第三十六話 手厳しいお言葉
クロキsideを書いていた影響で元の文体が分からなくなりました。
なんか暗い?
俺が目を覚ますと金色に輝く髪があった。
「ようやく目覚めましたか?」
目覚めたという言葉から俺は悟ってしまう。
「俺、負けたんだな…………」
下を向いて呟く。
「そうですね」
リルの眼鏡の奥が光る。
悔しい。
全く歯が立たなかった。
「…………」
剣術では速すぎて当たらないし魔法では構築が間に合わない。
バケモンすぎる。
「あっ!」
リルは時計という天才錬金術師、ワタ=シテンサイが発明した時間をはかることの出来る画期的な丸い物
を取り出して確認した。
「リク、お誕生日おめでとうございます」
そうか。もう十二時過ぎたのか。
「やっぱり無理だったか」
クロキさんに一撃当てるなんて不可能なんだ。
世界最強の作った十の試練の内、九個終わらせた俺はよくやったと思う。
「なぁリル、俺頑張ったよな?」
他人から、頑張ったでもいいから言ってほしい。
「そうですねぇ…………」
リルは眼鏡に手を当てた。
「負けたのはあなたの努力不足でしょうね」
「え?」
てっきり、リルならちゃんと褒めてくれると思っていた俺は眉間をざくりと割られたような気持ちになった。
「え?だってそうでしょう?クロキさんは本気で手加減してましたよ?」
あれで手加減って?
瞬間移動みたいに速いし、魔法を乗っ取ってくるし、不意打ちの魔法を見ずに斬ってきたよ?
「クロキさんが本気を出すと世界の色が変わります。逆に手加減しすぎて灰色になりかけてましたよ?」
たしかに見たことあるけど…………。
てか、手加減しすぎで本気になるってなんだよ!
「一年ぐらい前からずっと手加減の練習をしてましたし。それに終わったあと、精神的に疲れ切ってました。負けたのはあなたの努力不足だと思います」
胸が痛い。
クロキさんが俺のために手加減の塩加減を考えてくれていたんだ。
俺がクロキさんの期待を完全に裏切ったみたいじゃないか。
いや、実際裏切ったんだろう。
「俺、やっぱり追放ですよね?」
もしかしたら、なんて思ってしまう。
「そうですね」
だが、クロキさんはほとんど嘘はつかない。
やると言ったらやるのだ。
「傷は治してあるので出る準備をしてください。私はこれで」
リル、なんか冷たくね?
「リル?」
「これ以上いると悲しくなるので」
そそくさと出て行ってしまった。
俺は部屋に独りになる。
「ははっ」
乾いた笑みと共に涙が溢れた。
リラ「あんな言い方ないんじゃない?」
リル「きゃっ!急に後ろに現れるのやめてください!」
リラ「ふふ、隙だらけ♪」(こちょこちょこちょ)
リル「ひゃっ!だからやめてくださいよ!」
リラ「だが断る!」(キリッ!)(更に、こちょこちょこちょ)
リル「やめてよぉ!」
リラ「やばっ、泣いちゃった…………」
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