表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/74

第九話 感性の違い

翌朝、俺が食堂に向かうとクロキさんが一人で静かにコーヒーを啜っていた。

リンネさん特製の苦い魔法薬で治したみたいだ。

スーツにはもちろん皺ひとつもない。


「おはようございます」


クロキさんは口にコーヒーを含んでいるので片手を上げて対応した。


「リク、後一時間で『キモキモアイランド』に到着だ。準備はできているな?」


「はい」


「ふむ、先方には話をつけてある。存分に楽しんで来い」


そう言ってクロキさんは食パンをかじった。


「あれを本気で楽しめるのは貴方だけよ、クロちゃん」


リンネさんがプレートを持って、呆れたように言った。


「ほんまにや。ワイなんて一日でギブったわ」


シャクセンさんも来た。

なんかクロキさんが昨夜カウンセリング治療してた。

クロキさんはどうやら、精神科医の国際免許を持っているらしい。

クロキさんが有能すぎる。


「む?割と楽しいぞ?」


「否定はしないけど私の場合、興味深いの方よ」


「ワイは二度と行きなくない」


なんかクロキさんの楽しい、って他と感性違うみたいだな。


「どんな場所なんですか?地理では資源が豊富な秘境でおいしいものが沢山ある、としかやらないんですけど」


「ふむ……」


イチゴジャムをたっぷりと塗りながら考えだすクロキさん。

物凄く甘そう……


「子供描いた絵のような生物が沢山いるな」


「子どもの描いた絵ですか?」


「ええ、あの島の生態家は研究者を魅了して止まないほど特殊よ」


「いや、単純にキモいだけやろ」


余計に分からなくなった。

子どもの絵みたいに稚拙でキモいけど研究者にとっては興味深い生物のたくさんいる島?


「もっと具体的に……」


「そんなことよりも朝食を食べて準備を終わらせてこい。私たちは途中までだからな」


「えぇ、そんなぁ」


再びクソどうでもいいことだが俺は鮭の塩焼き定食、リンネさんはドラゴンフルーツとリンゴ(意地悪なのか切られてなかった)、シャクセンさんはカレーライス、クロキさんは食パンとコーヒーとイチゴヨーグルトだった。


「ねぇ、これどうやって食べるのかしら?」


「知らん」


三日ぶりに見るいつもの朝だった。




紫の霧がかかった島が見えてきた。


「結界に穴を開けるぞ」


クロキさんは手をかざして少し霧を晴らした。


「私、氷結系の魔法は苦手なのだけれど」


そう言うとリンネさんは一瞬で島に続く氷の道を作ってしまった。

なるほど、これなら確かに自力で逃げれると言われたのは納得な気がする。

シャクセンさんが信じられないものを見る目で見ていた。


「そういえば、試練の内容は何です?」


「ふむ、言いそびれていたな」


そう言うと、クロキさんは『キモキモアイランド』にゆっくりと視線を向けた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字等あれば報告ください。


―――次話でようやく『キモキモアイランド』に上陸。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ