第二十五話 俺は働いたら負けかなぁと思っている
『キモキモアイランド』完結です。
「みんな、どうして……」
「サプライズさ!リク、頑張ってるみたいだしね!」
クラウンが楽しそうに言う。
「リク坊の顔を見たくなってのう」
ガンツが続ける。
「私は美味しいものが食べれるって聞いたからよ!」
「アホか。そないなこと言うときちゃうねん!」
「痛っ!」
リンネさんがシャクセンさんにしばかれていた。
「あ、ありがとうございます!」
感極まって少し涙が出てしまう。
「や~い、リクが泣いてる~」
「こら、茶化さないの!」
「ぎゃ!」
さっきと同じ構図でリラがリルに叩かれていた。
似た者同士なのかな?
「じゃあ、食べようか!」
タカナシさんが号令をかける。
「むぐっ?」
ちなみにクロキさんはすでに食べ始めていた。
「そういえばクロキさんは理由言わないんですね」
食後に、俺はみんなが理由を言ったのにクロキさんだけ言っていないことに気づき、聞いてみる。
「私のここに来た理由はリクのためだけだけではないからな」
「そうなんですか?」
「ああ」
クロキさんはそう言ってタカナシさんの方に目線を向けた。
部屋の温度が十度ほど下がった気がした。
「タカナシ、いい加減ギルドで働け。さもなくば、力づくで追い出すぞ」
クロキさんから威圧と神威が放たれる。
あれ?
俺って神威なんて感じられたっけ?
「ひいぃっ!」
「この島は私のギルドの管轄だ。モンスターが外に出ないよう結界を張っているとはいえ、貴様がずっとここで管理する必要はない」
「ま、万が一個々のモンスターが外に出たら、生態系がめちゃくちゃになりますよ!」
タカナシさんが必死で弁論する。
「私とリンネ、そして貴様の張った結界がそう簡単に壊れるとでも?」
「そうよ、私の関わったものがそんなちゃちなわけないでしょ!」
「貴様は黙っていろ」
じろりとリンネさんを見る。
「はぁ、はひぃ!」
リンネさんはしゅんとしたが裏では恍惚の表情を浮かべて下がった。
怒られて喜ぶって最強かよ。
「とにかくタカナシ、仕事に復帰しろ」
「しかし、俺は…………」
深い事情でもあるのだろうか?
「そうよ、仕事に復帰しなさい!」
「あ゛?」
「な、何でもないです…………」
リンネさんも懲りないなぁ。
「ふん、事情なんて知らん。これは私の命令であり、拒否することは認めん」
「嫌だぁ!働きたくないぃ!」
タカナシさんは叫ぶ。
「働け、引きニート」
「うぐっ!」
その言葉はタカナシさんの胸に刺さったようだ。
そして、俺の第八の試練は幕を閉じた。
リク「ちなみにこの試練の目的は何だったんですか?」
クロキ「ふむ、大きく三つ。
一つ、ああいうモンスターに対する耐性を身につけること。
二つ、料理スキルの獲得。料理ができるとできないでは生活が変わるからな。
三つ、相手の弱点を正確につく技術だ。」
リク「ちゃんと理由あったんですね…………」
クロキ「私を何だと思っている?」
ようやくリクが狂気島、『キモキモアイランド』を脱出しました。
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