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284話目【最後の昼食】

時刻は11時半、場所はシード計画施設内、

283話目【カンガリュウ】で魔物園に立ち寄った後の話である。


「カンガリュウとは珍しいですね、私も会ってみたいです」

「ペンテロさん会ったこと無いんですか?」

「えぇ、カンガリュウは町の中には入って来ませんので

 私のように外に出ず生活している者は会う機会はありません」

「へ~じゃぁ俺は結構貴重な経験をしたんですね」

「どうでしょうか? 冒険者や衛兵の方なら多少は会う機会が増えますので

 極端に貴重というわけではないと思います」

「なるほど、そこそこ貴重と」

「あのさ~マツモト君、忘れてるでしょ?」


ニヤニヤしたハルカが下から覗き込んで来た。


「何をですか?」

「私はライドニングホークに連れ去られる方が貴重な体験だと思うな~」

「そうですね、連れ去られて巣から生還したという話は聞きませんし、

 私としては歴史に残る偉業だと思います」

「嫌ですよ~そんな不名誉なことで歴史に刻まれたくないですって」

「歴史的偉人『ライドニング坊やマツモト』」

「ちょっとロダリッテさん、カンガリュウに全然食い付かなかったくせに

 こんな時だけ会話に入って来ないで下さいよ」

「煩い」

「それだと何をした人か分かりません、もっと分かり易く

 『ライトニングホークに連れ去られて生存した人』でどうでしょうか?」

「いやいや、ここは『卵にぶつかって生きてた子供』で行きましょう」

「せめて名前を入れて下さいよ、誰だか分からないじゃないですか」

『 ははははは 』

 

遅れて出勤してきたわりに仕事のない松本は解読班の3人と談笑中である。


「ふっふっふ…実を言うとですね、私会ったことあるんですよ、カンガリュウに」

「「 へ~ 」」

「え~なんか反応が薄い…もっと羨ましがって下さいよ~、

 私が自慢できることってそんなにないんですから」

「ではもう1度お願いします」

「おほん…実は私カンガリュウに会ったことがあるんですよ~」

「それは凄いですね、とても羨ましいで…」

「しかも2回!」

「(食い気味でしたね)」

「(何故俺に?)」


ハルカが松本の顔の前にドヤ顔でピースサインを突きつけている。


「ほら私の家って芋農家じゃないですか、町に来た時に食べ物を貰いに来るんですよ」

「なるほど、確かに農業に携わっている方なら会う機会がありますね」

「俺の勝手な想像ですけど只で貰うのは嫌がりそう」

「そうそう! 絶対に畑の仕事手伝ってくれるの、1日働いてクズ芋1箱みたいな感じで、

 あと大ネズミをやっつけてくれてくれたりもして」

「やっぱりなぁ、そんな感じがしましたもん」

「無償の施しは受けないということですか、面白い習性ですね、とても人間臭い」

「良いですよ~カンガリュウ、農家の間では大人気です、

 凄く優しいって言うか、しっかりしてるっていうか、紳士的なんですよ」

「いやいやハルカさん、分かってないですねぇ、武人ですよアレは、佇まいが違う」

「ほう、佇まいですか、ますます気になります」

「っち…」

「「「 ん? 」」」


盛り上る3人に背を向けたロダリッテから小さく舌打ちが聞こえた。


「「「 … 」」」

「あの~…ロダリッテさん今舌打ちしませんでした?」

「してない」

「…そうですか(嘘だな)」

「(聞こえたと思いますが…)」

「(絶対してたよね)」

「ペンテロさん、カンガリュウなら魔物園に行けば会えますよ」

「え? そうなんですか?」

「嘘だ~私2日前に行ったけどいなかったよ?」

「そりゃいませんよ、だって今日からですもん、と言うかついさっきですけど、

 ヤルエルさんを頼って魔族から避難して来たみたいでして、

 ロックフォール伯爵の許可を得て暫くは魔物園に住むことになりました」

「避難ですか、災害の前触れとして魔物が逃げ出すという話は聞きますが…

 私達が認識している以上に深刻な状況なのかもしれませんね」

「「 ほう 」」

「まぁ、それはそれとして今日は早めに切り上げて娘と一緒に行ってみようと思います」

「その際は是非売店にお立ち寄りを、経営が大変なんです…

 何か…何か1つでも買ってあげて下さい…」


ヨヨヨ…とシオシオな顔で松本が懇願している。


「お子さんが一緒なら子供に大人気の魔物クッキーがオススメです」

「(急に元に戻りましたね…)

 子供と言っても一緒に行くのは上の娘なので17歳ですよ、

 それに最近体形を気にしていますのであまりクッキーは食べないかと」

「それじゃ下の娘さんと息子さんのお土産にでも…

 ペンテロさんの優しさが可愛い魔物達を救うと思って…」

「そうですよペンテロさん…私なんてクッキー3袋も買ったんですぅぅ…

 ユキちゃんが痩せちゃったら可哀想じゃないですか…」

「「 ヨヨヨ… 」」

「ははは、分かりました、買わせて頂きます」

「「 いえ~い! 」」


松本&ハルカの泣き落としによりクッキーお買い上げ決定。


「あ、言い忘れてましたけど、数が多すぎて檻が無かったので

 カンガリュウは放し飼い状態です」

「何匹くらいいるのですか?」

「15匹ですね、4家族です」

「絶対何か仕事してると思う」

「掃除とかしてましたよ」

「だよね~だってカンガリュウだもん」

「なんか従業員みたいですね」

「っち…」

「「「 … 」」」


再び舌打ちが聞こえて3人の視線がロダリッテの背中に集まった。



「あの~ロダリッテさん…」

「してない」

「「「 … 」」」


振り返って顔を見合わせる3人、

松本とペンテロがハルカを指差した。


「ロダリッテさんってカンガリュウ嫌いなんですか?」

「別に…」

「「「 … 」」」


そしてペンテロを指差す2人。


「娘と魔物園へ行くのですが一緒にどうですか?」

「行かない…」

「「「 … 」」」


一巡して再び松本。


「…もしかしてカンガリュウと試合しました?」

「っち…」

「(いやしたんか~い!)」

「(ロダリッテさんは武闘派ですからね)」

「(やっぱり嫌いなんだ)」


発掘班の頃にカンタルへ向かう道中で試合を挑まれボコボコにされたらしい、

その際の相手はリュウではなく魔物園で松本が耳をピロピロしていたカンガリュウである。


「カチカチ」

「ね~凄い筋肉だね~」

「あんまり触ったらカンガリュウさん怒っちゃうよ、その辺にしとこう」

「うん、カチカチだった」

「ミーちゃん、カンガリュウさんにお礼言った?」

「ありがとう、カチカチ」

「良い子ね~ありがとう御座いました~」

「すみませんうちの子が、これお礼のブドウです、後で皆で食べて下さい」


なお、現在はお触りコーナーで触られる仕事中である。


「血管の浮き具合といい皮膚の薄さといい、ガチムチの名に恥じない素晴らしさだ」

「っく、上腕が私の太腿より太いなんて…まだまだレム様への信仰心が足りないのね」

「肉を食さずにどうやってここまでの筋肉を…素質の違いだと言うならばなんとも羨ましい」


噂を聞きつけた光筋教団員達が早速見学に来たそうな。


因みに、肉を食べないカンガリュウがガチムチなのは腸内細菌の影響らしい、

現実の草食動物が筋肉質なのも同様であり、

馬なんて草をムシャムシャしてあの筋肉である。







「そろそろ12時ですし、少し早いですが混む前に昼食にしましょうか」

「「 はい~ 」」

「…」

「いつまで拗ねてるんですか? 行きますよロダリッテさん」

「煩い」

「カンガリュウは強いですから負けても仕方ないですよ、俺も全く歯が立ちませんでしたから」

「死ね」

「死ね!? ちょっとロダリッテさん今死ねって言いました!?」

「言ってない、知らん」

「(マツモト君も戦ったんだ)」

「(まぁ、マツモト君は鍛えてますからね)」


そんな感じで不機嫌そうなロダリッテを引っ張って食堂へ移動すると

カプア、リンデル、クルートン、トナツ、ノア、

そしてロックフォール伯爵が集まっていた。


「これは…皆さん真剣な顔をされてどうされたのですか?

 伯爵に加え主任達が揃っている時点で只事ではなさそうですが…」

『 … 』

「ふぅ…続きは皆が集まってからにしましょう、

 申し訳ありませんが主任の方達は部下の方達を呼んできて頂けますか?」

「「「 はい 」」」


カプア、リンデル、クルートンが席を立った。


「どうぞ、ペンテロさん達は好きな席に座って下さい、とても重要な話があります」

「「「「 はい 」」」」


口調は普段通りだが重い空気を纏ったロックフォール伯爵に促され、

4人は飲み物だけを手に取り席に付いた。







「ハンクさん、なんですかそのデッカイの?」

「ギガント君です、正式名はヘラクレスギガントカブトと言って、

 カード王国内で最大サイズのカブトです」

「へ~あちょと…お腹の方見せないで下さい…」

「おや、マツモト君は苦手でしたか、申し訳ない」

「苦手って程でもないんですけどね、なんか足見るとマンモスキート思い出すっていうか…」

「野池に湧くアレですか、あまり似ているとは思いませんが…」

「迫力的な意味です、こうガッって掴んできそうじゃないですか、

 以前掴まれた時に爪が食い込んでメチャメチャ痛かったんですよ、服ボロボロにされましたし」

「確かに力は強いですね、特に角の力が凄くてスイカ程度なら容易く真っ二つに出来ます」

「恐ろしい…」

「ははは、心配せずともギガント君は穏やかな性格なので大丈ですよ、

 こうやって角を撫でても…危なぁ!?」

「(う~ん…)」


下角に生えた毛に触れた途端にハンクが指を挟まれそうになった。


「(しかしデッカイなぁ、流石はヘラクレスを冠するカブト、異世界でも王者の風格だ)」


王者の風格は確かなのだが、実は王座を競うライバルが存在している、

そう、シルフハイド国に生息しているナシカブトである。


カード王国に生息しているヘラクレスギガントカブトと、

シルフハイド国に生息してるナシカブトは

その大きさと力強さからカブト界の双璧と評されており、

西のギガント、東のナシとして各地の愛好家の間で

小規模ながら度々論争が勃発しているらしい。


なお、カード王国内ではヘラクレスギガントカブト派が圧倒的多数、

ナシカブト派は肩身の狭い思いをしているそうな。


因みに、貴重なナシカブトの幼虫が生息地のシルフハイド国で

エルフ達にムシャムシャされていることは知られていない。




「今から重要な話があるみたいですけど何でギガント君連れて来たんですか?」

「ギガント君もシード計画の一員ですからね、仲間外れにしては可哀想です」

「お~優しい」

「嘘っすよマツモト君」

「え?」

「ハンクさんはお昼を食べるついでにギガント君のご飯を買いに来たでしょ、

 市場で買うよりここで買った方が安いから」

「ち、違いますよ!? 人聞きの悪いことを言わないで下さいドーナツ先生、

 ルーベン君も、私はカプア主任に頼まれて…」

「じゃ買わないっすか?」

「そ、それは、買いますけど…ギガント君がお腹を空かせては可哀想ですから…」

「(優しい)」

「僕は別にリンゴくらい良いと思うけどさ、大した金額じゃないし」

「俺もバナナくらい気にしないっすけどねぇ~でもウチの主任は違うみたいっすよ」

「…ぇ? ひょぁぁぁ!? し、主任ががが…」


バッキバキに目を見開いたリンデルがカプアの首を鷲掴みにしている。


「(お、恐ろしい…カプアさんが一体何をしたというのか?)」


ギガント君の購入費用(3ゴールド)をこっそり経費で処理しようとしました。


それに加えて餌まで経費(ロックフォール伯爵の出資金)が

投入されている食堂で買おうとしたもんだからこの有様である。


「よりにもよって伯爵がいる前で…お前というヤツは…」

「く、苦しい…ライトニングリン…」

「ふんっ!」

「ぐぇ…」

「まぁまぁリンデル主任、カプア主任も反省しているようですし…」

「ノアさんは黙ってて下さい、この馬鹿が反省することなんて絶対にない」

「あ、ある…反省してる…許してライトニン…」

「ふんんっ!」

「ぐぇぇ…」

「恥ずかしいからその名で呼ぶなって言ってるだろ! 

 これの何処が反省してるって? えぇ!? 何処が反省してるんですかノアさん!」

「まぁまぁリンデル主任落ち着いて下さい、深呼吸しましょう、深呼吸」

「ぐぇぇぇぇ…」

「ほ、ほら!? ぐぇぇぇぇってなってますって!? 早く手を放して、

 人間の口から出ていい音では無いですよ!」

「煩いわぁ!」

「ふ、ふふふ…あはははは!」


ノアが必死に宥めているとロックフォール伯爵が笑い出した、

普段と違う笑い方に一同がキョトンとしている。


「ははは、あはははは、いえ…ふふ、失礼しました、

 貴方達はこんな時でも相変わらずですね、ふふふ、

 ですがそれでこそ、そうでなければいけませんね」


ロックフォール伯爵の纏っていた空気が軽くなった気がした。


「そういえばマツモト君」

「なんですかルーベンさん」

「以前フルムド伯爵がちょろっと言ってたんすけど、

 ウルダに赤い目をした子供がいるって知ってるっすか? 

 賢者の末裔ではないらしいんで連れては来なかったみたいなんすけど」

「ほう、子供…あ、1人知ってる人がいます」

「お? 本当に赤い目なんすか?」

「いやまぁ赤いですけどストックさん達とはちょっと色合いが違った気が…」

「ほうほう、具体的には?」

「濃い赤と言うか、鮮やかな赤? まぁでも気のせいかもしれません、

 あと子供じゃないですよ、本人曰くですけど」

「え? 大人ってことすか? フルムド伯爵の会った人とは別人?」

「いえ、たぶん同じ人です、見た目は子供なんで、とういより幼女ですね」

「え? ん?」

「昔はもっと大きかったけど縮んだらしいです、本人曰くですけど」

「「「 ??? 」」」


ルーベンに合わせて横で話を聞いていたトナツとハンクも首を傾げている。






「さて皆さん、お腹が空いているとは思いますが、

 昼食の前に少しだけ私の話を聞いて下さい」


12時過ぎ、種博物館の入口に休館の札が掛けられ、

ロックフォール伯爵からシード計画職員に対し

カード王が布告した緊急宣言の内容が伝えられた。


「(よりにもよってウルダか…くそっ、ここに来た時は2週間くらい掛かった筈、

  魔王復活は早くて1週間…全力で急いで貰ったとしてどれくらいで着くんだ?)」

「緊急事態のため必要性が認められない方の城壁外への移動は禁止です、

 それに伴い各都市間の移動も特例を除き全て禁止、

 現在移動中の方は受け入れ先の都市にて避難して頂きます、

 この処置はダナブルに限らずカード王国内の全都市で既に実施済みです」 

「(実施済みって、それじゃ…)」

「あの、ロックフォール伯爵」

「どうぞルーベンさん」

「俺ウルダに行きたいんすけど馬車とかって…」

「気持ちは理解出来ますが今すぐに出発しても

 魔王が復活するまでに辿りつける保証はりませんよ」

「ウルダが大変なことになるって分かってて知らないふりするのはキツイっす、

 行けばなんか力になれるかもしれないじゃないっすか、最悪辿りつけなくても俺は別に…」

「駄目です、許可しません」

「何ですか!」

「ルーベン!」

「っ…すみません主任、ロックフォール伯爵もすみませんでした…」

「いえ、構いませんよ」

「分かってはいるんすよ、他の町に家族がいる人は沢山いて、

 皆心配で移動したがる人もきっと沢山いる、

 そんな中で俺が感情に流されてウルダに向かったら歯止めが効かなくなるって、

 でも俺悔しくて! 魔王の復活を止めるって頑張って来たのに…

 折角シード計画に加えて貰ったのに…何もやれて無いっす…」

『 … 』


頭を抱えて下を向くルーベンにトナツがそっと声を掛けた。


「僕はそんなことないと思うな、考察班はほら、

 目立たないけどシード計画全体を支えてくれてるから」

「ドーナツ先生…」

「僕からも改めてお礼を言わせて下さい、考察班のお2人には

 いつも調査班の仕事を手伝って頂いき有難う御座います、とても助かっています」


少し離れた場所に座っているクルートンが淡々と頭を下げた。


「頼み事ばかりで申し訳ないのですがもう1つお願いしたいことが」

「えぇ!? 今頼み事って…人の心とか無いんか?」

「いやあるけど…僕のことなんだと思ってるの…ちょっとエルルラさんは静かにしてて、

 魔王が復活した際はウルダだけでなく全ての町が魔族の襲撃を受けると予想されます、

 人を助けたいということでしたらダナブルでも可能でしょう、

 ですが僕達シード計画職員に課せられた責務は魔王が復活したとしても変わりません、

 特に水晶玉に映像を記録する活動は緊急時にこそ求められます、

 後世へ伝える重要な資料となりますので可能な限り収集しノアさんに託す必要があります、

 ですからルーベンさんにはシード計画の一員として僕達と一緒に責務を果たして頂きたのです」

「クルートンさん…皆さん我儘言ってすみませんでした! 俺もっともっと頑張ります!」


立ち上がったルーベンは泣きながら一同に頭を下げた。


「(ルーベンさん…でも俺は…)すみませんロックフォール伯爵」

「どうぞマツモト君」

「ルーン魔増石はどうするのでしょうか? 魔王の復活場所が特定出来ているなら

 今の状態でも罠として活用できる筈です、多少危険だとしてもウルダへ運んで…」

「活用方法に関してはカンタルからの連絡次第で決定します、

 数時間後には連絡役のリテルスさんが戻って来る筈ですので、

 もしルーンマナ石を持ち帰った場合は合わせて活用を、

 そうでない場合はマツモト君の話した通り単体で罠として活用することになるでしょう、

 いずれにしろ陸路では猶予が無いためウルダへの運搬はリテルスさんに依頼することになります」

「分かりました(駄目か…)」


今後の方針の説明を終えたロックフォールは、

住民に対して緊急宣言を伝えるために立ち去った。





「ムシャムシャ…」

「ロダリッテさん今日はやけに食べますね」

「そんなにお腹空いてたんですか?」

「魔王が復活したら食べ物が制限されると思うから食べてる」

「なるほど、今のうちに栄養を蓄えておくと」

「何感心してるんですかペンテロさん、駄目ですよロダリッテさん、

 そういう発想が消費を加速させるんですから、そう思うよねマツモト君?」

「…」

「マツモト君?」

「ん? あ、すみません、ちょっと考え事してて…何の話ですか?」

「今日のロダリッテさんは普段より沢山食べているという話です」

「その言い方だとなんか違う気が…いつも小食の子供が沢山食べてくれたみたいな…」

「食べ物はそのうち制限されて貴重品になる、たぶん自由に食べられるのはあと数日」

「なるほど、俺も後で飴芋食べときます」

「っく…マツモト君までそっち側に…」

「食べ納めにしますんで許して下さい、甘味なんてもう食べられないかもしれませんし」

「確かにそれはそうだけど…私も食べとこうかな?」

「なら私も、今日まで自由に食べて明日から節制しましょう、

 そして無事に魔王の危機を乗り越えられたら、また解読班の皆で一緒に沢山食べましょう」

「「「 おぉ~ 」」

 

松本は解読班の3人と飴芋を食べて昼食を終えた。

長くなったので分割しました。

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