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106話目【獣人の里4 プリモハ調査隊と獣人の光】

ハナフネの池の横に探索服の男女が並んでいる。

背筋を伸ばし姿勢の良い3人をプリモハが紹介してくれるようだ。


「この3人が私と一緒に勇者様の調査をしている調査隊のメンバー、

 最年少のラッチ、最年長のジェリコ、真ん中のニコルです」

「「「 よろしくお願いします! 」」」


紹介され90度のお辞儀をする3人。



う、薄ぅぅぅ…

もう少し紹介することないんだろうか…

ざっくりした年齢順しか分からん…



「あの、プリモハさんよ、それじゃ名前言ってるのと殆ど変わらねぇって言うか…」



いいぞゴードン! 流石は最年長、鋭い指摘だぜ!



「そうですか? それでは改めて、年上の女性に人にモテるラッチ、

 柔らかいパンが好きなジェリコ、胸が無いけど女の子のニコルです」

「「「 よろしくお願いします! 」」」

 


その情報必要?

ニコルさんにいたっては殆ど悪口じゃねぇか…



「まぁ…よろしくな」

「よろしく頼むのである」

「よろしくお願いします」


取りあえず流すことにした松本達。


「ところでお嬢、そちらの方達は?」

「何故こんな場所に人がいるのですか?」

「少年とニャリ族もいますが?」

「では紹介します、こちらがこの島にある獣人の里に住んでいるニャリ族のニャリモヤさん、

 そして獣人の里を魔族の手から救うためにやって来たポッポ村のゴードンさんとマツモト君、

 獣人の里で光魔法を教えているバトーさんは後で紹介します」

「「「 よろしくお願いしまーす 」」」



なんでこっちの紹介は的確なのよ…



「そういう訳で、私達も里の防衛に参加します」

「なるほど獣人の里ですか」

「なるほど魔族ですか」

「なるほど光魔法ですか」


プリモハの説明に腕を組み頷く調査隊員達。


「「「 って、分かるかぁ! 」」」


3人揃って帽子を地面に叩き付けた。


「もう少し詳しく説明してくださいよお嬢!」

「情報が渋滞してますってお嬢!」

「目を離した数時間で何があったんですかっ! 洗いざらい説明してくださいよお嬢ぅぅぅ」

「あばばばばば、落ち着いてニコル…」


隊員に詰め寄られるプリモハ、ニコルに締め上げられ前後に揺れている。


「仲いいですねぇ~」

「そうだな」

「楽しそうである」


獣人の里に行く道中に説明して理解してもらえた。





「ここが獣人の里かぁ」

「デッカい木だなぁ」

「おぉ~上にニャリ族とウルフ族が見える」


夕日に目を細めながら木を見上げる隊員達、


「裏にスロープがあるのである」

「さぁ、隊長に続くのよ! おーっほっほっほ!」

「「「 はい~ 」」」


ニャリモヤに跨るプリモハ隊長の号令で隊員達が木に登って行く。


「今日のお嬢テンション高いね~」

「お嬢はニャリ族大好きだからな」

「お嬢ー、もうニャリ族に張り付いて何処かに行かないで下さいよー」

「反省してるわよ~」

「プリモハ殿、何故首を弄るのである?」

「おほほ、気にしないで下さい」


反省しつつニャリモヤを弄るプリモハ。


「おーい、俺達も行こうぜマツモト、そろそろ飯の時間だ」

「はいーすぐ行きまーす」」


ジャラシを持った松本が走って来た。


「それどうするんだマツモト? 食えねぇぞ」

「流石の俺も食べませんって…後で遊ぼうと思いまして、楽しみですねぇ」

「そうかぁ? 俺は飯の方が楽しみだぜ」

「それも楽しみです」




松本達が里に戻るとバトーが困っていた。


「どうしたんですかバトーさん?」

「何悩んでるんだバトー、光魔法が上手く教えられねぇのか?」

「いや、教えるのは問題ないんだが…ちょっと見てくれ2人共」

「それじゃ行きますよバトーさん、フン!」


ペカー…

ポージングするウルフ族の体が淡く光る


「どう思う?」

「なんか光が弱いですね」

「これで全力か?」

「っはぁ…っはぁ…全力です…手は抜いていないのですが…」


練習する他のウルフ族も同様に光が弱く、体が淡く光っている。


「へぇ~、これが失われし光魔法ですか」

「結構体力使うんだな」

「発動する方法も独特だし、なんか思ってたのと違うのね」

「あれ? マツモト君はもっと光ってたと思うけど…見間違いだったかしら?」

「いや、確実に光が弱いのである」


プリモハ調査隊とニャリモヤがやって来た。


「ゴードン、この人達がプリモハさんの仲間か?」

「おう、最年少のラッチさん、最年長のジェリコさん、真ん中のニコルさんだそうだ」

「「「 よろしくお願いします! 」」」


丁寧にお辞儀をする3人。


「…なんかざっくりしてるなゴードン」

「もしくは、年上の女性に人にモテるラッチさん、柔らかいパンが好きなジェリコさん、

 胸が無いけど女の子のニコルさんらしいですよ」

「…うん、まぁ、そうか、有難うマツモト。ポッポ村のバトーだ、よろしく!」


笑顔で3人と握手をするバトー。



流したなバトー…



「バトーさんはが光魔法を教えているとお聞きしているのですが、神官クラスなのですか?」

「えぇ、そうでよジェリコさん」

「いえ、僕はラッチです」

「ジェリコは俺です」

「あ、すみません…」

「「 いえ、気にしないで下さい! 」」


適当な紹介で名前を間違われても笑顔で対応するラッチとジェリコ。


「宜しければ神官クラスの光魔法を見せて頂きたいのですが」

「いいですけど、あまり直視しない方がいいと思います。

 光魔法を使いますので獣人の皆さんも注意して下さい」

『 はいー 』


バトーが力コブを作り光らせる。

夕日によって伸びた影が方向を変えた。


「うわっ!?」

「眩し!」

「夕日より眩しい!」

「こんな感じです、本来ならこれくらい眩しい筈なのですが…」

『 フン! 』


ウルフ族がそれぞれポーズを取るが淡く光るだけで眩しくない。


『 う~ん… 』

「光の強さに個人差はあるが、基本的にはもっと眩しいよな?」

「なんか変ですよね、マルメロ君やカテリアさんはもっと眩しかったですし」

「俺達が初めて光った時でもこれよりは眩しかったぜ?」

「それはたぶん、僕達の冬毛のせいですね」

『 ん? 』


首を傾げるバトー、松本、ゴードンに大きな魚を持ったマルメロとカテリアが声を掛けた。


「カテリアさん、その大きな魚は?」

「今日の夕飯です! 脂がのってて美味しいですよ!」

「へぇ~、楽しみですね」


大きな魚を満面の笑顔で見せるカテリアをマルメロが押しのけた。


「それより光の事なんですけど、ちょっと持ってて下さいマツモトさん」

「はいー」


マルメロから大きな魚を受け取る松本、ビチビチと生きが良い。


「ちょっと見てて下さい、フン!」


マルメロがポーズを取ると体が淡く光った。


「本来はもっと強く光るのですが、これが今の僕の全力です。

 冬毛に生え変り全身が体毛に覆われたせいで、光が遮られているんだと思います」

『 なるほど~ 』


手の平にポンと手を置き納得する一同。


「つまり、解決するには?」

「冬毛を剃ればいいと思います、マツモトさん、ナイフ貸して下さい」

「気を付けてねマルメロ君」


普通のナイフを受け取り腹の毛を一部剃るマルメロ、ポーズを取ると一部だけ強く光った。


『 おぉ~ 』

「よーし! 背に腹は変えられない、里を守るため少し剃るぞー!」

『 おぉー! 』


数人のウルフ族が腹と腕と脚の毛を剃ると、しっかり光った。


「問題も解決したみたいですし、夕飯にしましょう! 魚焼きますよー!」

『 はいー 』



なんか…トリミングされた犬みたいになっちゃったな…

ニャリ族は剃られなくてよかった…



里に焼き魚の良い匂いが漂う中、松本は複雑な顔をしていた。


「この魚美味しい~!」

「白身なのに淡泊じゃない!」

「脂がのってますねお嬢!」

「食べ応えあるわね~」


魚はとても美味しかったそうな。

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