第二十九話 手紙にサプライズは心臓に悪い
第二章始まりました。
話数は少なめで予定してます。
どうなるか分かりませんけど。
ある日のこと、クロキは山積みの手紙を読んでいた。
あまり仕事をしている様子をリクは見たことはないが、クロキはSSSランクギルドのリーダーだ。
SSSランクギルドとなると手紙や書類は莫大な量となる。
「ふむ…………これはいらんな」
過去に宣戦布告のような手紙があったのでリルには任せていない。
クロキは常人が目の回る速度で手紙を選別していく。
「―――ッ!」
クロキは突然立ち上がり、手に取った黒い便箋を投げ捨てる。
便箋が独りでに開き黒色の魔法陣が現れた。
「あれ~?ばれちゃった?結構自信あったのに…」
そこに映し出されるは短めの黒髪に黒目、少し幼い顔立ちの少女だった。
「貴様…………殺すぞ」
ブチギレるクロキ。
この場に相応しい低い声で話す。
この場にリクが居たら失神と失禁していたであろう殺気が零れる。
「ご、ゴメン!ボクそんなに怒るなんて思ってなくて…………!」
「弁解は墓場でしろ。今から殺しに行く」
どす黒い灰色のオーラが溢れる。
「や、やめて!ホントに死んじゃうから!あと無表情怖いよ~!」
必死に何度も何度も謝り、クロキの機嫌を直すことに成功した黒髪の少女。
失敗していれば今日の夕刊に載っていたであろう事件が回避された瞬間であった。
「それで……要件は何だ?まさか何もない訳なかろう?」
そこが重要だと聞くクロキ。
「久しぶりにクロと話したいなって…………じょ、冗談だから無言で転移魔法使おうとするのやめて!洒落にならないよ!」
「それで?」
クロキは転移魔法の構築をやめた。
「ええっとね、クロ。大変なことになっちゃんだよ!」
息を吸って言う。
「『魔王』が誕生したの!」
「そうか」
それを聞いてクロキは特に興味のなさそうな表情になる。
普通の人には分からないが親しい中には分かる表情だ。
「あれ?どうしてそんなに反応悪いの?」
もっと驚くだろうと思っていた少女は訝しんで聞く。
「当たり前だ。私と貴様、そして守護騎士も恐らく『魔王』と敵対するだろう。それならば心配することは何もない」
そう言い切るクロキ。
「た、確かに!そうだね!ボクとクロの二人が入れば怖いものなしだね!」
あえて苦手な守護騎士は外していくスタイル。
「ふむ、だが少し気になるな…………その『魔王』とやら」
クロキは右手を首に当て深く思案する。
「だからボクとクロキで一緒に見に行こうよ!」
「ふむ、いいかもしれんな、ノア」
この時、クロキとノアと呼ばれた黒髪の少女、世界最高戦力の二人が単独で魔王城に攻め込むことが決定された世紀の瞬間であった。
魔王からすればただの災いでしかない。
一回クロキは手紙に仕組まれた魔法陣で爆発したことがあります。
致死量が極僅かの毒を塗られていたこともあります。
ちなみに差出人は歴史から姿を消しました。
どうなったのか知っている者は誰もいません。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字等あれば報告ください。
『いいな』があると嬉しくなります。