独狼-Pierrot Loup-00
ーーーーーーーここは退屈すぎる、あまりにも甘ったる過ぎて腐ってしまいそうだーーーーーー
本来なら施錠されており立ち入り禁止な屋上を、人目に着かない校舎の外側からよじ登り、心地よい風の靡く昼の休憩を、独り過ごしながら考える。
大きく広がる正門から、華々しいまでに整えられた通路。自然を取り入れた美しい校舎に、堂々とした噴水広場。各所に備えられたベンチで生徒が色恋話に花を咲かせる、ゆったりとした空間。それに加え、乗馬を嗜む為の馬舎に、煌々と敷かれた芝生や、勉学に勤しむ為の高潔さを極めた大きな図書館。
何もかもが揃っており、まるで楽園かのような平和な場所だ。
「ははっ、ホントおめでたい所だよ。まるで隔離されたシェルターみたいだね。」
この学園に入学したのも、元を正せば自分の意志でという訳ではないーーーそうしなければいけない理由があったというだけだーーー
「縛られるのは性に合わないんだけどねぇ。」
だが、愛する者の為と言えば自分の負けを意味する事になるため、その思考には行き着かないようにしている。
そもそも、勝敗なんてモノは無く、自身に課せられた枷を外す事が目的…即ち、反逆の達成こそ成就すればいいだけの話だ。
流れるようにポケットから学園支給の携帯端末とは異なるタブレットを取り出し、画面のロックを解く。
ちょうどホーム画面が表示されたタイミングで、画面上にメールを受信したと表示される。
「勘が冴えてるねぇ…と言うよりは、組織のパターンに慣れてきたと言うべきかな。」
自分で言葉にして、少しだけ嫌気が差しながらも、淡々と文字の羅列を読み進めていく。
それらは外部の人間には到底理解出来ないような、文字通りの「文字の羅列」である。
解読し終えると、こう書いてあった。
【ドウホウ ノ イワイ アラタナル チカラ ヨビサマス トキ】
「…………。」
まず何処からつっこむべきか、彼は悩んだ末に纏めて指摘するとにした。
「ダラダラと長文並べた割にはこれかい。と言うか、内容が薄い上にキザなんだよねぇ。いや、まぁ彼らしいと言えばらしいけどさ。」
呆れ半分で口に出した言葉は、どこか面白そうな風でもあった。
そう、彼の本来あるべき姿は、これではない。こうではない…。
「血が滾るね、渇いた喉にちょうどいいじゃないか。」
闘いを呼ぶ、赤く血塗られた戦場こそが、彼の生きる場所なのだ。
個人的にサイドストーリーを作成していこうと思い、描いてみました。雪羅ほど文章が上手くないので読み難い店も多々あるかと思いますが、温かい目で見守ってくださると幸いです。