表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
277/304

277話目【魔集石の装備】

町や村を繋ぐ道、または町へと繋がる道、それが街道である。


各都市間を繋ぐ主要な街道には石畳が敷かれており道幅も広い、

場所によっては光輝石の街灯や路肩に大きめの休憩所が設けられていたりする。


一方で辺境の村や湖などに繋がっている人通りの少ない街道は

基本的に地面は剥き出しの土で馬車1台分の道幅しかなかったり、

逆に何処までを道と呼ぶべきか困る程にだだっ広い平地だったりする。


昔は良く使われていたけど新しい道が整備されて使用頻度が減った旧道や、

道から枝分かれして別の道に合流する脇道的なヤツも街道である。


最も大きくて長い街道は北にそびえる大山脈、竜の背ビレと並行するように走る、

西端のカード王国から東端のキキン帝国までを繋ぐ大街道である。


まぁつまり、街道というのは大小複数あり、それぞれが繋がっていたりして、

己の目的に応じて最適な道を選ぶ必要があるということ。



主要で利用者の多い街道なら魔物との遭遇率を下げられ、

遭遇したとしても周りの者達が手助けしてくれる可能性が高い、

馬車が故障するなどのトラブルも同様で、

運良ければ商人からその場で部品を買って修理することが出来る、

道も休憩所も整っておりそもそもトラブルが発生し難いので、

例え遠回りになったとしても安全を求めるならこちらである。


というか基本的には皆こちらである、ポッポ村のように辺境の村を目指したり、

危険な魔物の出現(バトーとモントが討伐したマンティコアなど)や

洪水や落石などの自然災害、たまに発生する渡牛(野生)の大移動などで

街道が封鎖されない限りは敢えて他の道を選ぶ理由は無い。


街道が封鎖されると大抵の者は1つ前の町に引き返すことを余儀なくされ、

物資に余裕のある者は休憩所に留まり封鎖が解除されるのを待つことになる。


中には先を急ぐ者達も当然いる訳で、その場合は街道のプロこと、

人や荷物の運搬を生業とする御者達の腕の見せ所となる。


ナビや電話といった便利アイテムはないので頭に叩き込んだ街道網と

仲間内で共有した情報を駆使して通行可能な最適ルートを導き出し、

薄暗い森の中をかっ飛ばしたり、崩れそうな崖っぷちを責めて依頼を達成する。


たまに片輪が崖の外にはみ出ることがあるらしく、

その際は乗客どころか崖のプロこと船越栄〇郎も真っ青なスリルが味わえるらしい。






さて、何故今頃になって街道の説明をしているのかというと…


「旦那? アクラスの旦那?」

「…」

「魔物がでましたよ、起きて下さい旦那、寝てたら食われちまいますよ」

「…」


今まさにトラブルに巻き込まれようとしている者がいるからである。





「旦那~?」

「…」


月明かりが差し込む森の中で御者と思われる男が

布を羽織り木に寄りかかって眠るアクラスの肩を揺すっている。


ここは水上都市リコッタと地方都市ウルダを繋ぐ街道の途中、

滅多に人が通らず魔物との遭遇率がそこそこ高い危険な裏道的街道である。


地図で確認すると大街道より北側、つまりは竜の背ビレ側にある森の中で、

リコッタからは3日程、ウルダからは9日ほど離れた位置。


「アクラスの旦那? 起きてますか? 旦那~?」

「…」


危険な森の中だというのにグッスリと眠るアクラス、

流石はウルダが誇るAランク冒険者、肝が据わっている。


「アクラスの旦那、魔物が来てますよ」

「スヤピピ…」


面構えが違う。





「旦那~? 寝てるなら槍を頂いちゃいますよ、良いんですか?」

「…」


と、思ったがなんだか様子がおかしい、

アクラスが抱えている槍を御者がゆっくりと抜き取っている、

魔物が出たと言っていたがそんな気配はない、実に静かで穏やかな夜である。


「うしし…先ずは1本、そして…あれ? しっかり握ってるな…ちょっと…

 寝てる時も警戒してますってこと? アッシにはそういうの無理なんで凄いとは思いますがね、

 今はそういうのいいですから…頼みますよ旦那、いや本当に…」

「おい無理すんな、あんま動かすと起きるぞ」


茂みの中からフードを被り布で顔を隠した大柄の男が出て来た。


「ぐっすり眠ってますから大丈夫ですって、薬が効いてます」

「馬鹿野郎、油断すんじゃねぇ、飲ませてから4時間以上経ってる」


声から判断するにそこそこオジサンっぽい、

粗暴な感じもするしなんか見た目がワイルドなので盗賊っぽい。


「お頭、馬車の準備出来たよ」

「とっととずらかろう、今にも魔物が出そうで怖ぇ」



声から察するに少し若そうな男女2人やって来て男に耳打ちをした。


「おう、先乗ってろ、もう1本盗ったらすぐ行く」

「コイツ名の売れた冒険者なんだろ? ってことは凄く強いんだよな?」

「もし起きたらヤベェよ…とっととずらかろうお頭、1本で十分だって」

「馬鹿野郎、幻とまで言われる魔集石だぞ、売れば遊んで暮らせるてお宝を

 みすみす置いて行く盗賊がいるかってんだ、いいからお前等は先乗ってろ」

「「 はい~ 」」


2人はそそくさと歩いて行った。


「で、どうするんです? しっかり握ってますけど」

「何とか魔集石だけ外せねぇか?」

「いや無理ですよ~どこが魔集石っすかこれ、アッシ魔集石がどんな見た目なのか知りませんもん、

 そもそも本物なのかも定かじゃないんですから」

「もし偽物だったら只じゃおかねぇからな、こっちは危ねぇ橋渡ってんだ」

「それはアッシも同じですって、今更恨み言は無しにして下さいよ、

 最初に言った通りあくまでも噂、御者同士の情報交換で聞いただけですから」

「っち、まぁいい、本物かどうかは後でじっくり調べてやらぁ、

 冒険者様よ~頼むから手を放してくれよ~」

「ちんたらしてないでさっさとしな、殺しちまえばいいだろう寝てんだから」


また別の盗賊が出て来た、声からして女性だがハスキーボイスなので姉御感がある。


「殺しは無しだ、後が面倒だからよ」

「アンタいつもそれだ、臆病なだけだろうに」

「口の聞き方に気を付けろよ、俺は臆病じゃねぇ、慎重なだけだ」

「はいはい、その台詞もいつも通りだ、大金を目の前にして聞きたかないよ、

 どきな、アンタがやらないなら私がやってやる」

「おいやめろ」

「ちょっと姉さん、お頭も落ち着いて、アクラスの旦那が起きちゃいますよ」

「起きてますよ」

『 …え? 』


爽やかボイスに御者とお頭と姉御がビクッとした

ついでに暗闇の中から複数の上ずった声が聞こえた。


「(…え? 今の声って…え? 噓? いやいやそんな…)」

「(おいおいおいおい…違うよな? 違う…うん絶対違う)」

「(マジ? でも…え? ヤバいっしょ…)」


3人が恐る恐る確認すると笑顔のアクラスと目が合った。


「「「 ぴゃぁぁぁ!? 」」」

「あ、あのあののああああアクラスの旦那…いつからお目覚めで?」

「ずっと起きてましたよ」

「く、薬は?」

「飲んでいません、怪しかったので」

『 … 』

「リコッタのギルド長と御者組合から忠告をされていたため警戒していたのですが、

 どうやら当たりだったようですね、そこの女性の方の声は聞き覚えがあります、

 2日前に街道封鎖の情報を伝えに来た方ですよね、

 御者に成りすまして嘘の情報を伝え、待ち構えている街道へ誘導する、という手口でしょうか」

『 … 』

「あの~アクラスの旦那、見逃して頂くってことは…」

「無理です」

「そ、そうですよねぇ…うしし…すみません…」

「私の槍を返して下さい、それはとても大切な物です」

「いやあの~どうしましょうお頭?」

「どうもこうも…バレちまったらやるしかねぇだろ、2人共行け!」


お頭が剣を構えると槍を持った御者と姉御が馬車に向かって走り出した。


「俺は殺しはやらねぇ主義なんだがな」

「盗賊にしてはお優しいのですね」


なんて言葉を交わしているとアクラスの背後から剣を持った盗賊が2人飛び出して来た。


「「 ぐふぅ!? 」」


でもまぁ、アクラスなので不意打ちでもあっさり撃退。


「ぬぅ…こんの化物がぁ! かっ…」


お頭も喉と鳩尾みぞおちをトントンとシバかれ轟沈、

槍の柄の方なので峰打ちである。


「大抵こういう場合は上の者から逃げ出すものですが、

 自ら向かって来るとはなかなか骨のある人物です」


アクラスが振り向くとポニコーンが嘶き(いななき)凄い勢いで馬車が走り出した。


「うわぁぁ!? お頭がやられた!? ヤバいよヤバいよ!? ねぇヤバいよ!?」

「煩い! 見りゃわるっての!」

「あだ!?」

「もっと飛ばしな! 追いつかれたら終わりだよ!」

「やってますって、怒鳴らないで下さいよ姉さん、夜道は気を張らないと危ないんですから、

 心を落ち着けて目を見張る、これがアッシの御者としての心構えってヤツです」

「落ち着いてる場合かい!」

「姉御、これだけ離れれば追って来れないでしょ、それよりお頭達が…」

「まだ魔法があるだろう! 槍を持ってるからって魔法が苦手とは限らないよ!

 だからさっさと殺しとけばよかったんだ、腰抜けの甘ちゃんが…」

「でも姉御、アイツ寝て無かったよね」

「1本盗れただけ奇跡みたいなのもんです」

「黙ってな!」


ドンドン遠ざかって行く馬車に向けてアクラスが槍を構えた。


「まだ力加減が難しいですが…はぁっ!」


マナを込めた槍を突き出すと街道の闇を猛々しい光が切り裂いた。


『 ぎゃぁぁぁ!? 』


槍から放たれた雷撃に貫かれ馬車が止まった。


『 あばばば… 』


所々焦げているがポニコーン含め全員生きてるっぽい。


「ふむ、少し強過ぎましたか、槍は返して頂きます」


駆け付けたアクラスにより全員拘束された。


『 あばば… 』


ついでに治療もされた。


「勘弁して下さいよアクラスの旦那ぁ~、つい出来心なんですよぉ~

 魔集石なんて聞いたら誰だっておかしくなっちまいますって、

 アッシもそんな気は全くなかったんですけどこの人達に脅されて仕方なく…」

「おい! なに1人だけ助かろうとしてんだテメェ!」

「このカス野郎!」

「お頭を見習え! あらぁ! おらぁ!」

「痛い! 止めて! ほら見て下さいアクラスの旦那、こんな感じでアッシは脅されてたんですぅ!」

「テメェが話を持って来たんだろうが!」

「このクソ野郎! このっ!」

「おらぁ! くそっ届かない…」


縛られた4人が荷台で転がりながら暴れているが気にせず移動、

最初に倒したお頭達も縛って荷台に収容した。


「この方達はリコッタへ連行します、他にはもういませんか~?」


取り戻した槍をかざして周囲を光で照らしている、

先程の槍には雷の魔集石が使用されていたが、

こちらの槍には光の魔集石が使用されていたらしい、

ただでさえ珍しい物を1人で2つ所持しているとは驚きである。


ギガントバジリスク討伐戦後にノルドヴェルのアドバイスに従って

己の力不足を補うために探していたそうな。


といっても魔集石はドワーフすら殆ど見たことの無い幻の素材なわけで、

生きてる間に手に入れられたらラッキーくらいの感覚で

ドワーフのドナが営む鍛冶屋『ユミルの左手』を訪れたら

たまたま偶然、奇跡的に何故か光の魔集石(貝)があったらしい。


光の魔集石の大部分は盾の制作に当てられたが、

何度も頼み込んで破材を利用した槍を製作して貰ったそうな。


だがまぁ、魔集石を利用した槍と言っても

光を発するだけなので火力の底上げには直接作用しないのも事実、

無理は処置の上で他の魔集石の捜索を依頼していたら、

たまたま偶然、奇跡的に何故か雷の魔集石(卵の殻)が見つかったそうな。


そんなこんなでアクラスは多額の借金と引き換えに2本の槍を手に入れた、

あまりにも出来過ぎた話だが事実である。


因みに、魔集石の出所は不明らしい、

風の噂によると2つの魔集石には同じ少年が関わっているらしい、

あくまでも噂であり真偽は不明である。


「数が減った状態で魔物の生息地に留まるのは危険です、

 最近は魔族に襲われ全滅する盗賊団も増えています、

 ここに残るより町の牢屋に入って罪を償った方が方が安全だと思いますよ、

 同行を希望する方は武器を捨て両手を上げて出て来て下さい」

「「「 … 」」」


アクラスの呼びかけに応じで3人の盗賊が出て来た。


「馬鹿野郎共が…何で逃げねぇんだ」

「だって私達だけじゃ無理だし」

「お頭も姉御も捕まっちまったし」

「腹減ったし」

「これで全員ですか?」

「そうだよ、あ~くそっ、とっとと連れて行けってんだ!」

「はぁ~ぁ、下手こいたねアンタ、臆病者のくせにデカい山に手を出すからだよ」

「殺されてねぇだけマシだろ、盗賊の最後ってのは大体こんなもんだ」


こうして1つの盗賊団が壊滅した。


みたいな感じで御者が悪事に加担していることもあるので

例え街道のプロだとしても簡単に信じてはいけない、

特に貴重な物を所持している場合は油断は禁物である。










時は数時間流れて午前5時30分、場所は西に移動してウルダの増築された区域。


「おはようゴードン村長」

「おう、フィセルも早ぇな」


仮設の家の前でポージングの練習をしているゴードンにフィセルが声を掛けた。


「俺も一緒にいい?」

「おう、適当にやってるから勝手に合わせてくれ、光らすなよ」

「わかってるって」


上裸になったフィセルもゴードンの横に並んでポージング練習開始、

2人共ポッポ村にいた時よりも筋肉の厚みが増しておりポージングも様になっている。


「習慣って怖いよね、ここじゃ小麦畑も木こりの仕事も無いってのに勝手に目が覚めちゃう」

「俺もだ、村じゃこれが普通だったからな」

「ウィンディとポポさんは?」

「かあちゃんは本読んでるぞ、借りて来た料理の本が面白れぇみたいでな、

 おかげで昨日の晩飯は見たことねぇ料理だった」

「美味しかった?」

「かあちゃんが作るもんは何でも旨ぇよ、でもなんか味がゴチャゴチャしててよ、

 俺はどっちかというと芋焼いたくらいの簡単なヤツが好きだ」

「そういうこと言うと怒られるんじゃない?」

「かあちゃんには絶対に内緒だぞ、楽しそうにしてんだから、ウィンディはまだ寝てるぜ」

「俺達と違って町の生活に馴染んで来てるねぇ」

「いや、ポッポ村も時と変わってねぇぞ、起こしてねぇだけだ」

「あ、そう」

「俺が言うのもなんだがよ、ウィンディはちょっとアレだからな、

 ほっといたら昼くらいまで寝てるぜ、朝飯食わねぇで腹が減らねぇのか不思議でならねぇ」

「ははは、欲望に素直ってことなんじゃない、ジョナが結婚したら苦労するよ」

「早いとこ結婚しねぇかな、ジョナがその気を無くしたらもう無理だぜ」

「うんまぁ…そうだね…性癖がちょっと…」


捕まっていないだけの性犯罪者、それがウィンディ、いや、ウィンナー姉さんである。


「オメェの方はどうなんた? 昨日レベッカと何処かに行ったんだろ?」

「まぁね、実はさ、ちょっといい感じだったりして」

「お? やったじゃねぇか」

「バトーのシゴキに耐えれば耐える程に俺は愛しのレベッカの理想に近づいてる、

 やはり筋肉、筋肉と努力は裏切らない」

「お、おう…」


大胸筋をアピールしながらフィセルが男の顔になっている。


「昨日はレベッカから誘って来たんだ、凄く楽しかったなぁ~2人共汗だくになってさ、

 素敵よ、もっと激しく、まだイケるでしょ、なんて言われちゃって」

「(随分進展してだんだな)」

「帰り際にプレゼントも貰っちゃった、凄いことだよこれは」

「ん? おう?」


フィセルがにやけた顔で何処からともなく取り出した

魔法のプロテインを見せつけているのだが、

ゴードンの想像とは乖離があるらしく首を傾げている。


「筋トレ後に飲むように言われたんだけど勿体なくて飲めるわけないよねぇ、

 だって愛しのレベッカからのプレゼントだよ」

「お、おう、良かったな(何処行ってたんだ?)」


恐らく光筋教団の無料体験だと思われる、肉味なのがまたなんともアレである。


『 おはよ~ 』


ジョナとレベッカとアビンもやって来て各々ポージング練習、

住む場所が変わってもポッポ村住民の朝は早い。


「そういえば最近バトーをあまり見ないね」

「確かに」

「まだ灯りが付いてないわね、もしかして昨日帰ってないの?」

「(っく…レベッカがバトーを気にしている…見て、俺の筋肉を見て…)」

「ゴードン家の隣だろ? どうなんだ?」

「3日は戻ってねぇぞ、今頃町の外で野宿でもしてんじゃねぇか?」

『 え? 』

「魔物退治が忙しいらしくてよ、ギルド長にこき使われてるみてぇだ」

『 へぇ~ 』

「なんでも強ぇ冒険者が別の町に行ってて人手不足なんだと」

「バトーも大変だねぇ」

「バトーなら野宿でも大丈夫でしょ」

「だな、心配いらねぇ」

「まぁ、バトーだしね(それより見て! 俺を見てレベッカ! 脹脛カッチカチ!)」

「「「 おはよう御座います~ 」」」

『 おはよ~ 』


ウルフ族のメグロととカテリアとマルメロも合流、

増築された地区にはウルダ周辺から避難して来た6村の人達に加え、

2種族(ウルフ族とニャリ族)の人達が生活している、

獣人達の居住場所はポッポ村の隣である。


『 おはよう御座います~ 』

『 おはよう御座います~ 』


向かいの居住場所に住んでいる別の村の人達もやって来た、

何処の村も朝が早いのは共通らしく早起きした人達はいつも自然に集まって来るらしい、

ここ以外でも増築された地区では早朝の小さな集会がチラホラ見受けられ、

ポージング練習や情報交換が行われている、所謂ご近所付き合いというヤツである。


「ふご…」


因みに、ニャリモヤは基本的に来ない、というかニャリ族自体が来ない、

何も無ければ寝ている種族である。








一方その頃、バトーは。


「っふ、っふ、っふ」


ギルドの近くにあるカルニ宅(賃貸、2階建て)の前で素振りをしていた。


「バトーさん…バトーさん…」

「っふ、っふ、っふ、っふ」


直ぐ隣で見回りの衛兵が目を細めている。


「バトーさん…聞いてます? 聞こえてますよね?」

「おはよう御座います」

「いや、おはようじゃなくて、昨日も言いましたよね? 

 朝早くからの素振りは近所迷惑だから止めて下さいって言いましたよね?」

「すみません、あと400回で終わりますので」

「いや止めなさいよ、今すぐ止めなさいよ、なに400回って? 400回もふんふん言うつもり?」

「では罰として500回やりますので許して下さい」

「ちょっと何さらっと回数増やしてんの? 駄目だって、辞めて欲しいんだからこっちは、

 だいたいそれ何振ってんの? 木剣じゃないよねそれ?」

「巨大モギの何処かの骨です」

「それってアレ? 以前城壁を破壊したヤツ?」

「それです、カルニの家に飾ってあったんですよ、少し持ち難いですけど重くていいですよこれ」

「へぇ~形的に足の骨かな? にしては小さいか? …じゃなくて、辞めて下さいって」

「すいません、あと450回なんで、すみません」

「ちょともう…仕方ないな、カルニギルド長~お宅の冒険者が言うこと聞いてくれないですけど~」

「あ、カルニはまだ寝てるのでそっとしておいて貰えませんか、

 連日討伐依頼やら町長との話し合いやらで疲れてるんで、昨日も遅かったんですよ」

「じゃぁ止めて~、誰のせいでこうなってんの? バトーさんだよね? 100%バトーさんが悪いよね?」

「すみません、日課なのでこればかりは」


野宿ではなくカルニ宅に泊まっていたらしい、

連日の討伐依頼で遅くなることも多いので便利らしい、

但し、松本同様にヤンチャしているため衛兵に目を付けられている。


「バトーさん~いい加減しないと取り押さえますよ~」

「朝やっとかないと時間が取れないです、今日も討伐依頼があるもので、勘弁して貰えませんか」

「えぇ…(それ言われるとなぁ…)」


町のために尽力してるのは周知の事実のため衛兵も困り顔、

松本のように奇声を発している訳ではないので許してあげて欲しい。








そして時間は流れて夕方。


「う~ん…この辺りにあるって聞いたんだけど…」

「なんか道がゴチャゴチャして来ましたねぇ、うまま」

「食べながら歩いたら危ないよカテリア姉ちゃん」


狭い路地をフィセルとカテリアとマルメロが歩いている。


「知らないのマルメロ、焼き芋は柔らかいから転んでも体を守ってくれるのよ」

「絶対そんなこと無いと思う…」

「う~ん、武器屋があるようには思えないなぁ…」

「フィセルさん、大きな通りにある武器屋じゃ駄目だったんですか?」

「ゴードンにこっちの方が良いって言われたんだ、安いし質も高いんだって」

「安いのは嬉しいです、余ったお金で食べ物が買えます! あだっ!?」

「だから言ったのに」

「大丈夫カテリアちゃん?」

「痛いです…うま…」


道の脇に置いてあった木箱に足をぶつけて涙目になっている、

残念ながら焼き芋クッションは不発。



暫くゴチャゴチャした路地を進んでいると言い争う声が聞こえて来た。


「いい加減に売ってくれよ!」

「駄目さね!」

「売れったら売れ!」

「嫌さね!」


一見するとオラついた青年が少女を脅していてるように見えるが安心して欲しい、

Bランク冒険者チーム『南西のピーマン』のベルクと

鍛冶屋『ユミルの左手』を営むドワーフ店主のドナである。


「何でだ! アクラスだって出世払いで買ったんだろ!

 だったら俺にだって売ってくれてもいいじゃねぇか!」

「もう止めとけってリーダー」

「そうそう、俺達Bランクだよ、魔集石は早すぎるって~、

 あでもAランクのアクラスは魔集石を2つ所持してるんだっけ? 凄いね~アクラス」

「駄目駄目エント君そういうこと言っちゃ~ウチのリーダーが対抗心燃やしちゃうからさ~」

「テメェ等は黙ってろ! クソがぁ!」

「「「 ひゅ~ 」」」


そんでもって肩をすくめてヤレヤレとジェスチャーしているちょとチャラい3人は

ベルクのチームメンバーのシシ、エント、ホルンである。


「売れよ!」

「嫌さね!」

「絶対金は払うって言ってんだろ! 今回は頭金だって用意したんだ! 

 あちこち頭下げて来たんだよ俺は! おら200ゴールド! 受け取れよ!」

「要らないさね! 持って帰りな!」

「ふざけんな! あの盾は使うために作ったんだろ!

 キラキラしてっけど観賞用じゃねぇ! アレはどう考えても実戦用だろうが!」

「そうさね! 良く分かってるじゃないかい!」

「だったら受け取れや200ゴールドぉ! あんな金額冒険者が1度に全額払えるわけねぇんだ! 

 俺みてぇに頭金入れて! 人生掛けるってヤツしか買えねぇだんよあの盾は! 

 そんなに信用ねぇか俺はぁ!」

「信用の問題じゃなくて資格の問題さね!」

「なんだそりゃ! くそがぁ!」

「「「 (うわぁ…) 」」」


ようやく目当ての武器屋(正確には鍛冶屋)を見つけたのだが、

あまりのキレっぷりにフィセル達が戸惑っている。


「リーダーお客さん来てるぜ」

「商売の邪魔は良くないよねぇ~」

「ふぅ…ふぅ……おう、すまねぇな、アンタ等先に済ませちまってくれ」

「「「 どうも… 」」」


笑顔で場所を譲ってくれるベルクだが目が血走っているのでちょっと怖い。


「変なとこ見せちまって悪かったね、何の用だい?」

「剣と盾を新調したいんです、魔物と戦う訳じゃないのでそこそこのヤツでいいんですけど」

「変な事言うお客さんだね、それじゃ何と戦うってんだい?」

「いやまぁ、想定してるのは魔族なんですけど、なんかすみません…

 (武器屋なんて初めてだから緊張するなぁ…あとこの人って本当に大人なんだよね?)」


フィセルにとって装備を調達する場所と言えば

ポッポ村唯一の日用品店、ジョナが営む『ジョナ・コスモ』であり、

鍛冶屋もドワーフも目にするのは産まれて初めてである。


「基本的には光魔法で追い払うからあれなんですけど、一応マナが切れた時用の備えで…」

「魔族ねぇ、う~ん…アタイは見たこと無いからねぇ、

 どの武器が向いてるのかちょっと良く分からないさね、予算はどのくらいだい?」

「2ゴールドくらいで買えれば嬉しいんですけど…すみません少ないですよね…」

「剣と盾だろう? まぁ、質に拘らないなら買えなくもないさね、

 その辺の樽に入ってるヤツを好きに選びな、お~いボンゴシ~」

「へいお師匠、お呼びで?」

「聞いてただろう、お客さん達の相手を頼むさね、アタイはちょと奥で休憩して来るさね」

「うぃっす、はいはい~こちらへどうぞ」

「「「 はい~ 」」」


フィセルとカテリアは剣と盾を購入。


「僕はこの剣と盾にします」

「ん? ちょっとまった、ひょっとして坊主…年はいくつだい?」

「11歳です」

「あちゃ~すまねぇ、未成年には剣は売れねぇんだ」

「そうなんですか?」

「そうなんだよ~国の決まりだからこればっかりは譲れねぇ」

「わかりました、では盾だけ買うことにします」

「棍棒系なら買えるぜ」

「いえ、今使ってる剣も駄目というわけではないので、それを使います」

「お、おう…(使うのも駄目なんだが…いや、獣人ならいいのか?)」


町の外で生活している亜人種には独自の分化があり尊重されているので大丈夫、

但し、町の中では人間と同じ規則が適応されるので駄目、

どちらにしろ緊急時はそんなこと気にしてられないので使うべきである。






「リーダーまだやる気?」

「当然」

「いつもの盾でいいじゃん、俺好きだよあの盾」

「好き嫌いの話じゃねぇ、必要かどうかだ」

「ほら肩の力抜いて~勢いだけじゃ勝てないよ~絡め手で行かないと」

「おう」


マルメロがお金を払う様子を血走った目で見ながらベルクが再戦の時を今か今かと伺っている、

木箱に腰かけ肩を揉まれているためインターバル中のボクサーみたいである。


「よし」

「「「 程々に頑張れ~ 」」」

「ん?」


ベルクが立ち上がると紙袋と盾を持ったバトーがやってきた。


「お、久しぶりだねバトー」

「ここで会うとは意外だなフィセル、マルメロ君とカテリアさんも一緒か」

「うん、ちょっといざという時の備えを買いに来たんだ」

「僕は盾だけ買いました、剣は駄目だそうです」

「ははは、規則だから仕方ないさ、ふむ、マルメロ君のは布を使った盾だな」

「そうなんですか?」

「鉄板の上に特殊な液体に漬けた布を重ねてあるんだ、でしたよねボンゴシさん?」

「うぃっす、その通りっす、金属製の盾より軽くて木製の盾より強度が高い、

 値段もそこそこなんで評判いいんすよ、と言っても流石に限度があるんで、

 用途が限られた消耗品って感じっす、無茶はやめときな~坊主」

「わかりました」

「カテリアちゃん何してるの?」

「この袋の中からいい匂いがします!」

「魔物の素材を売りに行った時にオマケで貰ったんだ、俺は1つでいいから…」

「はい! 私お腹空いてます! 焼き芋食べたいです!」


バトーが話し終える前にカテリアが立候補した。


「熱いけどうまま…」

「ははは、幸せそうだな」

「(さっきまで食べてたのに…)」

「(カテリアちゃんって稼いだお金の殆どを食べ物に使ってそう)」


4個あったのでフィセルとマルメロも貰った。


因みに、増築された区域の城壁と建物の建築が終わったので

避難して来た人達の中にはお金を稼ぐために仕事を始めた人もいる、

フィセルは出張パン屋、カテリアとマルメロは冒険者として補助系依頼をしている。


「バトーさんは盾の手入れっすか?」

「手入れというより修理ですね、ちょっと取っ手がグラグラして」

「おん? お師匠が作った巨大モギの盾っすよね、

 そんな簡単に壊れるよう代物じゃないと思うっすけど、

 ちょっと失礼してっておぉう!? お師匠~!」

「なんだいボンゴシ? 煩い坊やは帰ったかい?」

「まだいるっすけど、そんなことよりちょと」


パイプをプカプカふかしながら制作者のドナがやって来た、

盾を確認すると怪訝な顔で煙を吐いた。


「ふぅ~…アタイの作った盾の中でも自慢の品だったんだけどねぇ、

 随分と手荒に扱ったもんだよまったく」

「修理できますか?」

「もちろん出来るさね、だけど同じ使い方してたらまた直ぐに壊れるよ、

 盾は盾、武器としては作ってないさね」


盾でぶん殴ったりするバトーの戦闘スタイルに強度が足りていないらしい。


「丁度この盾よりも丈夫なヤツが1つだけあるさね、

 アンタの力量ならそっちに切り替えることを勧めるよ」

「う~ん、まだまだ忙しそうだし、魔王も復活するかもしれないしなぁ、そうするか」

「はいよ、持ってきなボンゴシ」

「うぃっす」


ボンゴシが店の奥から鍵付きの箱に入った銀色の丸盾を持ってきた。


「形は好みですけど派手じゃないですか? なんか表面がキラキラしてるし淵とか金色だし」

「こいつの秘めた輝きに比べたら控えめなくらいさね、

 オリハルコンとアダマンタイトを使ってるから安くはないよ」

「まぁ仕方ないですね」

「おいおいおいおいちょっと待てぇぇ!」


殺気立ったベルクが飛んで来た。


「なにあっさり売ろうとしてんだオラァ! 俺には全然売ろうとしなかったくせにコラァ!」

「言っただろう、アンタには資格がないさね」

「確かにバトーさんに比べたら足元にも及ばねぇよ! だが俺だってそこそこ強くなってんだ!」

「まぁまぁ芋でも食べて落ち着けベルク、ほら半分やるから」

「ぐぅぬぅぅ…も、貰うわ…」


バトーに窘められてなんとか落ち着いた。


「なぁバトーさん」

「なんだ? うまっ」

「魔王は復活するのか?」

「どうだろうな、それは誰にも分からないと思うぞ、うまっ、

 俺はレム様を信じてるから復活すると思ってるけどな」

「俺もそうだ、だからコレが必要なんだよ、今のままじゃ守り切れねぇ、

 あいつ等も町の奴等も死なせたくねぇんだ、バトーさんなら分かるだろ、

 足りねぇもんを装備で補うってのは間違ってねぇ筈だ」

「そうだな」

「アンタは十分強ぇだろ、Sランク冒険者にだって引けを取らねぇ、

 だからよ、コレは…その…弱い俺に譲ってくれねぇか?」

「(お、成長したな、うまっ)」


ベルクは1口も食べていないがバトーは焼き芋完食。


「俺は別にいいけどなぁ」

「駄目さね」

「ほらな」

「今の話を聞いて少しは納得したけどねぇ、アンタにはまだ資格が足りないさね」

「何をどうすりゃいいんだ? ハッキリ言ってくれよ、なんでもやってやるぜ」

「ふぅ~…この盾は光の魔集石を使ってる、その意味が分かるかい?」

「(え?)」

「魔族に対して効果的だ」

「それだけかい?」

「光魔法の欠点は動きが止まることだ、だが魔集石ならマナを流すだけで光らせられる、

 つまりだ、この盾なら致命的な欠点を省いて実戦の中で光魔法を使えるってことだ」

「(これはアレか、マツモトが売った魔集石を使って作ってた盾か、へぇ~完成してたんだな)」


ようやく気が付いたらしい。


「そこまで分かっててまだ欲しがるのかい?」

「あぁ、俺にはコレが必要なんだ」

「ふぅ~…やっぱり駄目さね」

「なんでだ!? 今いい感じだったじゃねぇかクソが!」


ベルクが焼き芋をやけ食いしている。


「ふむ、ベルク、貸りるってのはどうだ?」

「は?」

「ふぅ~…何言ってるさね、この盾は魔王に対する切り札になるかもしれないんだよ」

「俺がドナさんから買ってベルクに貸す、そして魔王が出たら返して貰う、というのはどうですか?」

「どうって、余計な手間が増えるだけじゃないかい? 初めからアンタが持ってればいいさね」

「いきなり魔王が出て来るか分からないじゃないですか、隣の国に出るかもしれませんし」

「「 確かに 」」

「それよりも遭遇率の高い大型魔族を警戒した方がいい、

 襲撃が始まれば確実に出るでしょうし、対応できる人数は多いに越したことは無い、

 今は魔物相手ですら人手不足な状況です、大型魔族が出た時に離れていてはすぐに対応出来ない、

 駆け付けるまでに被害がどんどん広がります、大型魔族程度なら俺はこの盾が無くても問題ありませんから、

 ベルクに持たせて少しでも被害を減らした方がいい」

「う~ん…そうさねぇ…」

「ベルクそれでどうだ?」

「俺はそれでいい、魔王が出たら必ず返すぜ」

「約束だぞ、ドナさんは?」

「ふぅ~…わかったさね、持ってきな」

「っしゃ! しゃぁぁ!」


お許しを得てベルクが全力でガッツポーズしている。


「やったじゃんリーダー、凄いねぇ~俺イケると思ってなかったよ~」

「今どんな気持ち? ねぇねぇどんな気持ち?」

「アクラスに1歩近付いちゃったねぇ~ベルク君」

「うるせぇ! 離せコラァ!」

「「「 ぎゃっ… 」」」


すかさずネットリと絡みついて来た3人は振り解かれて尻もちを付いた。


「さっさと行くぞ!」

「「「 へいへい~ 」」」


盾を手に入れ南西のピーマンは去って行った。


「ふぅ~…ようやく煩いのがいなくなったよ、大丈夫さね? 持ち逃げしたりしないだろうね?」

「大丈夫ですよ、アイツは盾を託され意味を理解してます」

「そうかい、アンタがそう言うなら信じるさね、こっちの盾は修理しとくから明日の朝にでも取りに来な」

「助かります」

「んじゃ借用書作るからちょっと待っとくさね」

「修理代なら持って来てますよ、最近頑張ってたんで結構溜まってます」

「購入代金の方さね、そんな端金じゃ頭金にもなりゃしないよ、

 金額みて心臓が飛び出ないように構えときな」

「え…」

「皆~逃げないように見張っとくさね」

『 うぃっす 』

「ぇ…」


パイプをプカプカふかしながらドナは奥の部屋に入って行った。




「カテリア姉ちゃん0が沢山あるよ…」

「焼き芋沢山買えちゃいます…」

「バトー…これ買ったの? 嘘だよね…怖い…俺怖い…」

「あの…ドナさん…」

「オリハルコンとアダマンタイト、なにより魔集石を使った盾だ、アタイは妥当だと思うけどね」

「で、でも…確かマツモトから10ゴールドで買った…」

「あれは坊やが押し売りして来ただけさね、オリハルコンよりも貴重な幻の素材だよ、

 本来は素材単体だけでもそれ位の価値はあるさね、さぁサインしな、あと手形も貰うよ」

「えぇ…」

「(バトーさん…)」

「(あわわわわわ…)」

「(怖い…怖いよぉぉ…)」


ドナと弟子達に囲まれながらサインした借用書には『5億ゴールド』と記載されていた。







そして夜。


「(!? この感じ…)」

「どうしたニャリモサ? 不吉な未来でも見えたか?」

「どうも東で良くないことが起こってるねぇ」

「近いのか?」

「いいや、安心していいよアンプロ、遠い場所さ、かなり遠いねぇ」

「そうか」


この日、ルコール共和国の国境付近でキキン帝国へと帰還しようとしていた難民達が

魔族の襲撃を受け全滅した、264話目【騒動の後日談】の最後で語られていた出来事である。


限られた者のみがこの出来事を感じ取っていた、

人間と亜人種間ではニャリ族のオババ様ことニャリモサ只1人。



「感じるかいワニ美ちゃん、今までで一番大きなうねりだ」

「…」


そして体現している全精霊とその従者達。




「そろそろみたいね」


そして最後の1人は、ウルダで宿屋を営むドーラである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ