第十六話 千切りってホントに千回切ってる?
『ボボボボボオオボ!?』
必殺だと思われた雷撃が防がれ再び驚愕するおっさんの生えたロールパン。
そこにいたのは肌が茶色焼けており、少し顔の彫りの深い青年だった。
紫のスカーフを巻いている。
「俺の名前はタカナシ。クロキから話は聞いているから怯えないで安心してほしい」
タカナシと名乗った男から紫色のオーラが溢れる。
静かに背中にある大きな大剣を抜いた。
その大剣は布に覆われており、鞘がない。
「ふっ!」
タカナシさんが大剣を振ると布が剥がれ落ちる。
現れた大剣は黒く美しい刃を持っていた。
形が刺身を切る用の包丁っぽい。
「久しぶりにこれを使うけど、全然さびていないね」
そう呟き、大剣を構える。
『ボボボッボボボボボボボオボボボボッボボボオボボッボボオボボボボオッボボ!』
渋い顔でロールパンは詠唱を始める。
今まで見た中で一番長いかもしれない。
だが、タカナシさんは目を細めるだけで何もしない。
しばらくして詠唱が終わった。
『【禍煉】』
これは…………超級魔法!?
俺でもまだ使えてないのに……
一瞬で、世界が黒い灼熱に覆われる。
まさに煉獄の災禍。
「熱いな……」
タカナシさんは俺の盾となって受け止めることを選んだようだ。
「【千切り】」
俺が前にやった魔法を斬る小技を使いながら迫りくる熱を斬り続けていく。
剣筋がよく見えないほど速い。
てか、すでに千超えてるだろ!それ!
「しんど……」
熱が収まるとタカナシさんの紫色のオーラが濃くなった。
急速に世界の色が変わっていく。
紫色の空、紫色の草原。
これはクロキさんの前にやったことと同質のものなのだろう。
大剣を再び構えると片腕で緑の血が出ていて息が切れているロールパンに肉薄する。
「【微塵切り】」
気が付いたらロールパンは跡形もなく消滅していた。
そこにあったのは、度重なる地形を抉る魔法により変形した歪な空間だけだった。
リル「必ずこの『キモキモアイランド』の生態系の謎を解明してみせます!」
リラ「あんまり根詰めるのは良くないよ~」
リル「発表するのです!あまり時間がありません!」
リラ「頑張ってね」
リル「リクが求めてる気がします!」
ようやくタカナシを登場させれました。
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