12話 さあて、家の手入れを始めますか。
さて、如何にもな執事さんと一緒にやって来たのは、やはり質素剛健を地で行く外装の屋敷。
隣にはやはり熱っぽい視線を送ってくる聖女様─もといアリシア。
「アリシア様、タツヤ様。こちらがお二人とフェリアさんのお屋敷となります。調度品等は既に一通り揃えてありますが、食材等で必要な物がお有りでしたら、何なりとお申し付け下さい。」
「ありがとうございます。」
取り敢えず、部屋割りを決めようか。
「アリシア。どこの部屋が良い?」
「あ、アリシア…………はっ!タツヤ様と同じ部屋が良いです!」
「あはは、タツヤで良いよ。」
「はい。えっと、た、タツヤ………て、照れますね。」
何だこの可愛い生物は?!
「むぅ。」
痛い、痛いから脛を蹴らないでくれフェリアさんやぁ。
むくれているフェリアの頭をグリグリと撫でる。
少々、強引な撫で方ではあるが、やられている本人は嬉しそうだ。
そして、アリシア。そんなにガン見しなくても、やってあげるから。
「ふにゃぁ。」
いやぁ、サラサラだねぇ。
まあ、それはおいといて。
この屋敷には男性用と女性用の大浴場がある。
ただ、オレは知ってしまったのだ。
土属性、火属性、水属性の魔法を使えば、温泉が堀当てれる事に。
そして、属性魔力を結晶化させた、魔法石を使えば温度調整も出来る事に!
と言う訳で、屋敷の勝手口の北側(門は南側。)の一つから、地面を均し、石畳を作って通路を作る。
大体、50メートル程の通路を作ったら、食料購入で木材を買い錬金術の錬成で変形&研磨させる。
大雑把に旅館の形を作り、細かい所は錬成し直し、大枠を完成させる。
次に客室と宴会場、脱衣場にそれぞれ畳を設置する。
……もう、食料購入じゃないよね?まあ、便利だから良いんだけどさ。
因みに、王様から祝い金として五百万エン、叙爵金として百万エン貰っているので、少々の浪費は問題無い。
厨房として作った空間に、鉄を購入し鉄製のテーブルを配置。
鉄を錬成し、変形させガスコンロの形にする。
中心部分に火の魔法石を入れられる窪みを作り、出来るだけ魔力漏出の無い、魔力供給回路を刻み込む。
勿論、形は捻るあれ。
後は、氷属性の魔法石を利用した鉄製の冷蔵庫擬きを作る。
レンジ擬き、炊飯器擬き、オーブン擬き、等々。
調理器具は勿論、食材購入でポイントを消費して、作り方や使い方を知識と調理スキルを入手しました。勿論、酒造の知識もね。
次に脱衣場。
鉄を追加購入し、ロッカーを作って設置。
そしていよいよ、大浴場。
先程言った方法で温泉の源泉を汲み上げる。
そして、氷属性の魔法石で、温度調整をする。
オレは四十三度位が好きなので、その温度に基本値を設定する。
女風呂の方は自分で決めれる様にしておいた。
完成である。
今度は西側に酒蔵を作る。
作るのは勿論日本酒と麦焼酎だ。
ただ、焼酎は蒸留の行程があるので、日本酒よりは時間がかかる。
勿論、空属性魔法を駆使して、数日で出来る様になってますけどね。
そして、東側は畑だ。
米、小麦、大麦、馬鈴薯、里芋、薩摩芋、大根、玉蜀黍、人参、葱、玉葱、ピーマン、レタス、キャベツ、白菜、ホウレン草、を植える。
ポイントと交換したスキル、農産王の効果で耕した畑は、どんな風に育てても、最低限の成長環境があれば最高品質で育つと言う馬鹿な具合になっている。
ああ、夢が広がるなぁ。