13話 今、此処に!来たれ!
─旦那様!─
「ッ!? 何だ、ルシフェルか。」
─肉体の生成が終わったので、直ぐそちらに向かいますね!─
いや、ちょっ!オレ今風呂入っ──
あの一面真っ白の世界で会った美少女が今また目の前に。
前回と違う所はオレは風呂に入っているから真っ裸で、ルシフェルはそんなオレを見て茹で蛸の様に顔を真っ赤にして目を回している、って所かな?
って、何冷静に分析してるんだよ!
取り敢えず水属性魔法で霧を発生させ、オレの体を隠す。
「何で、確認せずに来ちゃうんだよ。」
「うう。だって、早く旦那様に会いたくて……」
くっ、可愛いじゃねえか。このヤロー!
「着替えるから、外で待ってろ。」
「はい……」
直ぐに服を着る。
因みに、着物だ。
日本に居た頃から、和服が好きだったんだよね。
着物に自動浄化の付与魔法を掛けてから、煙草を一本吸う。
あまりマナーとしては良くないが、加えたままルシフェルの所へ向かう。
「いらっしゃい、ルシフェル。会えて嬉しいよ。」
「はい、旦那様!」
まあ、こんな楽しい世界に連れてきてくれたのだから感謝しているし、凄い美人さんだから旦那様と呼ばれて、嬉しくない訳が無い。
「そう言えばさ。」
「はい。」
「こっちに来たときには、既にオレはルシフェルの夫になってたみたいだけど、どうして?」
「覚えて……らっしゃらないのですか……?」
「ご、ごめん。」
「はあ。アルスマギカと言う世界に聞き覚えは?」
「ああ!」
オレが昔……と言っても、二年前やっていたゲーム『アルスマギカ・オンライン』。
そこで嫁つまり推しキャラとしてオレが選んでいたのが、熾天使ルシフェル。
ルシフェルを筆頭に推しキャラ達を課金までして育成していた。
だが、運営会社が倒産し、アルスマギカは事実上使えなくなっていた。
「てことは、天照や月読やアルテミス、ミカエルとかにも会えるのか?!」
「はい。第二婦人以降の方々も、呼べますよ?ですが、固有魔法の召喚魔法が必要ですけど。」
「なら、今度買って試してみるか。」
「あの娘達も待っていると思います。」
さて、アイリス達にどう説明するか。
◆◇◆
「旦那様、旦那様。今日は私が夜ご飯を作りますね? ふふっ。旦那様に食べて頂きたくて、皆挙って練習していたんですよ?」
「そうか。楽しみだよ。」
「じゃあ、行ってきますね。」
「屋敷の厨房はそこの通路を曲がったところに在るから、迷わないと思うけど、迷ったら動かないでね。」
「もう。子供じゃないんですから、迷いませんよ!」
そう言って、走っていった。
ああ、可愛いなぁ。
あれ、でも今アイリスが使ってた様な?