第十話 引きこもりと犬
滅茶苦茶短くなってしまいました。
これから、狂気を加速していくつもりです。
「この島には我がギルドのトップスリーの一人、『タカナシ』が引きこもっている。というより、人間はあいつのみだ」
「タカナシ?」
知らない名だ。
「ふむ。『紫紺の料理人』、タカナシ。またの名を『神選料理人』という。まぁ、私からすれば十年間も出てこず仕事もしない、ただのニートでしかないがな」
「『神選料理人』、聞いたことがあります。どんなものでも美味しく料理してしまう料理界の神様。でしたっけ?」
クロキさんは俺の首元を掴み、氷の上に着地した。
「今回はそいつに料理を教えてもらえ」
「痛っ。えっ?それだけですか?」
「ふん、料理を舐めていたら死ぬぞ?」
い、一応気を引き締めておこう。
「では、行ってこい。私たちはここまでだ」
「分かりました。頑張ります」
「ふん、頑張るのは当然だろう」
俺はみんなから言葉と共に送り出された。
「気絶しないように頑張ってね」
「気絶しないよう気ぃ付けるんやで!」
「はい!」
気絶……?
俺は氷の道を渡って、秘境『キモキモアイランド』へ足を踏み入れた。
俺が島に着くと同時に霧が晴れる。
霧の結界は外側からしか見えないのか、それとも島を囲むように配置されているのか?
クロキさんの性格上、後者っぽいな。
島の見た目は自然豊かな南国といったところで砂浜と海のコントラストが美しい。
『ワンワン!ワンワン!』
後ろから犬の声が聞こえる。
南国っぽい島なのに犬がいるのか?
俺は視線を向け――――固まった。
視界にいたのは犬の頭に筋肉質な男性の身体。
身体はオイルのようなもので照かっていた。
四つん這いではぁはぁ言って、犬のように遊んでいる。
そしてなぜか裸だった。
「え?なにこれ?」
犬頭の怪人と目が合う。
『?』
どうやら、この試練も一筋縄ではいかないらしい。
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