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灯らない想い   作者: ころころのこころ
6/16

6.私、押し切られました

キリが良いところにしたら、

すごく、

短いです。

 四人乗りの馬車に奥様と護衛の二人と乗り込むと、リアンさんが扉を閉めた。


 前に引かれる感触の後に上に引き上げられる。たいした衝撃もなく動き始めた馬車は風の抵抗も無く、空を飛ぶ。

 館は領土の上空に浮かぶ島にあり、浮遊の館と呼ばれる。館への移動には、空を行ける動物たちを利用する。

 ペイリッシュは寒さがそれほどでは無いため、ハーヴィという鳥やグリフォン、有翼の馬に似た体躯のノルスの三種類が飼われている。

 今日の馬車を引くのは三頭のノルス。


 地面を走る馬車とは違い振動の無い車内で、私は奥様と向かい合うように座っている。


「今回の冬越祭は部屋を二つ増やすことにしたの。急に決まったものだから、数が揃わなくて困っていたのだけど、旦那様が、快く町への外出をお許しくださったから、良かったわ。それでね、ボグルとカセの収穫はポッツに頼んだから、染めるテオをあと五つは欲しいの。ところで、アデルは何色のカセが好き?」


 冬越祭に足りない材料について、話をされていた奥様が唐突に質問してきた。

 ボグルとカセは冬越祭の飾りの一つだが、他の飾りとは違い、ボグルは家主の祈りを込めた色に、カセは個人の祈りに応じた色に染めるもので、好き嫌いで付けていい色では無い。


「奥様、好き好きで、付ける色ではありませんよ」

「あら、勿論そうよ。今のあなたは何色にしたいの?」


 それは、どう答えればいいのだろう。


「例年と変わりなく、緑ですね」


「あら、青ではないの?」


 何故に、恋愛成就を選ぶ必要があるのだろうか。


「見合いを控えているのですから、それは必要のない色だと思います」


 奥様が眉を少しだけ寄せて、息を吐かれた。


「見合いは恋愛ではないと割り切ってるのね。私も見合いでしたが、旦那様と恋愛をして結婚が出来ればいいと思って、見合いの話が出てから青のカセを二年ほど作っていたわよ。アデルも、見合いだと割りきらずに恋愛に変えるように祈ればいい。先は長いのよ、愛する人と過ごせれば、より、幸せになれるわ」


「そういうものでしょうか」


 奥様はニコリと微笑んで私の手を取った。


「では、青になさいね」


 押しがつよいです。奥様。

何故でしょう

あまり名前を増やしたくないのに、

回を重ねる毎に

新しい名前が増えているような気がします。

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