第十三話 フラグ建設は唐突に
クロキ「なぁ、リンネ。『くっころ』とはなんだ」
リンネ「『くっ、殺せ!』って言う展開よ」(ポーズを決めながら)
クロキ「ふむ、面白そうだ。今度の戦いでやってみるか……」
リンネ「貴方はキャラが崩れるからやめなさい」
クロキ「人生は何事も経験だと思うが?」
リンネ「それでも経験しない方がいいこともあるのよ」
クロキ「ふむ」
『リク、どこに行っている。向かうべき場所はそちらではない』
「え?」
幻聴?
俺はついに『キモキモアイランド』に毒されて幻聴が聞こえるようになったのか?
『そこから南東の方向に進め。タカナシはそこにいる。日が暮れるぞ』
「ク、クロキさんですか?」
この感じ。
もしかしてガチでクロキさん?
『ふん。ここは私の結界内。手に取るように分かるのは当然だろう』
『普通は自身の結界内であっても、手に取るようには無理よ』
クロキさんに加えてリンネさんの声まで聞こえてきた。
『あと、私たちは少々特殊な術式を用いてるわ。簡単な話、私やクロちゃんクラスじゃなきゃ使えない代物よ』
エグッ!
あの二人って世界最強クラスじゃん。
開発した人、絶対使えてないだろ。
『ちなみに開発者はかの高名な錬金術師、ワタ=シテンサイよ。だから惚れ惚れするような術式で構成されていてね。無駄のなく効率の良い魔術なの。ちなみに魔術というのはね。魔力の――――』
要約すると魔法と魔術は違う、らしい。
よく分からないが……。
「南東ですね。分かりました」
『やっぱりもう少し説明を――』
『しつこいぞ、リン』
言われた通り、南東に進む。
三十分ぐらい進むと大きな影が見えた。
なんか島が浮いてる……
この『キモキモアイランド』は力場が他と違うのかもしれない。
「―――ッ!」
そんなことを考えていると、再びキモいのが現れた。
大きなロールパンにおっさんの顔。
そこから筋肉質な腕と足が生えている。
『ボボボボボボボッボボ』
俺は静かに戦闘の構えをとる。
顔面犬ムキムキ男を倒して思ったが、この島のモンスターは魔法に弱いとみた。
環境が同じだと同じようなモンスターになりやすいってリルがモンスター学の授業のときに言っていたしな。
試してみるか。
ばれないように小声で詠唱を始める。
「【過剰超火】」
『ボボボーン!』
業火がおっさんが生えたロールパンを包む。
「やったか!?」
俺はそんなセリフを吐きつつ、炎の方向に目を凝らしたのだった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字等あれば報告ください。
あと、なんとなくですが前書きと後書きは逆にした方がいいですかね?