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168話目【ギガントバジリスク討伐 2】

「(あ、ちょっとだけ指先動くようになって来たかも…

  起きれるようになるにはもう少し掛かりそうだなぁ…

  前回は3時間位かかったからなぁ…)」

『うふふふ…』


モント達がアクラスと南南東三ツ星の撤退を手伝いに行った後、

地面に転がる松本に忍び寄る4つの影。


「あーなんてこと!? こんなところ子供が倒れてるわーエリス」

「これはきっとコカトリスにやられたのよーオリー」

「近くでギガントバジリスクが暴れるのに放っておくなんて危険よーシグネ」

「大丈夫よー、偶然通りかかった私達が偶々解毒薬を持っているからー、

 偶然通りかかって、偶々子供を助けるなら、任された持ち場を離れても仕方ないわー」

『ね、カルニ姉さん』


偶然偶々胡散臭い芝居でカルニ軍団がやって来た。


「貴方達…」

『ね、カルニ姉さん』


4人の目から発せられるキラキラした何がカルニに突き刺ささっている。


「ちゃんと仕事はしたのね?」

『東西南北、全町民の避難完了済みです!』

「それならいいけど…ところでその水晶は?」


ステラが持つ水晶を指差すカルニ。


「勿論カルニ姉さんの勇姿を永遠にグフゥッ…」

「記録用です! ギガントバジリスク見る機会ないので、ね、オリー?」

「そ、そうです、決して邪な目的では無くてですね…

 ギルドの皆で見れば今後の役に立つかなぁって、ねシグネ?」

「ほぁ!? そ、そうそう、ほ、ほらカルニ姉さん言ってたじゃないですか、

 若手の育成が難しいって、言葉で説明するより映像の方が分かりやすいなぁ~みたいな?」


挙動不審なカルニ軍団、エリスに脇腹を突かれたステラが地面に突っ伏している。


「ふ~ん…記録用ねぇ…」


目を細めて訝しむカルニ。


「えぇ!? もしかして疑ってるんですかカルニ姉さん!?」

「私達こんなにもギルドの事を考えているのに!?」

「そんな!? 尊敬するカルニ姉さんに疑われて私悲しいです! 

 見て下さいステラなんて泣いちゃってるんですよ!?」

「うぅぅ…ェ…エリス…あんた…」


ウルウルした目からキラキラを飛ばすオリー、シグネ、エリス。

ステラの目と口からは透明な液体が滴っている。


「う~ん…確かにいい考えかもしれないわね、許可します」

『いやっほ~う!』


ステラが復活した。





「あら中々面白そうなお話、私達も参加させて頂こうかしら」

「確かに今までありそうで無かったわね、若手の為に一肌脱いじゃおうかしら、

 ご一緒しても宜しいですかカルニギルド長?」

「タレンギさん、ノルドヴェルさん宜しいのですか? 

 わざわざお2人の手を煩わせる程の事ではありませんけど…」

「元々そのつもりでしたので気になさらないで下さい、

 それより、面白い試みですし他のギルドにも共有して頂けると有難いのですけど?

 ギルド全体の底上げになりますので」

「そういうことでしたら、分かりました、宜しくお願いします」


ノルドヴェルとタレンギが参加することになり、顔には出さないが悲しみのカルニ軍団。


「あそ~だ、折角ですので担当を決めましょう、私は近接、ターレは…ちょっとターレ何しているの?」


ポーチから取り出した鏡を見て口紅を塗るタレンギ。


「お化粧治してるのよ、全ギルドで共有するんでしょ? 綺麗にしとかないと恥かいちゃうと嫌だもの」 

「あら確かに、私もムダ毛が無いか確認しとかないと、カルニギルド長も確認された方がいいですわよ」

「いえ私は別に…」

「ふぅ~…」


口紅を塗る手を止め露骨な溜息をつくノルドヴェル。


「ルドルフといい…カルニギルド長といい…どうして世の女性冒険者は手を抜くのかしら…

 女にとって化粧は冒険者が装備を整えるのと同じ、

 自分に合った適切な装備の大切さを知っているのに、み~んな化粧はしないんだもの…そう思わないノル?」

「そうねぇ、折角いいもの持ってるのに、勿体ないわねぇ~」

「え?」

「ちょと抑えててノル」

「失礼しま~す」


カルニを羽交い絞めにするノルドヴェル、ポーチを捏ね繰り回しながらタレンギが近寄って来る。


「えぇ!? ちょと…」

「大丈夫、じっとしていれば直ぐに終わりますから…さぁ身も心も楽にして…」

「うふふふ…後悔はさせませんよぉ…」

『キャー! カルニ姉さん…キャー!』


カルニ軍団が黄色い悲鳴を上げている。

そして数分後…


「さぁ、出来ましたわよ~、どうですかカルニギルド長?」

「あ、ありがとう御座います」

「あらキレ~イ! やっぱり素材がいいから輝くわねぇ~羨ましい!」


手鏡を見ながら若干顔が赤いカルニ。


『キャァァ! 素敵! カルニ姉さん眩しいいいい! ぎゃぁぁぁ! んぎゃぁぁぁ!』


カルニ軍団が悲鳴を上げながらのたうち回っている。

ばっちり水晶に記録済みである。


「何やってんだカルニ軍団…あと只物じゃなさそうなお姉さん? 達はいったい?」

「うむ…」

「珍し~ギルド長が化粧してる~」

『(お美しやカルニ神…)』

「いや、只物じゃねぇっていうか…お姉さんじゃねぇっていうか…」


南南東三ツ星、ラストリベリオン、モントが撤退して来た。

ラストリベリオンは化粧したカルニに感動し言葉が出ない様子。

説明の困るモント。


「もしやカルニギルド長が話されていたSランク冒険者方達でしょうか?」

「何言ってんだアクラス、物は見て言えよ」


アクラスとベルクも撤退して来た。


「そうよ、こちらはSランク冒険者の『槍のノルドヴェル』さんと『水のタレンギ』さんです」

『 えぇ!? 』


2人を知らない一同が驚いている。


「まじかよ…」

「あ~ら、人を見た目で判断するのは感心しないわね~坊や」

「お姉さん達が可愛がってあげようかしら」

「わ、悪かった! 触るんじゃねぇ! おいやめろ!」

「「 うふふふ… 」」


ノルドヴェルとタレンギに体を弄られるベルク。


「初めましてアクラスと申します」

「あら槍の人、近くで見ると爽やかね~、一段と恰好いい」

「顔は本当に格好いいわね~筋肉無ければよかったのに~惜しいわ」

「ど、どうも…」

「貴方中々よかったわよ~、技術も高いし、腕を噛まれてからの決断は私的には正解、

 アドバイスするなら貴方は速さに特化した戦い方だから攻撃が少し軽いわね、

 固い相手に持久戦になれば不利になる」

「その通りです、努力はしているのですが…」

「いい目ね、素敵よぉ、私は筋肉が大好きだけど、筋力だけ努力の全てじゃないわ、

 装備を選ぶのも大切な努力、貴方の槍は貴方の実力には見合って無かったわ、

 もっと上の武器を使いなさい、手に入れ難いけど魔集石付きの槍なら

 貴方の戦い方を活かしたまま足りない部分を補える筈よ」

「はい! ありがとう御座います!」

「あら、随分と熱心ねノル」

「だって可愛いじゃな~い、キラキラしてて真っすぐで、無茶苦茶にしたいわ」

「ははは…」


乾いた笑みを浮かべるアクラス。


「いい加減に離れろぉぉ!」

「あら残念」

「もう少しくらい良いじゃない」

「いい訳ねぇだろ! 気持ちわりぃんだよ!」


ずっと揉みしだかれていたベルク、ようやく解放された。





「それじゃ、あまり苦しめるのは好きじゃないからて手短に行きましょう、

 最初は私、次にターレ、最後はカルニギルド長にお願いします」

「上手くやるわ」

「分かりました」


という訳で、Sランク冒険者2人とギルド長によるギガントバジリスクの対応および、戦闘の手引き開始。


「それじゃ行くわよ~、まずギガントバジリスクについての説明、

 固い鱗である程度の魔法、物理攻撃を弾き、尾には石化の毒、

 これは普通のバジリスクとギガントバジリスク共に共通ね、噛まれると石になって死んじゃうから大変よ~」


攻撃を軽く避けながら魔法と槍で実例を示すノルドヴェル。


「ギガントバジリスクは単純に強くなるのに加え、口から火球を吐くの、

 直撃すると只では済まないから避けるか、魔法で相殺するのがお勧め、

 マナをしっかり操れるなら武器で跳ね返すことも出来るわ、ちょっとだけ難しいけど」


槍で火球を跳ね返すノルドヴェル、

槍で直接跳ね返すのではなく、槍に纏わせたマナをぶつけて押し返している。

※簡単にやっているが超高等テクニックです、武器に魔増石を仕込むと多少楽になります。


『 はぁ!? 』


観戦している近接組が目を見開いている。


「4足歩行の時は比較的に動きが遅く攻撃は尾と火球が中心、

 あまり攻撃的ではないけど鱗のせいでこちらの攻撃も通り難い、

 比較的に柔らい関節部や口の中がねらい目ね、小技として鱗の隙間に刃を入れれば剥がせるわ」


関節部を少しだけチクチクするノルドヴェル、槍を振うと一部の鱗が綺麗に剥がれた。

怒ったギガントバジリスクが暴れているが問題はない。


『 ほげぇ… 』


白目を剥く近接組。


「立ち上がって2足歩行になると両腕を使い始める、火球、尾、両腕の攻撃が中心よ、

 腕の攻撃は真面に当たれば即死だから気を付けること、

 正面に立つと弱点である柔らかいお腹が見えるけど、全ての攻撃が集中するから危険、

 チャンスとピンチは表裏一体って訳ね、

 相手の攻撃範囲で戦うも良し、離れて遠距離武器を使うも良し、

 自分達に合ったやり方で挑むこと、

 まぁ、間違いなく強敵だから無理に戦わないことが一番よ、

 どうしても退けない場合を除いてね、はい次の人~」


腕、尾、火球を至近距離で捌きながら説明してくれるノルドヴェル、

艶めかし生足を惜しげもなく見せつける視聴者サービス付き、

説明を終え、去り際にスパっと指1本飛ばした。


『 … 』


最早何も言えない近接組、虚無の顔をしている。




ノルドヴェルとタレンギが入れ替わる。


「それじゃ私の番ね、魔法を使う人に対しての説明をするわ、

 バジリスクは魔法、特にライトニングに対する耐性があるけどそれはある程度まで、

 普通の人のライトニングならこんな感じで鱗を伝って地面に拡散されちゃうけど、 

 実力さえあれば単純な力技で押し切れるわ、こんな風に」


弱めのライトニングが弾かれた後に強めのライトニングを放つタレンギ、

普通に効果がありギガントバジリスクがちょっと焦げた。

 

『 ひぇっ… 』


見てはいけない物を見た顔の魔法組。


「同じ魔法でも人によって威力は異なるわ、

 中級が使えるようになっても慢心せずに鍛錬を怠らない事、

 そうすれば威力、強度、そして発動時間も変わって来る、

 氷魔法をしっかり使えれば魔物が近寄るのを阻んで安全に距離を取れるわ」


溜め無しで氷の壁を出現させるタレンギ、

ココの氷の壁と違いギガントバジリスクが体当たりしても殆ど崩れない。


『 ほぁ… 』


魂が抜け口が開きっぱなしの魔法組、全員身に覚えがあるらしい。


「そして魔法は使い方次第、例えば魔物を溺れさせたいとして、

 こんな感じで大量の水を出現させると当然マナも大量に消費する」


一瞬で水の塊に包まれるギガントバジリスク。


「けど溺れさせるだけならこんな大量の水はいらないわ

 人間だって5センチ程度の水溜まりで溺死するのだから、

 魔物だって呼吸が出来なければ死ぬのよ、

 少量の水をしっかり操って口だけ塞げば事足りるわ、

 マナも節約できるし発動時間も早い、液体だから暴れても外れないし血も出ない、

 お手軽で簡単、お勧めね」


大量の水を遠くに捨て、少量の水で口を塞ぐタレンギ、


『 うわぁ… 』


追従する水逃れられず苦しむギガントバジリスク、ドン引きの魔法組。


「それと細かい応用として魔法を組み合わせることも考えた方がいいわ、

 例えば一番危険な尾を封じたい場合、氷魔法は発動が遅いから素早く動く標的は捉えにくいでしょ?

 でも発動が早い水魔法で包んでから凍らせると素早く封じることが出来る、

 他にも水を自在に操れれば貫通力の高い氷柱を飛ばすことが出来たり、

 濡らせば雷魔法の威力が上がる、個人的に余りスマートじゃないからお勧めしないけど

 困っているなら試してみてもいいじゃないかしら?」


氷塊に覆われた尾を氷柱が貫通し、雷を帯電した水が当たると氷が粉砕した。

痺れてビクンビクンするギガントバジリスク。

ようやく口を覆っていた水から解放されグッタリしている。


「ちょっとやりすぎよターレ、苦しめるのは可哀想だわ」

「少し痺れただで見た目程苦しくはないわ、これで私の説明は終わり、

 あと余談だけどお肌がカサカサで困っている人はお風呂上りに化粧水がお勧め、

 しっかりケアすればツルツルモチモチになるわ、私の特製化粧水も販売してるからヨロシク♡」

「お肌の問題は何も女性に限った話じゃないの、世の男性陣も気に掛けて頂戴、

 ムダ毛の処理も忘れずに、個人的に野性味溢れる男性ホルモンも好きだけど、

 印象が変わるわよぉ、行き過ぎちゃったら世界が変わるかもしれないけど、その時は連絡して♡」


ギガントバジリスクそっちのけで艶のある肌と化粧水をアピールする2人。

水晶に向かってウインクしている。


『 おぉ~ 』


艶々の肌に興味津々の女性陣、丁度良いリアクションが収録された。






「それじゃ私は実際にココが困ってた部分の対策を見せるから、

 エリス達も出来ない部分だからしっかり見て参考にして」

「はい~」

『カルニ姉さん頑張ってー!』


黄色い声援に後押しされがらギガントバジリスクの前に立つカルニ。

そのまま両腕の射程距離まで近づく。


「後衛職は近接が苦手な人が多いけど、最終的には自分で何とかするしかないの、

 出来る限り躱す、避けきれない場合は真面に受けずに受け流す、

 タレンギさんの説明通り水魔法を凍らせて凌ぐことも出来るわ、

 ここまで近寄らせないことが一番だけど、逃げきれない場合はそうやって仲間を待つのも手ね」


ショートロッドの杖で受け流したり、尾を凍らせたり、氷の壁を作ったりと至近距離で器用に躱すカルニ。


『きゃぁぁぁ! カルニ姉さん素敵ぃぃぃ!』


黄色い声援とキラキラは躱せず直撃している。


「器用な人であれば即席の武器で反撃も出来るけど、そのレベルの人には説明は不要ね」


ショートロッドの先に氷の刃を作り腹に傷を付けるカルニ、

流石に近接職には及ばないが至近距離で物理的な反撃を行っている。


『いやぁぁぁ何それ格好いいぃぃぃ! 絶対練習しますぅぅぅ!』

「う、うるさい…」


熱狂のカルニ軍団と迷惑そうなココ。


「ここからが本題よ、殆どの人が取得していない土魔法を使えば、

 こんな風に横では無く縦に距離を取ることが出来るわ、この間に立て直すの、

 まぁこれだけの重量を持ち上げるのは難しいけど、もっと小さい魔物ならなんとかなると思うわ」


地面が隆起し持ち上げられるギガントバジリスク、腕が届かなくなった隙に離れるカルニ。

しれっと尾を躱し、火球を打ち落としている。

使用者が少なすぎで参考にならないので防御魔法は使わないらしい。


「なるほどね~土魔法か…使ってみるか…」


反響狂乱の黄色い声援の横でシミジミ考えるココ。

土魔法が得意なグラハムは誇らしい顔をしている。


「上位種の魔物は頭がいいから、1度受けた攻撃に対策を取ることが良くあるわ、

 ココのフレイムも直ぐに反応して弱点のお腹を隠して鱗で受けたでしょ? こんな風に」


カルニがフレイムを飛ばすと、爆発する前に4足歩行になり鱗で受けるギガントバジリスク。


「こういう時も土魔法なら強制的にお腹を出せる、後は思いっきりフレイムをぶつければ終わりね」


カルニに向かって火球を吐きながら前進していたギガントバジリスク、

隆起した地面に持ち上げられ、地面ごとフレイムで爆発され絶命した。


『にぎゃぁぁ! 可憐! 可憐すぎますカルニ姉さんんん!』


カルニ軍団も黄色く絶命した。


「ごめんなさいね、貴方は強すぎるから弱い私達は共存できないの、

 さぁ! 説明は終わりよ! 素材を回収して撤収するから皆手伝って!」

『 はい~ 』


こうしてウルダに現れたギガントバジリスクは討伐された

カルニ速報により町の厳戒態勢は解除され、ギガントバジリスクは回収、

ついでに松本が対峙したコカトリスも回収された。




「ふぃ~やっと動けるようになった」

「遅くなってゴメ~ン、別に忘れてたわけじゃないのよ?

 これには深~い訳があって…ね? オリー」

「えぇ? 私に振らないでよシグネ」

「解毒薬頂けただけで有難いですので、別に気にしないで下さい」

『 あははは… 』


忘れられてた松本は全てが終わってから解毒薬を貰えた。

あと1時間もすれば自然復活したが、そこは言わないが花である。





水晶に記録された映像は編集されギルド本部を経て各ギルドへ配布、

上位種のギガントバジリスク、Sランク冒険者とギルド長直々の指導が見られるとして好評を博した。

後に各ギルドで模倣され、それがまた各ギルドへ配布、

違う地域の魔物の情報や戦闘方法など、情報共有が行われ人材の育成に大変役立ったのは少し先の話。


そのうち自分の得意分野を教材として販売する者も現れ、

ここぞとばかりに流行に乗った性悪共が、

薄くて為にならない情報を高額で販売しギルドを追放されたのは言うまでもない。


因みに、火付け役になった今回の映像はカルニ軍団により編集され、

化粧した麗しきカルニ姉さん集として、それはそれは重宝されたそうな。

魅惑のSランク冒険者の2人も各地で切り抜かれ、コアなファンの下で重宝されたそうな。

事実として伝わる内容と映像の狭間でタレンギの性別が男派、女派、どちらでも可派で世論を3分している。





「只今帰りました~」

「お帰りマツモト、どうしたのその傷?」

「いや~コカトリスにやられちゃって危うく死ぬところでした」

「よく見たら耳も欠けてるわね、左頬と左耳、男で良かったわねマツモト、女だったら顔の傷は一生物よ」

「全くです、年取ったら傷の似合うナイスシルバーになりますんで、

 あ、棍棒ありがとう御座いました、元の場所に戻しておきますね」

「別に戻さなくていいわよ、それもう捨てるから」

「え? あんなに大切に飾ってあったのに捨てちゃうんですか?」

「長い間忘れてて置いてあっただけよ、それ棍棒じゃなくてカピカピになった生ハム原木」

「生ハム原木…(どおりで変な形してるわけだ…)」


松本が振り回してた棍棒は80年物のカピカピ原木だった。




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