第二十四話 試練の成果
カサカサする。
俺がこの『キモキモアイランド』に到着して半年が経った。
「今日で最後の日だ。ここで学んだことを忘れないように」
「はい!」
「じゃあ、パーティーの準備をしようか!」
俺は必要なものを聞いてそのままタカナシさんの家を飛び出す。
空島から俺は飛び降りる。
風が俺の頬を撫でる。
「【天駆】」
空中で跳んで衝撃を軽減する。
今の俺ではそこまで連続して使うことはできないけど使えるようになったスキルだ。
「【乾煎り】!【面取り】!」
着地地点にいたキモキモロールを二撃で瞬殺する。
攻略方法が分かればそこまで難しくない。
アイテムボックスに素材を入れて次のスポットに行く。
「あれは【キモギンチャク】!」
ギョロリとした目に、頭にはパイプのように太いものが付いており、触手が下から生えている。
こいつの生態は謎に包まれており、研究者の注目の的だそうだ。
学名はたしか…………「刺胞動物門花虫綱六放サンゴ亜綱キモギンチャク目に属するなにか」だったけ?
突進してきたキモギンチャクを剣で切り裂いてこれもアイテムボックスに詰める。
「こいつなかなか手に入らない素材だからな」
これは食べた中で一番おいしい。
それは他のモンスターも同様なようでこの前ファイティングキモイがその辺で戦闘してた。
ペンギンの覆面は外して食べるのだろうか?
そうやって食材を集めていると、大きな木が中心に生えており、それを囲むように離れて森になっている場所に出てきた。
「ここ、どこだ?」
まるで森に穴が開いているようだ。
『フフフ、お帰り、リク。今日で最期だねぇ』
俺はゆっくりと意識を失った。
「ふぁ~あ。また寝てた?」
アホみたいな欠伸をして身体を伸ばす。
身体に違和感はない。
モンスターにいたずらされてないようだ。
「いつもこの時間になったら眠くなるんだよな」
【天駆】を駆使してタカナシさんの家まで飛ぶ。
「少し遅かった?」
「すいません。ちょっと寝てました」
「まぁ、別にいいよ。早く手を洗ってきて」
俺はタカナシさんと二人で料理を作る。
この半年間いろいろ教えてもらった。
「二人で食べるにしてはだいぶ多くないですか?」
「ふっ、まぁね」
茶色い顔の彫りがさらに深くなった。
俺は完成した料理を馬鹿広いテーブルに並べていく。
カラトリーはしっかりと教えられた。
あと食事のマナーならもう完璧かもしれない。
てか、なんか椅子多くね?
タカナシさんは俺が席に着くと言った。
「みんな、できたよ!」
俺はタカナシさんが大きな声をいきなり上げて驚く。
「ふん、言われなくても分かっている」
「ねぇ、リクの料理ってちょっと楽しみじゃない?」
「なかなかエキサイティングだね!」
「リク坊の料理か…………大きくなったのう……」
「リク~、久しぶり~♪」
「夜分に失礼します」
誰も座っていなかったはずの椅子には俺の見知った顔ぶれで埋まっていた。
シャクセン「ワイもおるで」
リク「すみません」
シャクセン「なぁ、何に対しての謝罪なんや!?めちゃ気になんねんけど!」
リク「あっ」
シャクセン「クロキ、酷ない?」
クロキ「ふむ、話すタイミングが悪かっただけだろう。気にするな」
シャクセン「慰めんといてや!」
クロキ「ふん」
シャクセン「ふん、やないねん!」
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