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120キロ女子異世界奮闘記  作者: 丸腰ペンギン
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勝負



休憩も終わり、各々身体が解れた頃に素振りの練習が開始された。

素振りに使う剣はロングソードでそこそこ重みがある。

ミナトは興味本位で刃先を指でスッとなぞったら薄ら切れて少し血が滲んできた。


本物だー!

かっこいいー!今まで生きてきて模造刀しか触ったこと無かったから感動する……!


初めてのロングソードにテンションは上がったが、竹刀の倍以上も重い。その為コツを覚えるまで、素振りする時に剣の軌道が少しブレた。


なるほど!これは、二の腕と背中のお肉に効きそうだ!


ミナトは一心不乱に剣を振った。途中どうしても剣道で習ったすり足が出てしまったが、何十回か振っている頃にはすり足のクセは出なくなった。


「次は一対一で打ち合いをする!ペアを作る様に」


エドガーの指示で各々ペアを作り始める。ミナトの眼の色を見て話しかけてくれる人も何人かいたので、その人達の誰かとペアを組んでもらうと思ったら何者かの手によって阻まれた。


またお前かジャック……!!


「お前は俺と勝負だ」

「えぇー……」


嫌だと思ったけど、今後もネチネチと勝負を仕掛けてきそうだし、仕方なく了解してしまった。


ジャックは木剣を投げてきたので、慌ててミナトはキャッチする。

どうやら打ち合いは木剣でやるらしい。ジャックはフフンと鼻を鳴らす。


「俺は剣術のが得意なんだぜ?『参った』って言った方が負けだからな」

「私は剣は部活で習ったレベルなんですが」

「戯言はいい、お前の言うスモウがどんなものか見てみたい。早く構えろ」


剣を持ってる時点で最早相撲ではないんだよ、ジャック。


ミナトは仕方なく剣先を相手の喉元に合わせて構える。ジャックも剣を構えたままジリジリと間合いを詰めてきた。

ジャックが上段から大きく振りかぶってきたので、ミナトはガラ空きの胴に狙いを定めた。が、そうはさせるかと木剣の鍔で胴への攻撃を弾く。

そのままお互いの攻撃をかわしつつ、攻撃を仕掛け激しい攻防戦なっていった。

周りの人達も、ミナトとジャックの凄まじい剣戟に次第に手を止めて見入っていく。


「スモウも大したことねぇな!」

「これはスモウじゃないんですよ」

「何⁈」

「スモウと言うのは……こんな感じ!」


ミナトは思い切り踏み込んでジャックの剣を下へ叩きつける。ジャックの上体が下がったのを見計らって、顎に向かって掌底を叩き込んだ。

下からの衝撃で脳震盪を起こしたジャックは膝から崩れ落ちてその場に倒れ込んだ。

その時、頭を打たない様に地面に着く前にジャックの洋服の襟足を掴んで衝撃を和らげる。


せめてもの餞に相撲っぽいやり方で倒してあげたよ。本当はツッパリやってあげたかったけど、素人の私じゃ威力がないからね。ジャック安らかに眠れ。どすこいどすこい。


シーンとしていたので、周りを見渡すとワァ!っと歓声が上がった。




倒れたジャックは医務室に運ばれていった。その間ミナトは周りから凄い凄いと褒められていた。


「こんなに強い『精霊に祝福されし者』がいるとは!」

「さっきのは何という技なんですか?」

「剣裁きも見事でした!」


色んな人から話しかけられてミナトも困っていたら、エドガー団長が近づいてきた。


「静かに!他の者は打ち合いを再開しろ!終わった者はペアを変えてやるように!」


蜘蛛の子を散らす様に、訓練兵達はサーっと居なくなってしまった。


「驚いたな。ミナトがこんなに強いとは」

「剣は少ししか習っていなかったので、得意な戦い方に切り替えてしまったんですが、大丈夫でしたか?」

「問題ない。打ち合い稽古とはいえ、戦場に出れば何でもありの世界だからな。予測不能な方がいい」

「それを聞いて安心しました。では王子を気絶させてしまいましたが大丈夫でしたか?」

「良くはないだろうが……こちらに任せておいてくれ。俺から国王様に報告しておく」


あんな王子でも王族だからきっと良くないんだ。どうしよう、エドガー団長が怒られてしまうのだろうか?解雇とかになったらどうしよう!


「あの、私もついていっちゃダメですか?私が悪いので……」

「……っ。いや、ミナトは悪くない。とりあえず、今から報告に行ってくるから気にするな」


エドガーは少しだけ微笑むと城の方まで歩いて行ってしまった。



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