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103話目【獣人の里1】

島に上陸し獣人の里を目指す一同。

森を歩く松本はあることに気が付いた。


「バトーさん、この島少し暖かくないですか?」

「そうか? 動き続けているから体温が上がっているだけじゃないのか?」

「それもありますけど、俺、上着来てないのに全然寒くないんですよ」


バンドウさんの波に上着をびしょ濡れにされ、中袖長ズボンという貧弱装備の松本。


「マツモトは子供だから体温高ぇんだろ、ウィンディが小せぇ頃によく抱き着いて来てよ、

 夏場は暑くてしょうがなかったもんだぜ」

「懐かしいな、いつも暑そうな顔してたもんなゴードン」

「へぇ~かわいいじゃないですか」



あのウィンディにも幼気な子供時代があったんだなぁ

今じゃ欲望に忠実なウィンナー姉さんだというのに…



思いを馳せる男達。


「いえ、マツモトさんが子供だからではなく、暖かいのは島の影響です」


少し前方を歩くマルメロが立ち止まり説明してくれる。


「この島は元々火山だったみたいで、その影響で島全体が暖かいんです、

 僕達の里がある場所は火口の跡らしいです」

「「「 へぇ~ 」」」

「周辺の海も暖かいので大魚が沢山捕れます、里の主食は魚なんです」

「「「 へぇ~ 」」」



なんだろう、凄くしっくりくる



「よく魚を捕りに行くのですが、最近はこの森にも人間が入ってくるようになってしまって…」

「いったい何しに来てるんだろうな?」

「探し物してるみたいだって言ってたよな?」

「この島ってなんかお宝でもあるんですか?」

「さぁ? あまり聞いたことないですけど、あるとすればネネ様に関する物だと思いますけど」

「「「 ネネ様? 」」」


首を傾げる3人


「まぁ、古い言い伝えでして、光の3勇者のネネ様が最後を遂げられた場所だそうです。

 特に何か残っているわけでもないんですけど…」



そ、それだぁぁぁぁ、絶対それだぉぉぉぉ!

光の3勇者来たぁぁぁ! 



「へぇ~ネネ様か、凄い場所だな」

「あくまでも言い伝えで、本当かどうかはわかりません、お墓とかはないので」

「あの~バトーさん、光の3勇者様の残りの2人のお名前は…」

「トール様とサンジェルミ様だ」



あ、そういや俺、天界で少しだけ資料見たな

ネネ様は女性で、サンジェルミ様は男性で記録し損ねた人だな

後はトルシュタインって名前の男性だったと思うけど…トール様ってのは字名か?



「マルメロー早くー」

「皆こっちであるー」


カテリアとニャリモヤが手招きしている。


「行きましょう、あそこが里への入り口です」

「「「 はいー 」」」


木の下で待つカテリアとニャリモヤ、根元にぽっかりと穴が空いている。


「こっから入ります、付いてきてください」


カテリアに続いて穴に入る3人、中に入ると立って進める位広い。


「ここが里への入り口ですか、意外と広いですね」

「この壁、溶岩が固まってできた洞窟みたいだな」

「真っ暗で何もみえねぇ、カテリアちゃん達は見えてるのか?」

「私達獣人は暗い所でもよくみえるんです」

「「「 へぇ~ 」」」


よく見ると黒目が大きくなっている獣人達、見えない人間の3人は火魔法で照らして進んだ。




暫く進むと穴の先に光が差した。


「着きましたよ! ここが私達の里、獣人の里です!」


光の中で両手を広げ紹介してくれるカテリア、

眩しい光に手をかざしながら外に出ると、岩の壁に囲まれた草原と1本の大きな木が現れた。


「はぁ~大きな木ですねぇ~」

「池もあるな」

「建物が見当たらねぇようだが…」


キョロキョロする3人


「住居は木の上にあるのである」

「「「 ん? 」」」


ニャリモヤが指差す先に目を細める3人、よく見ると枝の上に木製の建物が見える。


「へぇ~あんな上に、すえぇな」

「どうやって登るんだ?」

「ん? んん!?」


松本の眼力が増す。


「どうしたマツモト?」

「あ…あれは…」

「なんか見えたかマツモト?」

「あれは、間違いない…ニャリ族だぁぁぁぁいやっふぅぅぅ!」


尋常ではない速度で草原を疾走する猫狂い松本。


「おーいどこ行くんだマツモトー!」

「大丈夫かアイツ…」

「まぁマツモトさんなら大丈夫ですよきっと…」

「危害を加える人ではないので、たぶん…」

「ニャリ族に張り付く程度であろう、我らも向かうのである!」


大きな木に向かう一同、道中に綿毛の生えた大きな植物が生えている。


「バトーあの植物は何だ?」

「分からん、マツモトが反応しないから食べられないことは確かだな」

「マツモトさんの扱いっていったい…」

「それはジャラシっいう、ウルフ族とニャリ族の子供が好きな植物です」

「子供の頃によく遊んでもらったのである、長老の特別製ジャラシには劣るが、

 1年中生えているので重宝しているのである」


獣人サイズの猫ジャラシだった、食べられません。


大きな木の根元にやって来た一同、幹の上の方を見上げている。


「あれマツモトだな…」

「「「 えぇ… 」」」

「アイツ凄いよな…」


猫狂い松本は人力で幹をよじ登っていた。

木の上にある住居から獣人達が覗き込んでいる。


「なんかすごく見られているな」

「すみません、長老から話は聞いてるはずなんですけど、

 里に人間が来ることは無いので少し警戒しているんだと思います」

「いや…多分、マツモトのせいだろ…」

「う、うむ…」

「皆さん、反対側に上に登る通路がありますので行きましょう」


幹をよじ登らなくても普通に上に登れた。



一同が幹を登りきるとウルフ族の長老が待っていた。


「「「 長老様、ただいま帰りましたー 」」」

「よくぞ無事に帰ったニャリモヤ、カテリア、マルメロ。

 この方々がオババ様の予言にある古の光か?」

「光魔法を習得されているバトー殿とゴードン殿である」

「初めましてバトーです」

「ゴードンです」

「「 よろしくお願いします 」」


パンチャークラブの爪を差し出す2人。


「これはご親切に、こちらこそ宜しくお願いします」


パンチャークラブの爪を受け取り笑う長老。


「バトー殿、ゴードン殿、宜しければ光魔法を見せて頂きたいのだが…」

「いいですよ、一応弱めにやりますが、あまり直視しない方がいいと思います」


袖を捲り力こぶを光らせるバトー。


『 おぉ~ 』


獣人達から拍手が送られた。


「素晴らしい、後程詳しい話をお聞かせ頂くとして…

 長旅でお疲れでしょう、取りあえず休まれて下さい」

「ありがとう御座います」

「あの~実はもう一人いるんだ…マツモトって子供なんだが、誰か見てねぇかな?」


顔を見わせる獣人達。


「多分ニャリ族に張り付いていると思うんだけど…」

「人間が張り付いてるニャリ族はいませんかー?」

「一度張り付いたら、火で炙らないと離れない筈なのである」

「誰かぁ~、誰かこれ取って~、取れないのよ~」


マルメロ、カテリア、ニャリモヤが補足を入れると、

木の下側から女性の声が聞こえて来た。


「ニャリシロさんの声だ、下から聞こえるね」

「マツモトさん、今度はニャリシロさんに張り付いたのね…」

「なんだマツモト、結局下に降りたのか」

「まぁ、これを登るのは流石に無理だろバトー」

「おーいニャリシローこっち来るのだー!」


暫くすると白色の大きな猫が登って来た。


「皆ごめ~ん、人間に見つかっちゃった…

 なんか凄い速さで追いかけて来て、張り付かれちゃって取れないのよ~

 って、あら? ここにも人間がいる」

「気にしなくても大丈夫だニャリシロ、こちらはバトー殿とゴードン殿、

 オババ様の予言した古の光だ、そしてお主に張り付いているのがマツモト殿である」

「へぇ~そうだったの、あなたマツモトって言うのね。ほらそろそろ降りて頂戴」

「むふふふふ…」


ニャリシロが振り返ると、ガッチリと張り付いた人間が現れた。

顔を埋め、ニャリシロの匂いを嗅いでいる。


「「「「「 ん!? 」」」」」


マツモトを知る一同が目を丸くしている。


「「「「「 だ、誰!? 」」」」」

『 え!? 』


獣人達が驚いている。

ニャリシロに張り付いているのは松本ではなく知らない女性だった。



「はて? この人間の子はいったい誰かねぇ」

「マツモトと言います、よろしくお願いします、むふふふふふ…」


一方、マツモトはニャリ族のオババ様に張り付いていた。



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