていたのに。
「ふん、そんなことはどうでもよかろう。これからリクはひょっとすると一番苦しい試練を受けるのだからな」
クロキさんがここまで来て言った。
「そ、そんなことですって!私のことを!」
まずっ、クロキさんに飛び火してしまった。
なんだかちょっと困った顔してる。
珍しい…………じゃなくて!
あのクロキさんだ。どう対処するんだろう?
「ふむ、何について怒っているのか知らんがリンに関することなら一つだけ言ってやろう」
そのままクロキさんは近づいて行って、リンネさんの顎をクイッと自分の顔に向けて言った。
「リン、お前は美しい。人を狂わせるほどに……な」
ズッキューン!
「故に、より仕事をして美しさを磨け。仕事をする者は美しいものだからな」
「は、はひ」
す、すごい。
機嫌を直すと同時に気分屋のリンネさんのモチベーションをあっという間に上げてしまった。
これが、最強ギルドのリーダーか……なんか違う気はするけど……。
そんなことを思いながら俺は荷物をまとめて玄関まで出て行った。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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