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九尾は異世界の理を破壊する。《前半》

洞窟を抜けると外はもう日は沈み、金色の月や蛍のような明るい星が空に浮かんでいた。

「……」

アカネは五百年ぶりに外に出たからか、そんな夜空を感慨深そうに眺めている。時々両手を空に掲げ、なにか虚空を掴むそぶりを見せた。

「……どうした?」

アカネが、何度もなにもない空気だけを掴んでいるので疑問に思って聞く。アカネはゆっくりと俺に振り返った。

その頬には涙がつたっている。

「……レイがいる」

「そりゃいるだろ、お前の封印をといたのは俺だしな」

「生きて……いるよね?」

「生きてるよ、てか大丈夫か?」

「レイ……っ」

アカネが俺の腕に入り込み、背中を震わせて泣き始めた。

なにがアカネを悲しくさせたか分からないが、昔を思い出したのかもしれない。

アカネの背中を撫でながら、今まで友達すらいなかった俺は必死にこんな時はどうすれば良いかを考えた。

女子に泣かれるとは今まで思いもしなかった。

アカネはしばらく抱きついたまま泣き続けたが、涙が止まったのか、ゆっくり顔をあげた。

「ごめん、久しぶりに外に出たからか感極まっちゃって」

下手な作り笑いをしてアカネは笑った。

そして、くるんと回ると同時に神楽鈴の音が響き渡り、小さな小狐の姿に化けた。先程泣いていたのが嘘のように、外の草むらでコロコロ回り始める。赤い毛並みが月の光に照らされて、淡く輝く。ホゥとため息をついてしまいそうなほど、月の草むらの中で駆け回る狐の姿は幻想的だった。


ひたすらはしゃぎ終えたアカネは、また人間の姿にもどり、なにかを大事そうに抱えながら戻ってきた。

「ねぇ、レイ!みてみて!」

「どれどれ……え、モンシロチョウ?」

アカネの手のひらには雪のように白いモンシロチョウがおとなしく止まっていた。

ヒラリと舞い上がったと思うと、アカネの狐の耳に止まり、満足げに羽を開いたり閉じたりしていた。

「あはは、可愛い」

アカネが愛しげに、蝶を上目遣いで見ながらその場でゆらゆら揺れていた。

グゥと俺の腹の虫がなった。そういえば、まだ夕飯を食べていなかった。

家に帰って、今日あったことを少し整理する必要があるかもしれない。じいちゃんの件も、少し考えたいし……。

「じゃ、またな」

アカネに手を降り、帰ろうとする俺の手をピシリとアカネが掴んだ。

再び向き直ると、アカネがどこかソワソワした様子でいた。

「いや、あのですね……私帰る場所なくて」

「野営すればいいだろ」

「や、野営するにも、か弱い女子一人というのは……」

「自分でか弱い言うなよ、一応破壊神なんだろ」

「レイと一緒じゃないと今日は落ち着かないって言うか」

「……」

つまり、今日は連れて帰れと言うことだろう。

なんと、ワガママな破壊神様なのだろう。

ハァとため息が出てしまう。

別に親に説明する必要がないから、泊めてやることは可能だった。だが、親がいない家の中で異性二人で過ごすのは健全な俺にとってはハードルが高いと言うか……

チラリと、アカネを見ると不安そうな顔と潤んだ目で俺を見ていた。そんなもので、俺が折れると思っているのか。俺はそこまで堕ちてはいない……


「わかったよ、ほら帰るぞ」


勝手に口が先走っていた。俺は墜ちていたと言うのか。

アカネはとたんに顔色を明るくして、俺の手を握った。

温かな温もりが俺の左手を包み込む。アカネの手が柔くて、すぐに折れてしまいそうなほどか弱いことにドキリとする。

アカネが痛がらないように気を付けながら、俺は手を握り返した。

こんにちは!白夢鈴蘭です!

受験シーズン到来ですね!この前、街を歩いていたら出願届けを出す中学生が見えました。

とても仲良く言い合いしている姿を見て、青春を感じました。

頑張ってほしいものです!

これからも「神破壊」をよろしくお願いします!

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