28.ボクと君の二学期
俺は、配達を終えて、楓とブランコに乗った公園で一休みした。事前に場所を確認しておいたからか、配達は予定より早く終わった。
サンタクロースの格好のまま、ベンチに座った。この地球上のどこかで、こうやって本物のサンタクロースが一休みしているんじゃないかと思える。
本当に月がきれいだ。
もしかしたら、楓から電話がかかってくるかなと期待した。
俺は自分が作った絵本と、それ見ている楓を想像しながら、ぼんやり月を見ていた。
○表紙
杉田玄白『解体新書』の図
中央の文字部分は『改替伸書』に書き換えられている。
両脇にいる裸体の男女の絵に服が描き込まれている。
女の絵に「今年のトレンドはロング丈」とふきだしに台詞。
○1ページ目
踏み絵の絵
「君とのボクの二学期」
<※絵と文の関係はありません>の断り書き。
○2ページ目
「絵本に落書きするなら偉人に増毛」
ホストのような前髪長めのフランシスコ・ザビエル
○3ページ目
「通過する電車に向かって歩いてはいけません」
実技体育の走り幅跳びの図にホームと電車を描き込み、少女を助けてる絵。
○4ページ目
「秋刀魚の本、意味分からんぜよ」
自撮りしている坂本龍馬
○5ページ目
「夜勤明けのブランコは酔います」
アルプスの少女ハイジになってブランコに乗っている浦賀のペリー
○6ページ目
「コーヒーは朝に限る、寒い日はココア」
コーヒーを飲んでいる魯迅
○7ページ目
「秋刀魚、食べて行きなさいよ」
しゃくがサンマになっている聖徳太子。
<※一人で三本食べました>の断り書き
○8ページ目
「まあだまだ」
糸をつむいでるガンジー。
よく見るとホットケーキを焼いている。
○9ページ目
「月がきれいですね。カードのご利用は計画的に」
額に穴が開いてる夏目漱石
○10ページ目
「財産いっぱい」
「どうだ明るくなっただろう」と100円札を燃やす成金の風刺マンガ。
手には絵本「からすのパンやさん」
女の人達も絵本を持っている。
背景に本棚。
読んだ本のタイトルが書き込まれている。
○11ページ目
ドラえもんになっている杉田玄白
傍らに、ぜんまいねずみ
<解説>
「改替・・・物事をあらため、新しいものにかえること。
また、あらたまりかわること。」
「伸書・・・伸からの信書」
○12ページ目
「改替伸書」
「この本を読んで、くだらないと笑っていることを願う。
この二学期が君の支えになって新しく変わっていけることを願う。
君が大人になった時、ボクがもう少しカッコイイ大人になるから
その時、また会えるように
消えたくなっても
死んではいけません」
○裏表紙
「メリークリスマス」
サンタクロースになっている
マゼラン、田中正造、伊藤博文
<※ひげを集めてみました。>断り書き
「あ、そういえば、夏目漱石使い尽くしたんだ」
楓が使ってた、テレホンカードが終わってたことを思い出した。
俺はトナカイにのって店に帰った。
店長が労いとして、クリスマスケーキをごちそうしてくれた。
店長が食べてみたかった「巨峰のケーキ」を、その日のバイトのメンバーで食べた。
むらさきの小石。なかなか大人の味がした。美味しかった。
きっと、みんなの願いが叶う。
むらさき色の小石で、楓の家族が仲良くなってると思う。みんなにちやほやされて、妬ましいと思てった、ぜんまいねずみの姉ちゃんも生まれ変わって、楓と友達みたいに仲のいい姉妹になるんじゃないだろうか。
そんな満月の夜だ。




