第三十四話 ジェノサイダー
この章は大体千字超えてる気がする…………
気のせいかな?
魔王城の玉座はクロキの一言によって静まりかえった。
「ふふ♪クロと同じ…………♪」
コイツを除いて。
「ど、どうしてなのか説明頂きたいのじゃが」
魔王は緊張気味に尋ねる。
(まだ、戦争もしとらんじゃろうがぁ!)
心中では叫び声が木霊していた。
「ふむ、第一にこの城の門番殿。あの者はノアの威圧を受け、耐えた上に執務を全うしようとした。恐るべき精神力だ。戦略に大いに使えるだろう」
(あの仕事バカ!そこで甲斐性を発揮されても困るのじゃ!)
「第二にアイリーン殿。私たちと相対しても顔色を一つも変えずに対応したことだ。それに無詠唱の魔法に隠密能力。戦場では効果を発揮するだろう。まぁ、威力とスピードはそこまでだったが」
(アイリーン?)
じろりと魔王はアイリーンを睨むと、アイリーンはすっと目を逸らした。
(だ、だって、四天王なのにビビるのはかっこ悪いじゃない!というより、褒めるんだったらちゃんと最後まで褒めなさいよ!)
「第三に貴様だ、魔王。どうやらユニークスキルが使えるようだな?」
「ぎくっ!」
(なぜバレたし。それで不意打ちしようとか一瞬よぎったけど…………)
「よって、これらの危険性からこの国を滅ぼす」
クロキは淡々と告げた。
「滅ぼっ!」
(我らはどうなる!?)
魔王は流石に死ぬのかな、なんて考えた。
「安心しろ。殺しはせん」
「え~?そうなの~?」
ノアが残念そうに言う。
魔王はノアがジェノサイドするつもりでいたことに慄然とした。
「で、では、私たちはどうなるのでしょうか?」
(殺しよりも酷い?いや、少女の方はともかくこの男性はそんなことするのでしょうか?ま、まさか肉体目的!?)
アイリーンはきっちりとして言ったが身体はブルブルと震えていた。
ふっ、と笑って言った。
「それはだな―――」
数週間後。
朝刊で魔王国を名乗る国が二人のSSSランクギルドマスターによって滅ぼされたと報道された。
戦争か、と不安になっていた人々もすぐに安心し、かの英雄たちを褒めたたえた。
魔王教とかいうカルト宗教が一瞬流行ったが、それも時間と共に流れていった。
そしてなぜか最近、多くの国で魔人の移民が増えていった。
「クロキ様、コーヒーでございます」
メイド服に身を包んだ赤いメッシュの入った黒髪の女性がコーヒーを差し出す。
「うむ」
クロキは一口含むと言った。
「凄く不味い…………」
メイド服の女性は一瞬固まった。
「わ、私はこれが本職じゃないんだから上手くできるわけないでしょう!」
叫ぶ。
「うるさい。マオは完璧だったぞ」
魔王はこの数週間でこのギルドの妹分として途轍もなく可愛がられ、馴染んでいた。
「あの子が異常なんですよ!いつ殺されるか分からない状況で集中できませんよ!普通!」
「ならば殺されぬよう強くなればよかろう?資料ならいくらでもあるぞ?」
「…………」
メイドの女性は唖然として、二の句が継げなくなった。
こうしてギルドにメイドが二人増えた。
魔王は皆からマオちゃんと呼ばれています。
マオちゃんはもともとのスペックが高いので、掃除、家事、荷物運び、コーヒーと紅茶の入れ方など教えられたらすぐにできました。
アイリーンは結構苦戦してます。
ちなみに他の四天王もどこかに再就職しました。
魔王軍は社会不適合者が多かったのでクロキは頑張りました。
褒めてあげて下さい。
第二章完結しました。
次話からようやくリクsideに戻ります。
三人称視点でやってみましたがいかがでしたしょうか?
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